ミリーside

前までのお姉様はミリーと全然遊んでくれなかったです。


でも、一年ほど前から遊んでくれるようになりました。


それがとっても嬉しくて、お姉様に抱き着くと頭を優しく撫でてくれました。


お日様の匂いがして、温かくて、そんなお姉様がミリーは大好きです。


それからは毎日お姉様に魔法を見せてもらいました。


お姉様の魔法はどれも素敵で、特に好きだったのは、ハナビ? というとっても綺麗な魔法です。


そんなある日。


「あ、あれ? う、上手く立てないです...」


急に苦しくなり、その場で倒れ込んで部屋のベッドに運ばれました。


その後はお父様やお母様、お医者様たちが駆け付けてくれましたが、なんだか物凄く悲しい顔をしていました。


そこで感じとってしまいました。


ミリー、死ぬのかな......?


そう呟いた瞬間、お父様たちは更に悲しい顔になり、そんなことないと励ましてくれました。


嘘でも励ましてくれるのは嬉しいです、嬉しいですけど。


死んじゃうのは...悲しいです...


その時、自分が死ぬことを想像して涙が溢れました。


もうみんなに会えないと思うと泣いても泣いても涙が止まらなくて、自分じゃどうしようもなくなって。


く、くるしいよ...誰か...たすけて...おねがい...だから......


そんな時、部屋のドアが勢いよく開きました。


「ミリー大丈夫!?」


大好きなお姉様でした。


お姉様は心配そうに駆け寄ってきます。


昔は冷たかったお姉様が、今ではこんなにもミリーのことを心配してくれている。それがとても嬉しいです。


でも、そんな日々ももうすぐ終わりだと思います。


だってミリーは――


その時、お姉様がミリーの左手を両手で強く握りました。


「待っててミリー!! お姉様が必ずあなたを救ってみせるわ!!」


そしてお姉様の魔法が全身を包みました、それはまるでお姉様自身に優しく包み込まれているみたいで、とても落ち着きました。


やがて全身を包んでいた優しい光は消えていきます。


それはお姉様がミリーの前から居なくなってしまうようですごく嫌でした。


光が消えると、先ほどまでの苦しみは嘘のように無くなっていました。


そして、お姉様もミリーの手を握ったままそこに居ました。


さっきはお姉様が居なくなってしまう気がしたので、ほっとします。


「どう? ミリー、苦しくない?」


お姉様の優しい声を聞いた瞬間、先ほどまでの感情がぐちゃぐちゃになって押し寄せてきました。


自分が死んでしまうこと。

もう二度とみんなに会えないこと。

そして、お姉様が自分の前から居なくなってしまうこと。


自分一人じゃ抱えきれなくなり、たまらずお姉様に抱き着きます。


その時――


「よしよし、お姉様がずっと傍にいるから大丈夫よ」


お姉様はそう言いました。


「ほ...本当ですか...? ずっとずっと!! ミリーの傍にいてくれますか...?」

「えぇ、もちろんよ。私たちは姉妹なんだから!! だから私はミリーから離れたりしないわ」


お姉様が自分の傍から居なくならないと聞いて、この上ないほどの喜びで胸がいっぱいになりました。


「えへへ、お姉様大好きです!!」


今はこの気持ちを大好きでしか言い表せません、でも大好きなんて言葉じゃ全然足りません。


もっと沢山言葉を覚えなきゃです。


そして誓います、もし今後ミリーとお姉様の間を引き裂く奴や、お姉様を傷つける奴がいたら、


絶対に許さない。

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