第46話 石像

(神殿かな?)


 大理石で出来た人が天井を支えている。


 石像の間から見える真っ赤な空には、黒い雲が浮かんでいる。


「警戒した方が良いかもね」


 彼は玉座の様なものに座るそれを見て言った。


 腕が四本生えていて、二本は頭を覆っている。


 胴体にも顔があり、こちらを見つめてくる。


「恐れるな!」


 彼女は即座に距離を詰めた。


「ファイアーボール」


 手に火球を生成し、高さ数メートルの石像に投げつけた。


 確かに命中した。


 しかし、効いていない様子だ。


 その瞬間、それは不気味に笑った。


「これはまずいかもね……」


 彼はそう呟いた。


 その時、床から新たな石像が十体程出現した。


(祈っているのか?)


 一体を除き、祈りを捧げていた。


 すると、反抗する石像の頭は弾け飛んだ。


「祈れ!」


 彼女の言う通りにした。


(どういう事なんだ!?)


 異様な光景が広がっている。


 それは満足したようだ。


 怪物が肘掛けに頬杖をつくと、石像達は床に頭を打ち付け始めた。


(戦うしかないな!)


「このまま従っていると、不味い気がします」


「そうだな。私が援護するから頼んだぞ」


「はい!」


 俺は床を蹴って加速した。


 つまらなさそうな顔をしている石像は、人差し指で肘置きを叩いた。


 突如、巨大な火球が現れた。


 こちらに向かってきているようだ。


 だがその時、それは静止した。


「今だ!行け!」


 小さな銃声と足音が背中から聞こえる。


 だが、気にせずに短剣に魔力を込めて一気に解放した。


 ブーメランのような軌道を描く斬撃は、怪物の腕を吹き飛ばした。


 心の中でガッツポーズをした。


(腕で防がれたけど、ダメージは通ってるな!)


 その時、怪物は同じ斬撃を飛ばしてきた。


(くそっ)


 全力で回避した。


 それは地面に突撃した。


 俺は敵の方を見てみた。


(えっ?)


 すると、無数の火球と斬撃がこちらに向かって来ていた。

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