第8話 ヒーローインタビュー

 道中数体のモンスターに出会ったが、彼らの敵では無かった。


 そして遂に光が見える。


「出口だ!やったー!」


「やっと脱出か!」


 彼らは喜びを分かち合い、階段を上った。


 車が走る音、人々が話し合う声、全てが懐かしく思えた。


「結構人多いな」


「ですねー!見てください!テレビの人じゃないですか!?」


 アナウンサーはこちらに気が付くと、逃がさないと言わんばかりに駆け寄ってきた。


「すみません。インタビューしてもよろしいでしょうか?」


「どうする?」


 少し嫌そうに彼はそう言った。


「んーいいですよ!」


 彼女に任せたのが間違えだった。


「この階段の下はどうなってましたか?」


「と、とても広い洞穴が広がってました」


 彼は緊張しながらそう答えた。


「なるほど!では次は彼女さん!モンスターがいるとネット上で言われてますが、本当でしょうか?」


「いましたよーモンスター!スライムとかゴブリンとか。軽装備では来ない方が身のためですね」


「噂は本当だったんですね!ありがとうございました」


 彼らはヒーローになったかのように錯覚した。


 しかし周りに注目されている為、そそくさと逃げるように近くのカフェにへと去った。


「超疲れたねー」


「だなー」


「ねえ、連絡先交換しない?次ダンジョン行く時一緒に行った方が楽に攻略出来るでしょ?」


「そうだな!」


 彼はリックからスマホを取り出し、連絡先を交換した。


「お!出来た」


 彼らは飲み物を飲み終えると、今日は解散した。


「じゃねー!おつおつ」


「お疲れ様ー。またな」


(もうこんな時間か)


 時計の短針は真上をさしていた。


(昼飯なんだろ。ラーメン食べたいな)


 などと思って家に帰った。




「ただいまー!お昼ご飯何?」


「おかえり。冷凍食品買ってきたから選んで」


「了解」


 彼は荷物を置くと、電子レンジで調理しラーメンを食べた。


(モンスターとかダンジョンが出たのって昨日からなのか?そもそも誰がこんな事を…)


 彼は深く考えようとしたが、考えても情報が少な過ぎる為考える意味が無いと悟り止めた。


(情報収集するか!)


 彼はテレビでニュースを見ながらスマホを使い情報を集めた。



「東京のドラゴン逃走か?」


「狼のような生物が暴走。3人死亡」


「速報、C町で殺人・死体遺棄事件。犯人は逃走」



 などと言ったモンスターに関係していそうなニュースを幾つか見つけた。


「モンスターに関係しそうなニュースは昨日の午後三時頃からだな」


 更に漁ると、興味をひくSNSアカウントを発見した。


(たくと@鑑定スキル持ち!?鑑定って百万円のスキルだったよな?)


 たくとのプロフィールを見てみると、このようなことが書かれていた。



 たくと@鑑定スキル持ち

 DMにて鑑定依頼受付中です!

 1つ千円です。



 良介はダンジョンで手に入れた謎の鍵と短剣を鑑定してもらおうと思い、個人チャットで連絡をとった。

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