第24話 ケンタウロス
頭の無いケンタウロスが弓を放つと、周りの黒い矢まで飛んできた。
(さっき手に入れた盾を…駄目か。間に合うわけが無い)
彼はすぐに屈んだ。
そして、矢が当たる直前に防弾シールドを出現させた。
(10万か…)
命を買ったと思ったら安い物だと思い、切り替えた。
「楓!無事か?」
心配そうに見てみると、やはり盾で防いでいた。
「うん!ギリギリだったよ」
安心したのもつかの間、次は空中に向けて矢を放った。
黒い矢が雨のように降り注いだ。
良介は盾を上に向けて防いでみせた。
その時、バンッという音を鳴らして盾は木っ端微塵になった。
(お金はもう無い…終わりなのか?)
それでも夕立の様に降る矢に彼は死を覚悟した。
当たる直前の事だった。
(矢が止まった…?)
そう、矢が空中で停止したのである。
「早く逃げろ!」
日本刀を持った彼女の指示通り範囲外に走って逃げた。
楓はいざとなったらスキルで守れるのかは知らないが、余裕そうに指示通りに動いた。
「ありがとうございます!」
「ありがとね!」
「いえ、それよりも戦いに集中しましょう。死にますよ?」
「は、はい」
彼らは無警戒で怪物に近付いた。
怪物との距離はおよそ10メートル。
ケンタウロスは再び矢を放った。
しかし、当たる前に空中で静止した。
そして、彼らは横に回避した。
「喰らえっ!」
良介はソウルダガーに囚われている巨人の魂を使用して攻撃した。
すると、爆発を起こした。
倒れ込む怪物に楓はハンマーで殴り込んだ。
金属を打つ音が鳴り響き、叫声をあげた。
完全に倒しきったかと思ったが、最後の力を振り絞り、漆黒の矢を全方向に放った。
(弓を引かずに!?)
その時、凛とした女性はスキルを使った。
そして、こちらに向かってくる矢を全て止めてみせた。
そして、刀を鎧で守られていない首の切断面に突き刺した。
少し足掻いた後、死亡を確認した。
「勝った…よな?」
「多分勝ったよ!」
「ああ、確実に死亡した」
それはすぐに答え合わせされた。
「フィールドボスを討伐しました。討伐者に報酬を与えます」
良介の手元には真っ黒な弓が現れた。
(ボスが使ってたやつか…?)
などと考えていると、一人の女性がこう言った。
「凄いじゃないですか!私は謎の鍵だったのに!」
見覚えのある鍵がそこにはあった。
「インスタントキーか?」
検討もつかない顔をしている彼女にポニーテールをした女性が答えた。
「扉の鍵穴に刺して回すとダンジョンに繋がる鍵の事だ」
「へー!」
「物知りですね。どこで知ったんですか?」
良介は探りを入れた。
「ああ、傲慢組というクランに所属していてな。そこで情報共有が行われている。」
(傲慢組?変な名前だな)
続けて彼女は言った。
「君達も強いようだから入らないかい?」
(情報か。なんでもショップでも情報は買えないからな。だがこの人を信用してもいいのか?)
少し考えて彼は答えた。
「すみません。遠慮しておきます」
「そうか、残念だな。彼女は?」
「良介くんが入らないなら私も入らないかな……」
「了解。もし入りたくなったらここに連絡してくれ」
彼女は名刺を渡した。
「ところで、この死体頂いても良いか?クランでモンスターの研究をしていてな」
「俺は良いですよ」
「私も!」
良介は快く了承した。
「ではこれで」
「またね!」
「ありがとうございました!」
彼女は去っていった。
「この人達どうしよ……」
彼女は来た頃には息絶えていた人達を見てそう言った。
「とりあえず冒険者協会だっけ?それに連絡しよう」
「そうだね」
連絡してみると、こちらで遺体を受け取るとの事なので解散することにした。
「お疲れ様」
「またねー」
楓は意気消沈しながら別れを告げた。
(傲慢組…か)
彼は家に帰ったらそれを調べてみる事にした。
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