第14話 巨大洞窟ダンジョン

 彼らはすぐにそれが何なのか分かった。そう、人の大きさ位の蟻である。


 25匹くらいだろうか。それらが一気に全方向から近付いて来た。


「えええ!?」


「まじかよ!?」


 彼らは戸惑いながら戦闘に入った。


 彼は楓に背中を預け、前から来る蟻の大群を2つの短剣で迎え撃った。


「喰らえっ!」


 彼は迫り来る2匹の蟻を一振で真っ二つにした。


 後ろからバットで何度も打ち付ける音が聞こえたが、気にせずに戦いに集中した。


 すると、蟻は2匹程度では敵わないと思ったのか10匹程の残党が一気に接近してきた。


(なっ!?)


 彼は焦りを顕にしたが、すぐに冷静に考えある事を試してみる事にした。


「終わりだ!」


 彼はソウルダガーが紫紺に輝くのを目にした。


 そして、彼がソウルダガーを左から右へ振ると強い光を放ち、蟻達を木っ端微塵にした。


(残りは楓の方だけだな!)


 彼は振り向き楓が苦戦している蟻の大群を蹴散らす為にソウルダガーに力を込め、一気に振った。


 短剣は先程よりも弱い光を放ち、蟻を5匹をバラバラにした。


「え!?なにそれ強!」


 彼女は半分の蟻を一気に倒した良介に驚きながらも蟻をバットで叩いていた。

 そして遂に蟻を全滅させた。



「ふう疲れたね!」


「だな!」


 彼らは死の危険から逃れる事が出来た喜びを

 噛み締めてそう言った。




 しばらく進んだが、全く敵が襲ってこない状況に彼らは完全に油断していた。


 その時、背後から声を掛けられた。


「すみません」


 それが話しかけてくる中年男性に彼らはびっくりさせられた。


「うおっ!」


「ひゃっ!?」


「すまないね…脅かすつもりは無かったのだけれど」


「大丈夫です!」


「い、いえ。ところで何かお困りですか?」


「もし良ければ協力しないか?」


 堂々としている男性に提案された。


「私はいいですよ!」


「俺も大丈夫です」


 彼は警戒しながら承諾した。


「もし良ければスキルを教え合いませんか?その方が戦いやすいと思うので」


「その通りだな!私のスキルは氷魔法だ。」


 彼は念じると気温が一気に下がり、氷の塊を作ってみせた。


(スキルは氷魔法で間違えなさそうだな)


 彼は少し信用する事にした。


「俺のスキルはなんでもショップです。名前の通りなんでも購入出来ます」


「私は絶対防御っていうスキルで、30分に一回だけ無敵になれます!」


「え?一時間に一回だけじゃなかった?」


「前のボス戦でスキルレベル上がったでしょ?それで変わったんだよねー!」


「もうそろそろ最強になりそうだな!」


 彼らが盛り上がっていると、その輪に入りたそうに男は言った。


「皆さん強そうなスキルで頼もしいな。私も微力ながら尽力するよ」


「ありがとうございます!」


「私もまだ強いスキルでは無いですけどね…」




「皆さん、私が凍らせる!」


 彼の合図で凍らせた全長3メートルの蜘蛛を良介と楓でタコ殴りにした。


「お疲れ様です!」


「疲れたなー」


「そういえば少年達、名前を聞いていなかったな。私はたかしだ」


「あっ!そういえば言ってませんでしたね!私楓って言います!」


「俺は良介です」


 今更自己紹介を済ませると更に進もうとした。


 その時だった。


 奥から男の悲鳴が聞こえてきた。


 何かが引きちぎれる様な音がし、静寂が訪れる。


 天井から水たまりに地下水が落下する音で心を落ち着かせ、一人のポジティブな女性が提案した。


「付いてきてください。まだ生きている人がいるかも知れません!」

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