第23話 絶体絶命

 調べようとした時、無機質な音声が聞こえてきた。



「フィールドボスを討伐しました。討伐者に報酬を与えます」


「レベルが上がりました」


 音声が流れると、良介の前には盾が、楓の前にはハンマーが現れた。


「おー」


「片手剣よりも使い勝手良いかも!」


「楓はパワータイプだもんな」


「ふふん!」


 調べる事を再開した。




「近くの櫻川公園にもボスだって」


「さっきの巨人?」


「いや、ケンタウロス見たいなモンスターらしいよ」


「どうする?」


 一度いや、何度も死にかけた彼らは十数秒考えてみた。


 しかし、モンスターを倒して得られる報酬に魅了された彼らは戦うことを決意した。




(ここか…久しぶりに来たな)


 木が生い茂っていて、中があまり見えない。


 他愛の無い話をしていると、それを止めるかの如く肉に何かが突き刺さった音が鳴り響いた。


「楓、行くぞ!」


「おっけー!」


 入口にダッシュし、中を恐る恐る見てみると、そこには槍を持ち甲冑を装備した半人半馬の生物がいた。


 そして、近くには少し前まで動いてたであろう人間が5人程倒れていた。


(この人達も討伐に来たのかな…)


 武装している彼らを見て、良介はそう思った。


 すると、ケンタウロスはこちらに気が付いた。


 見るなり走る準備をし、その刹那こちらに向かってきた。


 約30メートルあったのにも関わらず、それは2秒で詰めてきた。


「速いっ!」


 彼らは咄嗟に回避行動を取った。


 しかし、その隙を逃すはずも無く、ケンタウロスは楓に槍を突き刺した。


 槍は彼女を貫くはずが、吹き飛ばすだけだった。


 怪物は少し驚いた様子だったがすかさず飛びかかった。


(何か方法は無いのか…)


 彼は楓を助ける方法を考えた。


 その刹那、一つの方法を思いついた。


「ファイアーボール!」


 残りの魔力全てを使用し、魔法を使った。


 半径1メートル程ある火球は、怪物に直撃し、落下地点を少し逸らした。


「危なかったー!」


 そのお陰か楓は回避する事に成功した。


「私がもう一度囮になるよ!」


「頼んだ!」


 彼女が勇敢に立ち向かっている間、良介は一度購入した事がある物を買った。


(よし!買えたな)


 彼は購入したポーションを一気に飲み干した。


 そして、こちらを全く気にしていないケンタウロスに全力の火球をお見舞いした。


 すると、頭に直撃して一瞬怯ませた。


「攻撃されるばかりじゃないよ!」


 楓は無防備なケンタウロスにハンマーを右下から振った。


「喰らえっ!」


 良介は意識を辛うじて保っている怪物に一瞬で近付き、首を目掛けて双剣を振った。


 グシャッという音を立て、地面に頭が転がった。


「よし!」


「お疲れ様ー」


 その時、死んだはずのケンタウロスは動き出した。


 そして、槍は変形させてどす黒い弓になった。


「生きてるのか!?」


「えっ!?」


 彼らが驚いていると、ケンタウロスは弓を引き、無数の黒い矢を空中から出現させた。



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