第10話 対人戦
(こいつハメやがったな!?)
「じゃあ鑑定結果は嘘なのか?」
「いや、鑑定は本当。昨日からアイテムを持ってこさせて俺が鑑定して金になりそうならその場で殺してるんだよね!c町で連続殺人事件ってニュース見なかった?」
「金の為なら殺す必要無くないか?」
「あはは!俺はただ殺したいからやってる!まあ口封じって言う意味もあるけどね」
「……」
良介は反論しても無駄だと思い黙り込んだ。すると、狂人は早々に決着をつける為に言った。
「おい!お前らボーッと突っ立ってないで捕らえろ!殺すなよ?トドメは俺がさす」
(鑑定しか持ってない奴なんて余裕で勝てるに決まってるだろ!)
良介は孤立している男の腕目掛けて短剣を突き刺そうとした。
だが、タクトは慣れたように左手で手首を掴み、短剣を吹き飛ばした。
(なっ!?)
更に男は良介のみぞおちに膝蹴りをお見舞いした。
「ガハッ!?」
良介がみぞおちを押さえていると、タクトは容赦無く顔面を殴った。
良介は地面に倒れ込んだ。
すると、赤髪の男は語り始めた。
「ダンジョンでボス倒した人って自分は最強だって勘違いするんだよね。強いスキルを手に入れて自分は無敵だって勘違いする。そういう人はね君みたいに警戒心が全くないんだよ。前の人何だっけ?ああ、透明化か。鑑定してスキルが面倒だったから即殺したんだけどね、あの人超驚いてたなー!あはは!」
気持ち良く語っていると、三人衆のボスのような人が申し訳なさそうに話した。
「タクトさん、早く殺さないとサツが来ますぜ?バレたら上がキレちまうぜ」
「あーそうだね。じゃ短い間だけど取引ありがとうございました!」
彼はナイフで良介の心臓を貫こうとした。
その瞬間バタッと音が鳴り響き、赤髪の男はその場に倒れ込んだ。
その隙を逃さず、青年は短剣を回収して逃亡した。
「お前らはアイツを追いかけろ!タクトさんは俺がアジトに運ぶぜ」
「もしかしたら、アイツ待ち伏せしてるかもやから気ぃつけてな!」
「秒で片付けてアジトに戻る…」
(スタンガンって超強いな!)
良介は駅に逃げ込むとそう思った。
(よしここまで来たら大丈夫だな)
彼は良介以外に誰もいない車両に乗り込んだ。
すると、横の車両から見覚えのある男がやって来た。
「よう!坊主。不意打ちでスタンガン使うなんてほんま卑怯やな!」
彼はそう言うと、何も無い場所から突如炎が現れ、良介に向かってきた。
「危なっ!」
良介は見た事のある攻撃を避けて、得意の距離まで近付いた。
そして、彼は無防備な男に痛打を与えようとした。
たが、その刹那正面から衝撃を与えられた。
「なっ!?」
(風魔法か…?)
地面に倒れた彼は冷静に考えようとした。
しかし、魔法使いは隙を与えないように炎魔法で攻撃した。
「そんな適当なファイアボールに当たるわけないだろ?」
「避けるだけやったらキリないで?」
「mp使わせてるんだよ。ゲームやった事無いのか?」
「お前の世代のゲームやないけどな、チャージすれば一瞬で回復するタイプのゲームもあるんやで?」
そう強がると、魔術師は炎を放った。
良介は左にステップしてまたもや回避した…と思っていた。
後ろから気配がし、同じ方向から押されるような感じがした。
(また風魔法!?)
そう良介は思ったが、同時に疑問を抱いた。
(そういえば、何で一人で来てるんだ?三人いたよな?大体見えない攻撃をこんな遠くまで、しかも目視してない方向から飛ばせるなら
なんで風魔法ばっか使わないんだ?)
そう考えていると、一つの事に気が付く。
そして、その対策のためにあるボールをスキルで出現させ、後ろの地面に目掛け投擲した。
(何でボール後ろに投げてるんや?まさか…)
投げたボールは地面で破裂し、ペンキを撒き散らした。
(カラーボールなんか!?)
不可視で無くなった男に向かって即座に近付き、スタンガンを首に当てた。
「やっと見えましたよ。透明人間さん」
「殺しても良かったなら、お前なんて秒で
片付いたんだがな…」
「負け惜しみですか?俺みたいにスタンガン
使えば良かったのに」
痛みで動けない透明人間を背に、彼は臨戦態勢を整えた。
しかし、その刹那アナウンスが流れた。
「ご乗車ありがとうございました」
良介はこの不毛な争いから逃れるために開く扉から飛び出した。
「おい!待てや!はよ帰ってこい!」
だが、彼は男達を乗せて扉を閉じる電車を背に
走り続けた。
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