第18話 死霊術師の墓ダンジョン

 数分進むと、また土からスケルトンが現れた。


(げっ!5体!?)


 3体の剣を持った骸骨と2体の弓を持った骸骨が良介を襲った。


(ファイアーボール!)


 彼は矢を放ってくる前に弓持ちスケルトンに向かって火球を投げた。


 崩れ落ちる骨の音が鳴り響いたが、残党が良介に向かってきた。


(まだ4体もいるのか…)


 敵との距離は約5メートル。


(近づいてくる前に弓持ちを全滅させる!)


 彼は再び火の球を見事直撃させた。


 迫り来る3体の骸骨に良介は輝く短剣を振った。


 すると、閃光と共に骸骨を撃破した。


(よし!)


 彼は骸骨の全ての骨と持っていた武器を売却した。


(2万5000円か!結構金になるな!)


 彼は富豪になった気分で更に前身した。


(そういえば楓とダンジョンで出会ってから結構楽しい日々送ってるよな…)


 彼は世界が変わってから変わった自分の事を考えた。


(前までは同じ通学路通って普通に勉強して普通に卒業して普通に就職とか出来れば良いと思ってたのにな…)



(今は最強になりたい!)



 彼がそんなクサイ事を考えていると、道が途切れた。


 そして、その10メートル位先に無限に思える程の十字架を発見した。


 その時、一つの十字架の地面から何かが出てきた。


(またネクロマンサー!?)


 前よりも豪華なローブを着ている骸骨は、立ち上がると両手を開き上げた。


 すると、無数の十字架の下から白骨化した死体を呼び起こした。


(嘘だろ!?)


 素手の骸骨達は何かを求める様に全速力で向かってきた。


(やるしかないな!)


 彼は両手に持った短剣で、迎え撃った。


 一番乗りの骸骨の頭を吹き飛ばすと、流れるようにもう一つの短剣で別の骸骨を倒した。




 3分位だろうか。


 彼は全く減らないスケルトンに焦りを感じた。


(前みたいにネクロマンサーをやるしか…)


 彼は後ろから見物している死霊術師を倒す事にした。


 かき分けるように骸骨をなぎ倒し、遂にネクロマンサーの目の前まで来た。


「喰らえっ!」


 彼は倒した骸骨達の魂をネクロマンサーにぶつけた。


(やったか?)


 完全に倒しきったかに思えた。


 しかし、ローブを着ている骸骨は何事も無かったかのように立っていた。


(スケルトンで壁を作って守ったのか!?)


 前よりも進化した防御方法に彼は感心した。


 彼は奥の手の火属性魔法をすぐに使い、巨大な火球をネクロマンサーに向けて放った。


 当たる寸前、再び骨の壁が出現したのが見えた。


(また防がれたか…)


 彼はマナポーションを購入して仕切り直そうと思ったが、一筋の光が見えた。


 それは辺りの骨が崩れ落ちる音だった。


(mp切れか?)


 無傷の骸骨は手馴れた様子でこちらに手をかざした。


 良介が咄嗟にサイドステップをした瞬間、先程までいた場所に蒼白い火球が飛んできた。


(マナは枯渇していないって事だよな…俺のソウルダガーみたいに魂使う感じか?)


 彼は孤独な骸骨を仲間の所へ送るために接近した。


 対して、ネクロマンサーはこちらに向けて複数の火球を放った。


(うおっ!?)


 数個は回避してみせたが、とうとう目の前に炎が現れた。


 だがしかし、彼は即座に反応すると全てのマナを消費して蒼白い火球にぶつけて相殺した。


 そして、再び目の前まで接近してみせた。


「もう終わりだ!ネクロマンサー!」


 彼はそういうと、二つの短剣で死霊術師の首をはねた。


 白い絨毯の様な地面にカラカラッという音を鳴らし、地面に転げ落ちた。


「ようやく勝ったのか…」


 彼に返事するように無機質な声が鳴り響いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る