第34話 ランクアップ!

右上にあるアイコンを押してみた。


すると、様々な機能が紹介された。


(多分プロフィールかな?)


彼は数ある中からそれを押してみた。


すると、冒険者ライセンスと同じく、左下に大きくランクが表示されていた。


(おっ!Eランクに上がってる!この調子で依頼とかダンジョン攻略してみるか!)


そして、帰宅することにした。




「ただいまー」


「お帰り!またダンジョン行ってたの?」


「うん。お金も稼げるからな」


「最近ダンジョン行った人が、行方不明になることが多いらしいってニュースで言ってたのよ。だからお母さん心配だわ……」


「危なかったら逃げるから安心して」


「分かったわ……」


確かにダンジョンは危険だ。


今回だって死にかけたんだから、次は死んでしまうかもしれない。


(でも……前の生活になんて戻れないよ)


初めて生きていることを実感した。


初めて自分にも何かができると思った。


彼はもう前の様に、朝起きて、学校に行って、ご飯を食べて、寝るだけの生活には戻れないと考えてしまった。




(まだ眠いな)


大きな欠伸をして、スマホの画面を叩いてアラームを止めた。


眠い目を擦り、洗面台へと向かう。


顔を洗って歯磨きを済ませると、手すりをしっかり持って、階段を下った。


リビングからトーストの良い香りがやってくる。


それにより、彼は朝がやってきた事を実感する。




「行ってきます!」


彼はいつもの道を歩き始めた。


いつもより足元が軽い気がした。




(今日も面白い記事ないかなー!)


彼は少し閑散とした電車の席に座って、スマホをいじっていた。


(これって俺のことじゃね……?)


それにはこの様な事が書かれていた。



[速報!B公園のダンジョン攻略されたらしい!]



[コメント欄]


「え?まじ?」


「ボス見つからなかったんじゃなかったっけ?」


「あのCランクのサカキさんでも攻略できなかったのに!」



コメント欄は、驚きの声で溢れていた。


(誰かに自慢したい!でも、特定とかされたら面倒くさいからな……)


彼はその気持ちを抑えて、別の記事を探した。


すると、興味深い記事を見付ける。



[ダンジョン内の殺人に注意!]


ダンジョンが攻略されてしまうと、死体を消すことが出来ます。


その為、殺人鬼にとっては好都合な場所です。


ダンジョン内で怪しい人を見かけたら、逃げましょう。



(怖っ!)


そんな平凡な事を思っていると、ブレーキの音が聞こえた。


目的の駅に到着したようだ。


彼は席から立ち上がる。


また日常が始まる。

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