第17話 魔法

 彼は数十分悩んだ末、決定した。


 光の粒子が良介の体に入り込んだ。


 そして、ステータスを確認するとそれは書いてあった。



 名前:高橋良介

 レベル:15

 種族:人間


 [称号]

 ダンジョン攻略者(2)


 [所持スキル]

 なんでもショップ[lv 5]

 トレジャーハント

 火属性魔法


(トレジャーハントと同じでスキルレベルが無いスキルなのか)


 彼は独りで興奮して暑くなっていた。


(魔法ってどうやって使うんだ?)


 彼は模索するとすぐに使い方を理解した。


(魔力的な何かを集める感じで…)


 血管を通じて魔力が集まるのを感じた。


(これだけ集めればいけるか?)


 彼は魔力に火をつけるようなイメージをした。


 すると、手のひらから高さ30センチメートル位の火が出た。


(ええ!?)


 思ったより勢いよく飛び出たそれに彼は仰天した。


(す、すげええええええええ!)


 彼は念願の魔法をようやく手に入れる事が出来た。


(ダンジョン攻略すればアイテム手に入るから、それ売ればスキル買いまくれるよな?)


 彼はすぐに攻略出来るダンジョンは無いかと考えた。


(そういえばインスタントキーあったな!)


 彼は初めてのダンジョンで手に入れた鍵を眺めた。


(もし裏ステージみたいなので、雑魚敵ですら倒せなかったら…)


 彼は一瞬悩んだが、使う事を決意した。


(もうすぐ母さんパートに行くからその時に使うか!)




 扉を開けて、母は急いで飛び出していった。


(よし!)


 彼は玄関近くの全く使っていない倉庫みたいな部屋の鍵穴にそれを刺して回してみた。


 ガチャッと音が鳴り響き、扉を開けるといつもとは違う場所に繋がっていた。


 霧がかかっており、先は10メートル程しか見えない。


 また、近くの木にはカーと喚いているカラスが立っていて、不気味な雰囲気を醸し出している。


(庭園か?)


 自然豊かな場所に砂利道とその両側に西洋風の墓があった。


(死霊術師の墓…か)


 彼は名前通りの場所だと感じた。


 彼は砂利を踏む音を鳴らしながら、恐れずに前進し続けた。


(あれ?全く敵来ないな)


 そんな事を思ったからだろうか。


 後ろの土が蠢き、白骨化した手が出てきた。


(うおっ!?)


 その直後、全容を現した。


(スケルトンか)


 彼は手に剣を持ったモンスターと戦闘を始めた。


 骸骨は近付いてきて、剣を振りかざした。


 しかし、良介は焦らずに黒い短剣で受け流した。


 そして、手のひらを骸骨に向けた。


「ファイアーボール」


 彼は自信なさげに言うと、手のひらから火の球を放った。


 その攻撃は見事直撃し、骸骨を焼き払った。


(おお!)


 妄想していた事が現実となり、青年は興奮した。


 だが、次の攻撃に備えるために彼はすぐに落ち着いた。


 待ってみたが、一向に来ないので戦利品を確認した。


(この剣もしかして売れるんじゃね!?)


 彼は骸骨が持っていた剣を売却した。


(さ、3000円?1万円位じゃないの!?)


 やはり現実は甘くなかった。


 それらばと彼はスケルトンの骨を売ってみた。


(おー)


 全ての骨を売った結果、2000円だった。


(意外と高く売れるんだな!そもそも売れないと思ってた)


 彼は予想に反しお金になる骸骨を全滅させることを決意し、前に進んだ。

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