リサの父は、月の研究所で働く生物学者だった。
不審な事故で彼が死んだ時、リサは察していた。
父の研究に関する情報が何者かに狙われていた。
父は己の死を予見し、リサに「何か」を託した。
リサは宇宙軍属のミッキーやルネの協力を得て、
父の遺した情報をたどり、父の死の真相に迫る。
それは殺人事件の謎解きだけにはとどまらない。
宇宙の運命さえも揺るがす命題が明らかになる。
科学の発展した未来の社会が直面する生命倫理、
「ヒト」の定義の境界線や、尊厳の在り方……、
はるかな未来でもある過去によって約束された、
この宇宙を救う道を何とかして選び取るために。
彼らは、
時間を超え時空を超え、銀河の彼方へ旅に出る。
「正解」にたどり着いたのか、まだわからない。
壮大な運命の帰結であり、始まりでもある物語。
毎度、彼らの姿を追い掛けるのが楽しみでした。
連載お疲れさまでした!
物語は、科学者の父親を殺された女子高生・リサが月へ向かう宇宙船に密航するシーンから始まります。
ボディーガードのミッキー、パイロットのルネと共に父親の死の真相を追ううち、とある重大な事実が明らかになっていき……
緻密に計算された設定と壮大な世界観で繰り広げられるSF作品です。
広大な宇宙のロマン、科学の進歩が齎す生命倫理の問題などが、確かな知識に裏打ちされた端正な筆致で紡がれていきます。
物語が進むうちに判明する、登場人物たちが背負ったとある運命は、想像を絶するほど過酷なものです。
気が遠くなるほどの膨大な記憶を得て、同時に多くのものを失い、それでもなお心に抱く靭い意志。
血肉の通った彼らの生き様に、何度も胸を打たれました。
魅力的なキャラクターばかりの中、私の最推しはラグです。ワイルドでカッコいい!
作者さまの『飛鳥』シリーズを読んでいると、より一層楽しめる物語でもあります。
読み応えのある作品をお探しの方におすすめです。ぜひ重厚な世界に酔いしれてください!
これぞ圧巻の、SF作品!
主人公である一人の少女は、地球で襲われそうになった自分を助けてくれた男性と、ある青年の宇宙船に乗り込む。しかし青年に見つかってしまい、一緒に行動することに。青年は地球人とは年の取り方が違い、能力が強いラウル星人だった。この青年は、主人公の父親である科学者が作ったVENAという少女と知り合いで……。
月のコロニーに着いた三人は、少女の父親の死の理由を探るべく、残された唯一の名前を手掛かりに、とある男性を探す。しかしその尋ね人の名前は、ごくありふれたものだったために、捜査は難航。しかも、捜索の途中で、殺人事件に巻き込まれてしまう。
尋ね人を無事に探し出した主人公と男性は、男性の「家」で暮らす。男性には「家族」が沢山いた。その家族に血のつながりは関係なく、主人公にとっても居心地のいい場所だった。主人公と男性の蜜月が過ぎる中、突然、男性が拉致されてしまう。そして、男性を助けるために敵地に乗り込んだ主人公は、拉致の首謀者に、自分の父親は大罪人だと言われ、VENAを否定される。主人公の父親が行っていたこととは? 罪とは?
そしてついに主人公はVENAと対面を果たすのだが……。
ルツという美貌の天才女性研究者の登場と、古老の存在。
全ての謎が解ける時、切なくも感動のラストが待っている。
『飛鳥』という壮大な歴史的一大叙事詩の裏側が、垣間見える作品です。もちろん、この作品だけでも十分に有意義な時間を楽しむことができますが、是非『飛鳥』もご覧頂きたいです。圧巻とは、まさにこの作品のことを言うのだと、思い、圧倒されました。
是非、是非、御一読下さい!