第31話 新たな武器

「良介、今日は部活いかないの?」


帰りのホームルームが終わり、帰ろうとした時、一人の男が話しかけてきた。


「ダンジョン行くから休むかな」


「またダンジョンか!親が免許取ってもいいって言ってくれたら行けるだけどな」


「大雅のお母さん厳しいの?」


「ああ、鬼だぜ」


彼は笑いながらそう言った。


「まじか…」


「ってもうこんな時間か!部活行ってくる!」


良介は談笑を終えると、B公園に向かった。




(久しぶりに来たな)


そこには一度見たことのある遺跡の様な建物があった。


(入るか!)


遺跡は観光名所の様になっており、それを背に自撮りする人がいた。


更に良介と同じく、未攻略のダンジョンを攻略しようとする人が大勢いた。


良介は彼らを横目に、遺跡の中へ入った。


(こんな感じだったなー)


彼はノスタルジックな気持ちに……といっても数週間だが、そんな気持ちになった。


無限に続いている階段を下り、前回と同様に瞬きをしてみた。


すると、居心地の良い温度の空間に居た。


(涼しー!夏休みはここに来るか!)


そんなことを思っていた時、地下水が滴り落ちた。


そして、暗闇から見覚えのある敵が現れた。


(ゴブリンか!)


彼は一瞬で距離を詰めると、腰にある短剣を取り出し、首を掻っ切った。


「グギギギギ!?」


ゴブリンは奇声をあげるとその場に倒れた。


(前まで結構苦戦したのにな)


彼は確実に強くなっていることを実感した。




(あれ?右だっけ?)


何度か分岐点があり、全てを記憶する事は不可能だった。


(とりあえず右行くか!)




右を選択して、十数分進んだ時、前方の曲がり角から不規則な足音が聞こえた。


そして、十体程の骸骨が行く手を阻む様に現れた。


(多いし逃げるか?)


彼は一瞬そう考えたが、弓を構えた。


弓に魔力を込めて、無数の矢を作り出して放った。


(よし!余裕だな!)


次々に倒れるスケルトンに彼はそう思った。


しかし、一体だけ取り逃してしまい、こちらに近付いてきた。


骸骨が剣を振りかざそうとした時、先端が剣の様になっている鎖が現れた。


すると、それは生き物の如く骸骨に襲いかかり、骸骨を破壊した。


(昨日ショップ見といて良かったー)




昨晩、眠りにつく前の事である。


(短剣にワイヤー付けるのはかっこよく無いんだよなー)


そこで対策案を考えた。


(そうだ!鎖鎌的なの買おう!操作出来るかは分からないけど)


ショップで調べてみると、中々良さそうな物を発見した。



「蠍の鎖剣」

[レア度]

★★★

[説明]

鎖の先端に剣が付いている武器。

マナを使用して、武器に毒属性を付与する事が出来る。



(良さげだな!だけど、50万かー。また今度にするか)




そして、今に至る。


彼は骸骨達の武器と骨を売却すると、曲がり角へ向かった。


曲がってみると、そこは行き止まりだった。


しかし、壁に出っ張っている石が光っていた。


(おっ!久しぶりの隠し部屋か?)


彼はそれを押し込んだ。


すると、目の前の壁が扉の様に開いた。


その時、2つ目の扉が前方に、その横に篝火が現れた。


(彫刻が彫られている……。もしかしたらボスかもな)


彼は恐れずに扉を開いた。


そうすると、中から腐乱臭が漂ってきた。


(何だこれ!?)


良介はとんでもない物を見てしまった。

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