第32話 ドラゴンゾンビ

扉の先には大きな空間が広がっており、壁には輝く鉱石がある。


そして、ど真ん中には巨大な龍の死体があった。


(ゲームだと動くやつだな)


彼は強くなるために近付く事にした。


すると、死亡しているはずのドラゴンは動き出した。


そして、こちらを見るなり血のような色のブレスを吐いてきた。


(避けないとまずいな)


走っても間に合わない事を悟ると、彼は腰に巻き付けた鎖を操った。


そうして、先端を遠くの床に差し込み、そこに自身を引き寄せた。


(危なっ!)


彼は鑑定をしてみた。



名前:ドラゴンゾンビ

レベル:32

種族:ドラゴン

称号:なし

所持スキル:死属性魔法


(レベル的には不利だな……)


しかし、もう後に引けないので、戦う事を決意した。


そして、彼は反撃する為に特大ファイアボールを放った。


巨大なドラゴンは避けられるはずも無く、頭に火球が直撃した。


すると、痛みによってドラゴンは少し仰け反った。


(特大は後2回位しか投げれないな。どうやって倒そう)


彼はあまり効いていない様子の龍を目の前に考え込んだ。


(マナポーションを飲みまくれば魔法は使えるな!)


そう考えて、彼は全てのマナを使い切り、二つの火球を投擲した。


すると、ドラゴンは禍々しい火球を特大の火球に衝突させた。


そして、どちらの火球も消し去った。


(ファイアーボールか!?)


彼はマナポーションを出現させて、飲み干した。


すると、弓を取り出して無数の矢を放った。


黒い矢で龍を覆った。


しかし、そこまで効いていない様子である。


(体の表面が鎧みたいになってるのか!?)


彼は仰天した。


(一撃必殺的なので攻撃するしか無いな)


その時、考える隙を与えないようにブレスを放ってきた。


彼はマナポーションを飲みながら、全力で右へと走った。


だが、死ぬまで迫ってくるブレス。


(もう一度鎖で逃げるか?)


そこで、彼は決断した。


鎖を相手の方向にある地面に突き刺し、高速移動した。


そして、相手の前足に鎖を引っ掛けた。


(腹は鱗で守られていない!)


彼はマナを使って鎖を操り、相手の懐まで潜り込んだ。


そして、良介が短剣を取り出した時、ドラゴン翼を羽ばたかせ、飛び立った。


そして、同時に直径2メートル程の大きなファイアーボールを放ってきた。


(間に合うか!?)


鎖でも間に合わないと考えると、彼は全てのマナを使用して、巨大なファイアーボールを放った。


爆裂音が鳴り響き、黒い煙が発生した。


(頭痛がするな)


彼は頭を抑えながら、マナポーションを購入した。


一気に飲み干すと、煙から龍が現れた。


「そろそろ勝たせてくれ!」


彼は鱗で守られていない腹を目掛けて、無数の矢を放った。


目にも止まらぬ速さで進む矢の群れは、ドラゴンの腹に直撃した。


(よし!)


その時、ドラゴンは力が抜けたように墜落した。


そして、岩が破壊される音が洞窟に響き渡り、龍は気絶した。


それを見るなり、彼は鎖で落下地点に駆け寄りった。


「これで終わりだ!」


彼は短剣を禍々しい紫に輝かせて、腹に突き刺そうとした。


しかし、その瞬間、赤黒い煙が光を遮断した。


(苦しい……)


良介は立つことが出来なかった。


(何か方法は無いのか?)


薄れゆく意識の中で、彼はショップを開いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る