第47話 次は必ず

(ソウルダガーで相殺するか!)


 ソウルダガーを輝かせようとした。


 しかし、輝かない。


 俺は死を覚悟した。


「今のうちに回避しろ!」


 だが、彼女が攻撃を止めてくれたみたいだ。


「はい!」


 俺は数メートル距離をとった。


 すると、再びこちらに向かってきた。


(これだけ離れれば、余裕だ!)


 俺は追尾してくる魔法を、左に走って回避出来た。


「鑑定!」


 回避出来たことを確信すると、スキルを使って情報を得た。



「地獄ダンジョンの石像A」

[レア度]

 ★

[説明]

 大理石によって作られた異形の石像。



(どういう事だ!?)


 その時、不都合な事を考えさせない為だろうか。


 敵は追撃してきた。


 見渡す限り、天井は赤みを帯びた黒の斬撃で埋め尽くされている。


「すまない良介。もう魔力が尽きてしまった」


「了解です!少し待ってください」


 俺は彼女にマナポーションを手渡した。


「助かる。だが、これ程の攻撃を止められるか分からない。いつでも避ける準備を!」


「分かりました」


 回避出来る気が全くしないが、そう言ってしまった。


 彼女は指パッチンをした。


 そして、降り注ぐ斬撃は停止する。


 しかし、総数の約20%は止められなかった様だ。


「良介、必ず助けてみせる」


 今回は諦めてしまった様だ。


 その傍で、タクトも諦めたのか、辺りを見渡している。


「ファイアーボール!」


 俺は諦めずに、火球で斬撃を消し去ろうとした。


 しかし、全てを消す事は不可能だった。


 それでも尚、落ちてくる無数の斬撃。


(終わりだ……)


 俺も諦めて楽になりたかった。


 まあ、諦めなくても残り十数秒の命だけどな。


「良介!地面の石像を全て破壊して!」


「え?」


 困惑したが、冷静になって辺りを眺めてみた。


 地面には頭を垂れている石像数体と、頭が無い石像があった。


(もしかして……?)


 俺は答え合わせしたかったので、石像達を鑑定してみた。



 鑑定が阻害されました。



(鑑定されたら不都合なんだな?)


 俺とタクトの予想は当たってるのかもしれない。


(予想通りなら!)


 俺は天井を見た。


 すると、左後ろだけ斬撃が降り注いでいなかった。


 俺はグレネードを購入し、ゲームで見た手順通りにした。


 そして、震える右手で、頭部を損傷している石像に投げつけた。


(間に合え!)


 後一秒で地上が赤黒い雨で破壊される。


 俺は屈んで、長く生き残ろうとした。

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