第36話 エラー

「こんにちは!」


良介は三人に向かってそう言った。


すると、30代位の男性がこう言った。


「依頼を受けて下さった高橋さんですか?」


「はい。高橋です!よろしくお願いします」


「冒険者協会の乾と申します。本日はよろしくお願い致します」


その時、鎧を装備している男性が声を掛けてきた。


「俺は堺。よろしくな!」


彼は挨拶しながら、肩を思いっきり叩いてきた。


「は、はい。よろしくお願いします」


少し関わりたくないタイプだと良介は思った。


「時間ないから早く行こ?」


猫耳の生えたパーカーを着ている彼女は催促した。


「そうですね。推奨人数よりも少ないですが、行きますか」


彼は頑丈なケースの中からショットガンを取り出した。


(この人も協会の人なのに戦う系か)


彼は丁寧な口調の男性についていった。




「ここがダンジョンの入口です」


案内に従うと、職員用の扉の前に来た。


(この先か)


「じゃ、行こっか」


武器になりそうな物を持っていない彼女は、一番乗りで扉に向かった。


(俺も行くか)


皆行ってしまったので、彼も取っ手に手を添えた。


開いてみたが、全く手応えが無い。


(本当にダンジョンの入口なのか?)


扉の先は無限に続く闇だったので、安心した。


カーペットの様な材質の床を踏みつけ、前に進んだ。


(あれ?ダンジョンにワープしないな?)


そう思った時、強風が吹く。


咄嗟の事で目を瞑ってしまった。


(目にゴミ入ったかも……)


目を擦りながら開けてみると、彼は謎の機械が左右に置かれている場所に居た。


(サーバールーム?)


そう。サーバールームである。


「お、やっときた」


「即攻略するぜ!」


ロングソードを持った男は、久しぶりのダンジョンで興奮している。


「無理はいけませんよ?」


彼らは前進し始めた。




「全然敵出ないね」


歩き始めて2、3分。


女性に話しかけられた。


「そうですね」


「敬語とか無しでいこうよ。面倒くさいし。ところでスキル教え合わない?」


「そ、そうだな!」


「じゃ、まずは私からかな」


そう言うと、彼女は目の前から消えた。


すると、後ろから声が聞こえた。


「はい、これが私のスキル。空間魔法」


「空間魔法?」


「まあ、物とか人とかをワープできるスキル……て言ったら分かりやすいね」


「凄いね!」


彼は申し訳ないとは思ったが、なんでもショップで値段を調べた。



残高:38万円

空間魔法:50億円 [購入]


(高っ!?強いスキルなのかな?)


「ん?どしたの?」


彼女は不思議そうにそう言った。


(なんでもショップの事言ってもいいのか……)


彼は熟考した。


「何でもない。てか俺のスキルだよね?俺のスキルは鎖動かすスキル!」


腕に巻き付けた鎖を蛇の様に動かした。


「武器が強ければ強そうだね」


遠回しに弱いスキルだと言ってきた。


「そうだね」


その時、サーバールームの電気が消えた。


心無しか室温が高くなった気がする。


「敵かもしれませんね」


前方を見た時、良介は違和感を覚えた。


「こんな扉あったっけ?」


頑丈な扉の上には、非常口と書いている。


「この彫刻……この先にボスがいます」


男性はそう言った。


(確かに見た事のある彫刻だ。だけど急にボス部屋が現れる事なんて無かったよな?)


嫌な予感がした。


「まあDランクのボスだから、余裕でしょ!」


重装備をしている彼はそう言った。


「引き返すのもなんだし、行こっか」


「だ、だな」


良介は皆の言う通り扉に近付いた。


そして、一気に開いた。


その先には、この世界とは別……といってもここも異世界だが、そこは異質な空間だった。


何処を見ても真っ白な空間。


使わないだろうと思って、まだテクスチャを貼っていない空間だ。


まさか間違えてこの空間に繋げてしまっているとは、思いもしなかった。


(なんなんだよ!?)


そう思っている彼に、私はこう言った。


「こんにちは。良介くん」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る