第5話 出会い

 階段を降りると、そこには分かれ道があった。


(右か左どっちに行こうかな)


 彼が悩んでいると、右手から女性の悲鳴が聞こえた。


 良介は迷わず右の道を選び、駆け足で進んだ。




 すると、金属バットを持った女性が向こうから2体の剣と盾を持った骸骨を連れて走ってきた。


「右の奴を狙ってください!俺は左の相手をします」


 彼は咄嗟にそう叫んだ。


「はい!」


 彼女はそう言うと男がいる場所まで来て、臨戦態勢を整えた。


(そもそもスケルトンってどうやって倒せばいいんだ?)


 スケルトンと言っても作品によって復活するものとしないものがある。


 しかし、一度倒してみないことには分からないので、彼は目の前の戦闘に集中する事にした。


「はっ!」


 彼は包丁で骸骨の頭を殴打しようとした。


 しかし、盾で防がれてしまった。


(まじか!?スケルトンって反射神経良いの!?骨だよ?脳無いじゃん!)


 彼は驚いたがすぐさま冷静になり、拳を相手の胴体に直撃させた。


 だが、骸骨は怯まずに剣を左から右へと振りかざした。


 しかし、彼は即座に反応し、打ち合った。


「嘘だろ!?」


 打ち合った衝撃でみねから上の部分が折れてしまった。


 その刹那、彼はショップを開いてバットと検索し購入した。


 そして彼は出現したバットで叩きつけた。


 再び盾で防がれてしまったが、今度は怯んだ様子だったので、頭をバットで殴打した。


 すると、スケルトンは動かなくなった。


(よしっ!)


 その直後、右から「カンッ」と金属を打ち合う音が聞こえた。


 苦戦している彼女に加勢する為に、彼は存在感を消して敵の背後を取り頭を強く打ち付けた。




「私達本当に勝ったんですか?」


 彼女は少し驚いた様子で問いかける。


「まだ油断は出来ないけどな。もしかしたら起き上がって来るかもよ?」


「ええ!?怖いこと言わないでくださいよ!」


 彼女は動かなくなった骸骨の頭蓋骨を丁寧に砕いていった。


(えっなにこの子。怖っ!)


「これで大丈夫ですよね?」


「あ、ああ。大丈夫だよきっと…」


 彼は「ゲームでは聖属性とかで攻撃しないと起き上がってくる」と言おうとしたが、言える状況では無いのでそう言った。


「引かないでくださいよ!!」


「ご、ごめん。流石に容赦ないなーって思って」


 お前が言える事ではない。(1話参照)


「あっ!自己紹介してませんでしたね。私、鏑木楓って言います!気軽にかえでって呼んでください!」


「高橋良介って言います。よろしく。ところで、同い年くらい?俺17歳だけど」


「私1つ下!16だよー!さっきは凄かったね!なんも無い場所からマジックみたいにバット出して」


「あれね。なんでもショップっていうスキルでどこでも物とか買える」


「えーいいなー私もスキル持ってるんだけど、絶対防御っていうあんまり使えないスキルなんだよねー」


 そこで彼はひとつ疑問に思い問いかけた。


「え?そのスキル俺が欲しい位なんだけど!」


「いやー説明見たら1時間に1回しか守れない

 らしくて。私も最初は最強じゃんって思ったんだけどね。」


「確かに少し不便だな。一つ質問なんだけど、説明ってどこから見れるんだ?」


「ステータス画面からスキル押したら見れるよー!」


 彼女の助言通りにしてみると本当に説明を閲覧出来た。



「なんでもショップ Lv2」

[効果]

 地球上にある物、地球上のダンジョンにある物及びこの世のスキルをお金で購入出来る。


[クールタイム]

 なし



「見れた!」


「力になれて嬉しいです!」


「ところで楓ちゃん…さんはこのまま奥に行く感じ?」


「呼び捨てで良いですよ良介くん!そだねー

 ダンジョンが急に出てくる系の物語って初めが肝心でしょ?だからこのまま行けるところまで行こうと思ってる!」


「じゃあ俺もついていってもいい?」


「良介くんが来るなら安心ですね!」


 そして彼らは更に奥へと進んだ。

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