第33話 死の淵

良介はとうとう跪いてしまった。


だが、龍は容赦なく飛びかかる。


そして、怪物は前足で良介を潰した……はずだった。


煙と共に男は消滅していた。


龍は人間を探そうとした。


すると、小瓶が落下して割れた。


その時、鎖が首に巻き付く。


男は空中に逃げていた様だ。


即座にブレスを放った。


しかし、高速移動して近付いてくる小さな物体に、当てることは困難だ。


「これで終わりだ!」


彼は短剣を輝かせた。


すると、スライディングをして、龍の腹を切り裂いた。


その時、轟音が響き渡った。


動かなくなるドラゴン。


(状態異常回復のポーション飲まなかったら、死んでたな……)


彼が勝ちを確信した時、無機質な音声がいつも通り聞こえてきた。



「レベルが上がりました」


「ダンジョンを攻略しました。攻略者に称号と報酬を与えます。また、帰還ゲートを生成致します」



すると、手元に禍々しい短剣が現れた。


彼はすぐに鑑定した。



「ドラゴンゾンビの短剣」

[レア度]

★★★★★★★

[説明]

魔力を使用する事によって、死属性の斬撃を飛ばす事が可能。



(おー強そう!てか7つ星って初じゃね?)


彼はそう思いながら、死体を売却する方法を考えた。


(無理じゃね?)


巨大な体、硬い鱗。


ダンジョンが崩れる前に解体出来る気がしなかった。


(売れたら1000万円位になりそうなのにな)


悔しい思いをグッと抑え、帰還する事にした。




(今回も生きて帰れたな!)


本当に死んでしまうかと思った。


まだ手が震えている。


(というか、ダンジョン攻略した時ってどうするんだ!?)


彼は記憶を辿った。


(冒険者協会に電話しろとか言ってたっけ?)


スマホを取り出して、電話をかけた。




(ポイント付与したいから待っとけか……)


彼は指示通りに待ってみた。




10分程待っただろうか。


(いつ来るかなー?)


彼がそう思った時、スーツを着た男性がこちらに駆け寄って来た。


「良介さんですか?」


「はい!」


「ここのダンジョン、ボスが見付からないって聞いたんですけど、どうやって見付けたんですか?」


「スキルで見付けました!」


「お!トレジャーハントかな?」


「そんな感じです」


良介が応答すると、男性は仕事に取り掛かった。


「よっと」


機械を取り出し、何かを測定し始めた。


「お!本当に攻略してる!」


「え?嘘だと思ってたんですか!?」


「ま、まあ。虚偽の申告多いからねー」


「そうなんですか。大変ですね」


「仕事だから大変なのは当たり前だけどねー。ところで、ポイント付与するから、アプリ開いて」


彼の言う通りに、良介はスマホを取り出して、アプリを開いた。


「ポイント付与しましたよ。じゃお疲れ様!」


彼は次の仕事があるのだろうか。


急いで去っていった。


(そういえば、今ランク何だろ?)


彼はそのまま確認してみた。


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