第15話 黒蛇
彼らが全力で走って曲がり角を曲がったら、そこには見上げるほど大きな扉が空いていた。
そして、中から床に何かがこすれる音が聞こえ、鉄のようなにおいが漂っていた。
彼らは扉から見える水晶が天井に出来ている空間に巨大な黒い蛇に襲われている男性達を発見した。
数人はもう動かなくなっていたが、二人はまだ生存していた。
「行くぞ!」
冷静な男性は氷で蛇を床に固定すると、それを合図に良介と楓は接近した。
敵との距離は約15メートル。
その時、暴れる事によって足枷から抜け出した怪物がこちらに標的を変えてきた。
まさか来るとは思っていなかった楓は、噛みついてくるのを咄嗟に避けようとしたが、足を噛まれそうになった。
その時、氷の壁が楓を守った。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。それよりも早く片付けますよ!」
紳士は氷柱を作って、怪物に向けて放った。
蛇はその攻撃を急所の頭に当たるのを恐れて、とぐろを巻いた。
その隙を逃さず、2人は畳みかけた。
彼は大きくジャンプすると、短剣を輝かせて振りかざした。
道中に殺したモンスターの魂を今解き放ち、攻撃してみせた。
「シューッ!?」
声にもならない悲鳴をあげたかのように思えた。
しかし、怪物の鱗には殆ど傷がついていなかった。
そして、何事も無かったかのように動き出し、尻尾で彼らを薙ぎ払った。
「グッ」
良介と楓は吹き飛ばされた。
「大丈夫か?少年達!」
良介に追撃しようとする蛇を彼は氷の壁で再び防いだ。
そして、「私が相手だ」と言わんばかりに氷の針を複数個放った。
確かに全て命中したはずだ。
それでも、蛇には少ししか傷がついていない。
「楓!少しの間相手してくれるか?」
「もちろん!」
快く引き受けると、彼女は恐れずに近付いた。
楓が時間を稼いでる時、良介と崇は作戦会議をした。
「どうするんだ?少年」
「氷ってまだ出せますか?」
「少しなら出せると思う」
(少しか…)
彼は少し考えるとショップを開いた。
(mp回復ポーションか?それともmpポーション?)
彼は複数の画面で調べた。
「あった!マナポーションか!」
残高:1万円
マナポーション(小):1000円 [購入]
マナポーション(中):3000円 [購入]
マナポーション(大):5000円 [購入]
[更に表示]
彼は背に腹はかえられぬと思い、マナポーション(大)を購入した。
「崇さん!これを飲んでください」
「これは…」
彼は問おうとしたが、一刻を争う状況に問うのを止めた。
一気に飲み干すと、良介から作戦を聴いた。
「作戦はこうです……」
作戦を説明し終えると、楓にも指示をした。
「楓!こっちに走ってきて!」
「りょーかい!」
彼女がこちらに向かってくると、黒蛇も付いてきた。
そして、近くまで来ると良介は蛇に接近戦を挑んだ。
しかし、蛇が口を大きく開けた瞬間、そこに居たはずの男は横に大きく回避行動をとっていた。
その刹那、無数の氷の槍が蛇の喉を貫いた。
そして、蛇は十数秒のたうち回た後、動かなくなった。
「勝った…のか」
「俺たち勝ちましたよ」
「やりましたね!」
その時だった。
空からお馴染みの無機質な声が聞こえてきた
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