第21話 フィールドボス

(二時間話聞いただけなのに疲れたな…)


 リビングでレトルトカレーを食べながらそう思った。


(タクトが言ってた事は本当なのか?)


 ダンジョンが現れた初日だけ街に現れたモンスター。


 そして、突然姿を消したドラゴン。


(もしかしたら本当かもしれないな)


 確かにフィールドボスのテストと言われると納得してしまう。


 その為、信じてみる事にした。


(念の為に楓にメールしとくか)


 彼は楓に聞いた事を事細かに伝えた。


 その直後、楓から返信が来た。



 kaedeからのメッセージです。

「明日の12時に前も待ち合わせした駅で会わない?協力した方が楽に討伐出来るからさ!」



 彼はすぐに了解と送った。




(不安であまり眠れなかったな)


 彼はため息をつくと、支度を済ませて戦に備えた。


(あと何か要るっけ?武器あるし、スマホあるし…)


 彼はリュックに装備を詰め込んだ。


(まだ10時だし余裕で間に合うな)


 彼は暇を持て余したので、情報を集めることにした。


 SNSでフィールドボスと検索してみた。


 しかし、どれもネットゲームのフィールドボスの事で不必要な情報ばかりだった。


 10分位だろうか。ようやく目当ての情報を手に入れた。



 Nana@傲慢組

 今日の午後2時に全国にフィールドボスが現れます。協力しませんか?



(午後2時…タクトが言っていた時間と同じだ)



 もしかしたらタクトの仲間かもと思ったので、共闘しない事にした。


 そして、新たな情報を求めてネットサーフィンした。


(全部ネトゲの事だな…)


 1時間位探してみたが、彼はこれ以上有益な情報を見つける事が出来なかった。


 その為、少し早めだがお昼ご飯を食べて駅に向かうことにした。




「ごめん、ちょっと遅れた…」


「大丈夫だよ!3分だけだし!」


「とりあえず前行ったカフェに行かない?」


「いいね!行こ行こー」




 駅から徒歩2分、まだ新しい建物に着いた。


 彼らが扉を開けてみると、カランカランという音が鳴り響き、店員が駆け寄ってくる。


 珈琲の良い匂いが充満している部屋に入ると、店員に人数を尋ねられた。


「2人です!」


「2名様ですね。こちらへどうぞ!」


 席に座ると、二人は話をした。


 あの小説が漫画化するとか、学校のテストの結果など少し雑談をした後、作戦会議をした。


「2時になったら、駅で待機しようかなって思ってるんだけど、どう?」


「その心は?」


「そこでSNSとかでフィールドボスの場所を調べるじゃん?それで少し遠かったら電車で行こうかなーって」


「なるほど!りょーかい!」


 彼らは2時前まで喫茶店で時間を潰すと、駅に向かった。




「後30秒で2時らしいぞ」


「ちょっと緊張するね」


「だな」


「…」


 2人は噂が嘘である事を願いながら沈黙した。


 丁度2時、大きな足音が静寂を破った。


 その刹那、女性の悲鳴が聞こえた。

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