第3話 初めてのダンジョン

 翌日の早朝、彼は普段より早起きした。


 そして、異世界に繋がっている洞窟があるという公園にやってきた。


(意外と人いないんだな)


 そして彼はダンジョンを探した。


 すると、すぐに岩で作られた洞窟、又は遺跡の様な建造物を見つけた。


「これがダンジョンか!」


 彼は高ぶりを抑えきれずについ口に出してしまった。


(ダンジョンっていったら、昨日みたいなモンスターが沢山出るんだよな?けど、武器とか持ってないし…)


 対処法を考え始めた直後ある事を思い出した。


(スキル使えばいいじゃん!)


 そう思った彼は呟いた。


「なんでもショップ」


 すると期待通り画面が表示された。



残高:0円

[商品名を入力]

[チャージ]



(よし!)


 そして彼は貯めたバイト代の5000円をチャージし、「武器」と入力した。



残高:5000円

木刀:3000円 [購入]

刺股:3300円 [購入]

木の棍棒:1200円 [購入]

[更に表示]



(どれも攻撃力が低いものだな。やっぱり包丁買うかー)


 そして「包丁」と検索した。



残高:5000円

料亭監修の包丁:3500円 [購入]

ステンレス製の包丁:7500円 [購入]

火炎龍の包丁:3000000円 [購入]

[更に表示]



(高くないか?)


 彼はそう思いながら、1番上の商品を購入した。


 すると、光が集まり包丁を構成した。


「よし!準備万端だな!」


 彼は包丁を右手に持ち、遺跡の中へ入った。


 遺跡の中には階段がどこまであるか分からないほど下に続いており、彼は引き返そうか悩んだ。


 しかし、わざわざ包丁も購入してしまったのだから引き返そうにも引き返せない状況であった。


(明日は筋肉痛だなー)


 彼がくだらない事を考えながら目の乾きを感じ、瞬きをしてみた。


 すると、目の前には階段ではなく横穴が続いていた。


「うおっ!?どうなってんだこれ!?」


 彼は目を疑い目をこすってみた。


 しかし、依然として横穴が続いていた。


 未知のものは想像を容易く超えてくるものだと彼は実感した。


(ここからは警戒して進むか)


 彼はそろりと洞穴を進んで行った。




 そこで彼は馴染みのある生物と出会った。


 ゼリー状の生物はこちらを見るとすぐさま飛び込んできた。


 それは一瞬で彼の頭を覆い尽くし、呼吸を出来なくした。


 彼は反射的に包丁でスライムを刺したが、全く攻撃が通らない。


(刺突耐性!?なにか方法は…)


 薄れゆく意識の中彼は一つ策を講じた。


 そして心の中でこう叫んだ。


(なんでもショップ!)


 そうすると見慣れた画面が登場した。



残高:1500円

[商品名を入力]

[チャージ]



 そして彼は心の中でライターと言った。



残高:1500円

充電式ライター:1490円 [購入]

スタンドライター:420円 [購入]

使い切りライター5点セット:825円 [購入]

[更に表示]



 表示された商品の中から、最も安いスタンドライターを購入した。


 また光の粒子が集まり、ライターを生成した。


 そして彼は辛うじてスライムに火をつけた。


「熱っ!」


 火はゼリー状のモンスターを溶かした。


 しかし、熱は青年にも伝わってしまった。


 幸い軽い火傷で済んだが、ヒリヒリと痛む顔を押さえた。


 すると彼の気を紛らわすように昨日も聞いた無機質音声が流れた。



「レベルが上がりました」


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