★ Good! 二人の歩みはとってもスムース 立川寿限無 山あり谷ありな現実の人生を「小説」というエンターテイメントに落とし込むのは一概に良しと出来ないところがある。 ただ、この短編では非常にシンプルに上記のようなことを否定している気がする。 つまり、この作品は良い意味で、極めつけのフィクションであるということである。 物語としての起伏はこれでもかというほどなく、彼らの歩む道のりは極めて平坦。そう読めてしまうのは、これがフィクションだからだろう。 実際、道に倒れている記憶喪失の女性と深い関わり合いなどしたくない。目の前の女性の身体を守る正義心と、己の立場を守ろうとする保身の間で葛藤が発生しそうなものだ。 しかし、ここでそんなこと言ってられない。主人公は持ち前のトーク力と、人懐っこさと、優しさで予期されるジレンマをきれいさっぱり打ち消すのだ。 これは虚構である。だからこそ素晴らしい。フィクションの素晴らしさを再確認した一作である。 レビューいいね! 0 2017年10月10日 15:55