第31話

「初めましてリリー様。まさか、ジェシカ様のお屋敷にリリー様がいらっしゃるとは思いませんでした」


目の前の攻略対象、ルークがニッコリとしながらそう言った。


深い緑の髪を七三分けにし、メガネをかけている。


ルークは普段クールで勉強ができる反面、可愛いものが大好きというギャップのあるキャラだった。


ジェシカにセリフをかけたのも、似た部分があったからだと言われている。


そして、私はそのルークとジェシカがどんな感じか気になって来ちゃったってわけ!!


「初めましてルーク様。私とジェシカは親友なので、よくお屋敷に遊びに来ているのです」


私がそう言うと、隣に座っていたジェシカがそわそわとしだした。


あれ!? 何この反応!? も、もしかして、親友だと思ってたの私だけ!?


「ジェシカ。ち、違った?」


そう尋ねると、ジェシカは動きを止めて私を見つめる。


すると、彼女は頬を赤く染め、必死に何度も首を横に振った。


よ、よかったぁ〜。ジェシカも私のこと親友だと思ってくれてたんだ。


すると、ルークの眉間に一瞬シワが寄った。


「お二人はとても仲が良いのですね。以前ジェシカ様とお会いした時は、そんなに可愛らしい表情を見れなかったので驚きました」


「あれ? ジェシカっていつもこんな感じじゃないですか?」


「そ、そんなことよりもですわ! ルーク様はワタクシに何かお話があるのですわよね?」


「ああ、そうでした。実は、魔怜まれんの花が咲く綺麗な場所があるのですが、ジェシカ様と一緒に行けたらなと思いそのお誘いに来たのです」


魔怜まれんの花が咲く場所って、もしかしてゲームで出てきたあの場所!?


ルークルートの中盤で出てくる場所じゃない!


うわぁ、行ってみたいなぁ。


「うーん。そうですわね...まだ会って二回目ですし、今回は――」


「私も行ってみたい!!」


「今回は行きましょうですわ!!」


「わ、わかりました...」


そして、ルークは少しの間を置いて私を誘う。


「...リリー様も一緒に来られますか?」


「いいんですか!?」


「は、はい...構いませんよ」


「やったー!」


私とジェシカは手を組んで喜ぶ。


「あっ!! アシュリー様もお呼びしてよろしいかしら?」


「あ、じゃあ妹も呼んでいいですか?」


「は、はい...是非皆さんで一緒に行きましょう...」


ルークの顔色は、来た時に比べてかなり悪かった。

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