第20話 運命の出会い

「じゃあな良介!」


「はーい!」


 彼は浮かれ気分で階段を上り、ICカードをタッチして改札を出た。


(遂に明日だなー!今日はいつもより早く寝るか)




「ピピピピ」


(もう朝か…)


 彼は目を擦ると、うるさく鳴いていたスマホを見た。


(9時!?早く支度しないと)



 秒で支度を済ませると、彼はドタバタと足音を鳴らしながら玄関に向かった。


「行ってきます!」


 彼は駅に向かった。




 電車でおよそ20分。


 彼は目的地の最寄り駅に到着した。


「ミーンミーン」と蝉の声が聞こえ、より一層暑く感じる。


(いつ来ても人多いな)


 彼は弾幕ゲームのように人を避けて駅を出た。


(やばっ!もう45分か)


 スマホで目的地への道を検索すると、12分で着くと書かれていたので、早歩きで目的地へ向かった。




(よし!間に合ったー)


 彼は名簿にチェックを付けると、後ろの方の席に座った。


 すると、すぐに講師がやってきた。


「えーはじめまして。いきなりですが…」


 良介は授業より真面目に講習を受けた。




(おー!これがライセンスか)


 その場で渡された免許証にはFランクと左下に少し大きめのサイズで書かれていた。


(やっぱFランクなのか…)


 彼は漫画などのようにいきなり飛び級出来るとちょつぴり期待していたので、少しがっかりした。


 その時、コツコツと革靴の音がした。


 そして、音の先に見覚えのある男性を発見した。


 赤髪の男性はこちらを見ると、駆け寄ってきた。


「久しぶりだね。元気だったかい?」


「ああ。お前のせいで死にそうになったけどな」


「ごめんごめん。ここじゃ人目が気になるから、喫茶店にでも行かない?奢るからさ」


「また殺す気だろ?」


「今回は違うよ!」


 流石に数十人いる中で騒ぎを起こすとは考えにくい為、会話を続ける事にした。


「で?何の用ですか?タクトさん」


「フィールドボスって知ってるかい?」


「ゲームと同じ感じなら知ってますよ」


「なら話は早いね。もうすぐそれが実装されるよ。」


「詳しく聞かせてください」


「世界が変わった初日に街にモンスターが現れたのを知ってるかい?それはね、フィールドボスのテストだったんだよ」



 良介は半信半疑で聞き続けた。


「明日の午後2時、世界中にボスが現れる。だから協力しないかい?」


「どうやって知ったんですか?」


「それは…今は言えない。組の機密情報だからね。それで、返事は?」


「無理ですよ」


「そうか…残念だよ。まあもし会ったらその時はよろしくね」


 彼は良介に背を向けると、去っていった。


(あぁ、緊張した。アイツが変なことしてくる前にさっさと帰るか)


 彼は急ぎ足で駅に向かい、帰宅した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る