第56話 ガーデン

「緊張しているのかい?」


駅のベンチでボーッとしていた。


(今日は土曜日……つまり、フィールドボスが現れる日だ)


「そりゃするよ!死ぬかもしれないんだし……」


「大丈夫……とは言い切れないが、勝てる確率は高い。最善を尽くそう!」


「はい!」 「了解!」 「…」


奈々さんの呼び掛けに、応答した。


「後、十分位でボスが現れる。多くの人を救うために、二手に別れよう」


(二手に分かれて勝てるのか?)


疑問に思ったが、彼女に身を委ねる事にした。


「それじゃ、行こっか」


今まで黙っていた彼女が口を開く。


「どこに行くの?」


「ついてきて」


彼女の後に続いた。




要塞のような量販店を見上げている。


入口付近には、不良のような人達が屯している。


携帯を耳に当て、「まじっすか!?」と言っている。


他のメンバーにも呼びかけると、一斉に吸っていた煙草を地面に押し付けた。


そして、自転車で移動した。


「どうしたの?」


「あーごめんごめん」


笑いながらそう言った。


「ここにボスが出る感じ?」


「奈々さんが言うには」


彼女はスマホを一瞬見た。


「もうすぐ。気を付けて」


「え!?」


その時、店から破壊される音が聞こえてきた。


「時間みたいだね。行こっか」


「了解!」


自動ドアから入店した。


(なんだよこれ?)


棚には蔓植物が絡まっている。


また、地面には植物のカーペットが敷かれていた。


恐る恐る足を踏み入れると、陽菜が話しかけてきた。


「最上階の5階にボスが居るみたい。早く行こう」


「了解!」


俺たちは階段に向かった。




(案外何も無いんだな)


そう思いながら、階段を上っていると、二階についたらしい。


「敵、来ないね」


後ろの女性はそう言った。


「急に来るかもよ?」


「だね。一応警戒はしとこっか」


俺は短剣を握りしめた。


そして、時計売り場を横目で見ながら、三階に向かった。


その時、下から音がした。


ハイヒールで歩く様な音。


後ろを振り返って見ると、階段から蔦が絡まっている女性が現れた。


「なっ!?」


驚いていると、陽菜はしゃがんだ。


そして、レッグホルダーから短機関銃を二丁取り出した。


(え?銃持ってんの!?)


理解が追いつかないまま、敵を蜂の巣にした。


「敵来るかも。注意して!」


彼女はサブマシンガンをリロードしている。


(これはまずいかもな……)


天井から軍隊が進行するような音が聞こえてきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スキル「何でもショップ」でSランク冒険者を目指す! しゅーくりーむ @syu-kuri-mu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ