第44話
休みも終わり、また学園での生活が始まった。
因みに、あれから寮での生活は控えて、ミリーの為に放課後は屋敷に帰ることにした。
ミリー...今も寂しがってないといいけど...
「おい!リリー。 お主なにぼーっとしておるのじゃ!!」
「あ、すみませんキロ先生」
「確かにお主にとってこの初級のダンジョンは簡単かもしれんが、しかし、常にダンジョンは危険と隣り合わせであることを忘れてはならぬぞ」
そう告げるキロ先生の目は、いつもより真剣だった。
今日の授業はダンジョンの探索だ。
私たちの目の前にある小さなピラミッド型のダンジョンは、ゲームで初めてレベルを上げる際にお世話になった、初級ダンジョンだ。
「ここには四人パーティーで入ってもらうのじゃ。好きな者とパーティーを編成し、指定の鉱石を採取してくるのじゃ」
すると、キロ先生が手をパンと鳴らした。
「ほれ。五分やるから、好きにパーティーを組むのじゃ」
その瞬間、私の両腕は、二人の人物に掴まれて完全に塞がった。
「リリー様、私たちと一緒に組みましょう!」
「組みましょうですわ!」
私を両サイドからがっしり掴んできたのは、アシュリーとジェシカだった。
「ええ。組みましょう!」
私は勿論二人と組むことにした。
「あ、でもあと一人足りないですわ」
「そうですね」
すると、私の目に、あわあわとして、クラスメイトに声を掛けれていないソフィアが映った。
勇気を出して声を掛けたとしても、平民出身である彼女は、皆から避けられ、断られていた。
こ、これはゲーム通りの展開ね。ゲームだとそんな彼女を、悪役令嬢であるリリーが皆の前で馬鹿にするのよね...
そして、そこを止めに入った魔法省長官の息子であるルイに誘われて、ソフィアは攻略対象達のパーティーに入るのよね。
......これって、私がソフィアを馬鹿にしないと彼女はルイに誘われず、孤立するかもしれないってこと!?
いやいや、そんなことは無いはず!!
確かルイがソフィアを誘った理由は、鑑定の儀で彼女の魔法の才能に驚き、興味を持ったからよ。
だから、私がわざわざ馬鹿にしなくても、ルイはいずれソフィアを誘うはずよ!!
すると、突然後ろから声を掛けられた。
「あの。もしよろしければ、ボクをそちらのパーティーに入れて頂けませんか?」
私が振り向くと、そこには、攻略対象であるルイが笑顔で立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。