第26話 初めての依頼

(やっと帰れる!水曜日はいつも憂鬱だな)


 今日は部活が無いので政府が出している冒険者用のアプリを使い、ダンジョンを探していた。


(近場のダンジョン無いかなー。早くスキル試したい!)


 すると、良い条件の依頼を見つけた。



[依頼内容]

ダンジョンの攻略

[難易度]

推定C

[推奨人数]

10人

[獲得ポイント]

10



(ポイント?多分ランク上げるためのか。まあいいや、早速行くか!)




(ここか?)


 人通りが少ないゴーストタウンに、今にも崩れそうなビジネスホテルがあった。


 彼は恐る恐る近付いた。


 その時、1人の男性が声をかけてきた。


「君も冒険者かな?」


 見てみると、スーツを着た男と作業着の男、そしてパーカーをきた男達が立っていた。


「はい!冒険者の良介です」


「お!若くて頼もしいね。俺は庄司よろしく!」


「ワシは村井や!ワシら3人だけやったら死ぬから助かるわ!」


 ガハハと大袈裟に笑う男につられて良介は愛想笑いをした。


「皆さんお知合いですか?」


 良介は出発まで会話を続ける為に質問した。


「は、はい。僕の叔父が庄司さんで、その元同僚が村井さんです」


「なるほど」


 そんな他愛の無い話をしていると、一人の男性が提案した。


「忘れてたわ。推奨人数は10人やから、もう行きましょ!」


「え!?僕は念の為に10人で行きたいんですけど……」


(この人、無理やり連れてこられたのかな?)


 乗り気でない様子の男を見て、良介はそう思った。


「推奨人数やから半分でも大丈夫じゃろ?知らんけど」


「そ、そうなんですか?」


 こちらに視線を送ってきた。


「推奨人数の事は知らないですけど、意外と1人でも生還出来ますよ?」


 そんな話をしている時、一人の女性がやってきた。


「半分でも意外といけますよ!ところで皆さん依頼受けた人ですか?」


 皆縦に首を振った。


「おお!結構集まるんですね!冒険者協会に務めてます。雪と申します!」


 新卒だろうか。


 若そうな彼女はそう言った。


「みんな金が欲しいねん。ほな行こか!」


「はい!」 「り、了解」 「承知した」


 一同了承した。


 大柄な男性は、恐れずに先陣を切った。


 それに続いて皆も中に入った。


 自動ドアが開き、眩しい光が降り注いだ。


 ロビーには高級そうなシャンデリア、ふかふかのソファーなどがあった。


(意外と豪華だな)


 外見との乖離に驚いていると、長身な男が話しかけてきた。


「まだダンジョンでは無いのか?」


「多分そうです」


 良介は根拠は無いがそう答えた。


「ダンジョンは外部から見えない入口みたいなのを通るからまだだねー」


 物知りな女性はそう答えた。


「そうなんか?」


「例えば霧が掛かってるとかねー」


(言われてみればそうだったな)


「そんなことよりも雪さん、入口知らんの?」


「魔力検知器って呼ばれてる物でダンジョンの場所を知っているだけなので」


「はえー。ほな探さなあかんな」


 数分探してみた。


 すると、一人の男性が声を上げた。


「こ、これじゃないですか?」


 彼が指さす先にはエレベーターがあった。


「ホンマにこれなんか?ひかる


 すると、雪は機械をかざしてこう言った。


「どれどれー?あ!ほんとにエレベーターかも!乗ろ乗ろー!」


 招かれたので、皆エレベーターに入った。


(ちょっと狭いな…)


「雪さんも行くんですか?」


「同行する許可はもらってるので、お金の為に行きますー!」


 そんな話をしていると、エレベーターの扉が一気に閉じて動き出した。


「ま、まだボタン押してないですよね!?」


「押してないね」


 庄司が話した時、エレベーターが停止した。


「着いたかもねー?」


「ですね」


 扉が開くと、薄暗い客室の廊下が現れた。


「こ、こわい…」


「大丈夫や。俺が守るで!」


「村井さんまだレベル7ですよね?」


「そうやったっけ?」


 少し会話に入りにくいなと思っていると、雪が話しかけてくれた。


「名前聞いてもいいー?」


「良介です!」


「へー!いい名前だね!」


「ところで…」


 雪が話を変えようしたとき、曲がり角からローブをまとった骸骨がやって来た。


(ネクロマンサーか?)


 こちらに気が付くと、手を向けてきた。


 すると、氷の針が現れた。


(このままじゃ誰かに当たるな)


 彼は飛んでくる氷に向けて短剣を投げた。


 パリンッ


 音が発生して氷は粉々になった。


「喰らえ!」


 良介はもう一つの短剣をスケルトンに向けて投擲した。


 しかし、骸骨は当たる寸前で氷の盾を出現させて身を守った。


(防がれたか。でも…)


 彼がそう思った時、男達はこう言った。


「ワシらも見てるだけやないで!」


 だが、彼らがスケルトンと戦闘を始めようとした時、もうすでに骸骨の頭は床に転がっていた。

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