第40話 仲間

 サウナの様に暑いこのダンジョンを、俺たちは歩いた。


 柵が進む道を示している。


 その為、どこに行けば良いのかすぐに分かった。




 少し進むと、前方に橋と溶岩の川が現れた。


「今レベルいくつ?」


「えっとー!」


 彼女はステータス画面を開いたようである。


「お!23だよー!良介くんは?」


 俺もステータス画面を開いた。



 名前:高橋良介

 レベル:23

 種族:人間


 [称号]

 ダンジョン攻略者(5)

 フィールドボス攻略者(2)


 [所持スキル]

 なんでもショップ[lv 5]

 トレジャーハント

 火属性魔法

 糸使い

 鑑定



「同じく23レベルだった!」


(ドラゴンを討伐したのにこれだけしか上がらないのか……。)


「おー高いね!どっかダンジョン行ったの?」


「初めて会った場所あったじゃん?そこ!」


「B公園だったよね?懐かしいなー」


(そういえば、楓は俺とほぼ同じ22レベルなのに、前から装備変わってないな。)


 そんなことを思っていると、橋の目の前まで来ていた。


「この橋罠だったらどうしよー」


「だな……。あ!鑑定すればいいじゃん!」


「え!?鑑定!?」


「そういえば、楓には言って無かったな」


「もー!メールとかで言ってよー」


 少し拗ねた様子も可愛い。


「鑑定」


 目の前の橋を鑑定してみた。



「黒曜石の橋」

 [レア度]

 ★★★

 [説明]

 黒曜石によって作られた橋。

 とても頑丈である。


 罠とかではなさそうだな。


「どうだった?」


「大丈夫そう!」


「おけ!」


 俺は先陣を切って、橋に足をゆっくりと乗せた。


 その時、マグマの川から音が聞こえてきた。


 恐らく何かが飛び跳ねた。


「来る!」


「りょーかい!」


 俺は双剣を取り出し、楓は金属で作られたスレッジハンマーを構えた。


 すると、左からマグマのような液体を纏ったモンスターが3匹現れた。


「スライムなら余裕だ!」


 俺はドラゴンを討伐して手に入れた短剣に、魔力を込めた。


 そして、一気に振りかざした。


 赤黒い斬撃が飛んで行った。


 斬撃が一匹のスライムに当たると、それは破裂した。


「よし!」


 残党は無事、橋に着地したようだ。


 そして、こちらに跳ねてきた。


(当たったら絶対死ぬ)


 それが放つ熱風からそう感じた為、回避に徹底した。


(間に合うか!?)


 当たる寸前、俺は右にローリングした。


(楓は無事か?)


 俺は心配だったので、確認してみた。


 すると、ハンマーを地面に叩きつけている彼女がいた。


 そして、地面にはマグマのような液体をばらまきながら、炸裂する水風船がいた。


(スライム……なのか?)


 原型を留めていなかったので、一瞬分からなかった。


「危ない!」


 彼女のその声によって、戦闘に戻った。


 再び飛び掛かってくるそれを、鎖が叩き落した。


 すかさず、俺はソウルダガーを突き刺した。


(あ……)


 俺は学ばない男だった。


 スライムは短剣を伝い、俺を燃やそうとしてきた。


(本格的にまずい)


 俺は鎖を操って、スライムに毒を注入した。


「あっぶな!」


 魔力をかなり使った為、強力な毒だったらしい。


「油断しすぎだよ!」


「ごめん……」


 もしかしたら死んでいたのかもしれない。


 もう二度と油断はしないと決意した。


「まあいいけどさー」


 楓は先に橋を渡ってしまった。


「話は変わるんだけど、前から装備変わってなくない?」


 俺と殆ど同じレベルなのに、ダンジョンで手に入れた装備などを持っていない様子だ。


 それに違和感を感じ、俺は質問してみた。


「あーそれね。えっと……」


(聞いちゃいけない事だったか?一緒のダンジョンに来てくれる為に、レベルで鯖を読んでるとか?)


 取り繕うとしている楓を見て、俺はそう思った。


 その為、鑑定してみた。



 名前:鏑木楓

 レベル:error

 種族:人間


[称号]

 ダンジョン攻略者(error)

 フィールドボス攻略者(error)


[所持スキル]

 絶対防御[lv 4]

 鮗サ逞コ鬲疲ウ[lv 3]



(どうなってるんだ……)


 俺は見てはいけないものを見てしまったようだ。


「……見ちゃったんだね?」

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