第6話 ネクロマンサー

「宝箱とか無いんだねー」


「そうだな」


 もっとモンスターと戦うことが出来れば話せただろうが、彼女が殆ど倒してしまっていた。


 そして遂に気まずい空気が流れる。


 何か共通の話題は無いかと彼女の言動を振り返ってみると、共通の話題を見つけた。


「もしかして小説投稿サイトとか見る?」


「うん!見るよー最近面白かったのは、豚に転生するやつ」


「あ、見たことあるかも。ギャグが面白いんだよな!」


「分かるー!良介くんは何が1番好き?」


「俺は異世界でタイムリープするやつ!」


「アニメ化もされてるよね!」


 少し会話が弾んで良介は安心した。




 歩き始めて10分位だろうか。ついに最深部へ到達した。


「行き止まりだな」


「だねー。分かれ道に戻ろっか!」


「だな!」


 また10分程歩き、分かれ道に戻った。


 そして、今度は左側に向かった。




 少し歩くと前方から1体の弓を持った骸骨が現れた。


「あいつ弓持ってる。気を付けろ!」


「おっけー。私が囮になるから、良介くんはさっきみたいに後ろに回り込んで!」


「了解!」


 宣言通り彼女が先に前に行った。


 それを阻止するかの如く骸骨は弓を放った。


 しかし、彼女は華麗に回避し接近した。


 それに続いて彼もダッシュした。


「もらった!」


 彼女はバットで頭を飛ばそうとした。


 だが、スケルトンはすかさず矢を手で持ち彼女に突き刺そうとした。


 しかし、骸骨はもう一人の仲間のことを全く気にかけていなかった。


 良介は彼女にダメージが入る直前、矢をバットで叩き落とした。


 そして彼女は期待通り骸骨の頭を吹っ飛ばした。


「やった!」


 喜ぶ彼女とは対照的に彼は次に来る敵を警戒していた。


 すると彼を脅かすように無機質な音声が流れた。



「レベルが上がりました」



「あ!レベル上がった!」


「おめでとー!」


 彼はステータスを確認した。



 名前:高橋良介

 レベル:3

 種族:人間

 [称号]

 なし

 [所持スキル]

 なんでもショップ[lv 2]



「あれ?スキルレベル上がらない」


「良介くんって今何レベルだっけ?」


「3レベ!2に上がる時は上がったのにな」


「私なんて3レベル目で初めて上がりましたよ」


「え?本当?個人差あるんだな」


 そんな話をしてまだまだ続く洞窟を進んだ。




 すると、数十分後見た事ない彫刻を施された扉を見つけた。


「これゲームだとボス出てくるやつだよな?」


「だねーどうする?もしかしたら超強い奴かもよ?」


 少し悩んだ後、彼はこう問いかけた。


「やっぱスタートダッシュが重要だよな?」


「だと思うよ?」


「じゃあ行くか!」


「はーい!」


 彼はぐっと握りこぶしを作った。


 それによって、緊張が少し和らいだので、扉を一気に開いてみた。


 すると、目の前には今までの道よりも大きな空間があった。


 地面にはローブを着たまま白骨化した死体があった。


 彼らは武器を構え、戦闘準備をした。


 すると、死体は突如動き出し、地面から剣と盾を持った骸骨を3体召喚した。


(ネクロマンサー!?)


「良介くん!危なくなったら私を盾にしてください!スキルで防ぐから!」


「了解!」


 彼らは一体ずつスケルトンの相手をしながら、死霊術師の攻撃を警戒した。


 スケルトンと死闘を繰り広げていると、ネクロマンサーは蒼白い火球を2人に向けて放った。


「避けろ!!」


 彼はそう指示し、2人とも無傷ですんだ。


 しかし、これでは埒が明かない。


(どうすれば……そうだ!)


 彼は良い案を思いつき、彼女に伝えた。


「スケルトンは無視してネクロマンサーを狙って!」


「りょーかい!」


 彼らは骸骨の攻撃を回避し、死霊術師に近付いた。


 その瞬間、接近戦を恐れるように炎をこちらに飛ばした。


 良介はその炎を当たる寸前で避けた。


 しかし楓は当たってしまい、その場に倒れ込んだ。


「楓!?」


 彼は心配しても意味が無いと考え、ローブを来ている骸骨に近付いた。


「喰らえ!」


 彼がバットを振りかざし命中する直前、死霊術師は骸骨を召喚し身を守った。


(嘘だろ!?)


 召喚された骸骨を破壊する事は出来たが、隙を作ってしまった。


 その隙を逃さず、死霊術師は彼を魔法で灰に変えようとした。


(ここまでなのか…)


 彼は覚悟し目を瞑った。


 しかし、骨が地面に崩れ落ちる音がしてまぶたを開いた。


 そこには死んだはずの女性がいた。


「楓?」


「ごめんごめん!こうすれば奇襲できるかなーって思って!」


 彼らの会話を遮るように音声が鳴り響いた。



「レベルが上がりました。」



「またレベル上がった!」


「私も!レベル6になったよー!しかも今回はスキルのレベルも上がった!」


「良かったじゃん!俺も確認してくる!」



 名前:高橋良介

 レベル:5

 種族:人間

 [称号]

 なし

 [所持スキル]

 なんでもショップ[lv 3]



「スキルレベル上がった!」


「おー!」


 彼らは骨を粉々にしてからスキルの変更点を確認した。

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