第11話 地下鉄ダンジョン

(逃げ切れたか?)


 彼は息を切らしながら追手がやって来ないか確認してみた。


(いない…かな?敵がまた追ってくる前に帰るか!)


 彼は再び電車に乗り込んだ。




(あーやっと家に着いた。今日はまじで疲れたな)


「ただいまー」


「お帰り!晩御飯出来てるわよ!」


 そしていつも通りご飯を食べ終え、風呂に入り眠りについた。




(体重い…月曜日ってなんでこんな憂鬱なんだよ!)


 彼は不満をぶちまけて、身支度を済ませた。


「行ってきまーす」




「おっはー良介!」


「月曜日なのに元気だな。大雅たいが


「てか昨日のニュース見たか!?B公園でダンジョンってやつ!」


「あーあれね。俺入ったよ?」


「まじで!?やっぱモンスターとかいんの?」


「うん、ゴブリンとか居る」


「おおお!!漫画にありそうな展開きたー!」


「だな!」


 彼らが談笑していると、それを邪魔するように

 チャイムが鳴った。




「やっと六限目終わった!」


「おつおつ!良介この後暇か?」


「部活あるから今日は無理だな」


「えーダンジョンあるらしいから一緒に行こうと思ったのに!三ヶ月の仲だろ?」


「結構短い仲だな。それよりも今ダンジョンって言った!?」


「ああ、言ったぞ?」


 少し考えた後、今日くらい良いかと考え、一度家に帰ってからダンジョンに行くことにした。




「本当にここなのか?地下鉄だけど…」


「まじまじ!ネットニュースにもなってたから!」


「なら大丈夫だな!」


 大雅についていくと、非常出口に不気味な霧がかかっていた。


「これがダンジョンか!?すげー!」


「俺が行ったダンジョンとは違うな」


「まじで?まあ行くか!」


「あーす」


 良介は適当に返事をした。


 そして、二人同時にそれに入って行った。


 するとそこには古びた地下鉄が続いていた。


「ダンジョンってこんな感じなの?」


「いや、前は洞窟だった」


「へー!」


 彼らは先程の地下鉄と瓜二つの場所を探索した。


 すると、前方から男歩いてきた。


「良介!人がいるぞ!」


「でも歩き方変じゃないか?」


 確かに人の形をしているそれは、良介達を発見すると、うめき声を出して近付いてきた。


「ゾンビじゃねーか!?良介どうにかしてくれ!」


「任せろ!」


 動く死体は良介に噛み付こうとした。


 しかし、彼は目にも留まらぬ速さでゾンビの首を掻っ切った。


 すると、どす黒い血が流れ完全な死体となった。


「おー!すげぇ!」


「戦わないとレベル上がらないよ?」


「だ、だな!次は戦うぜ!」




 少し進んだ時、爪が床に当たるような音がした。


「おい良介!あれ見ろ!」


 彼が指さす方向を見ると、狼のような生物が猛進してきた。


「うおっ!?」


 良介は急な出来事に反応出来ず、押し倒された。


 もがいてみたが、狼の力が強すぎてビクともしなかった。


「ナイフ借りるぜ?」


 彼は友人の危機を救うために勇気を振り絞って地面に落ちている短剣を拾った。


「止まってるなら楽勝だぜ!オラッ!」


 そして男は短剣を狼の頭にぶっ刺した。


「大丈夫か良介!?」


「ああ、何とかな。ありがとな」


「なんと!レベル上がったぜ!」


「おー!で、スキルは?」


「えっと…」

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