第32話
私たちが山道を抜けて見たのは、青い花びらの
「わぁ、とっても綺麗ですね!」
「一面青色です!! ミリーこんなの初めて見ました!!」
一緒にきたアシュリーとミリーは大はしゃぎする。
す、凄いわ...ゲームで見るよりキレイ...
それから、暫く景色を楽しんでいたその時――
ん? この魔力は...
山の方から、邪悪な魔獣の魔力に私は気がついた。
魔獣とは、魔力でできた人を襲う凶暴な存在だ。
それがなぜ山の中から? 山の方には、ルークが連れてきた護衛の方達が居るはずだけど...まるで見逃したみたいに魔獣がこっちに向かってきてるわ。
あ、でもその人達に攻撃されたのか、ちょっと魔力が弱ってるわね。
すると、山の中から魔獣が姿を現し、こちらに向かって走ってきた。
「あれは、ダークボアね」
イノシシのような見た目で、凶暴だが、所々傷ついてみえる。
私の言葉を聞いた皆が、魔獣の存在に気がつく。
ジェシカとアシュリーは魔獣に怯えるが、ミリーとレイは冷静に見えた。
すると、ルークがみんなの前に出る。彼はジェシカをチラッと見ると、少しだけ笑みを浮かべた。
「みなさん、魔獣が現れました! さぁ、ここは僕に任せ――」
や、ヤバい! 私がこの中で一番強いから、私が対処した方が安全よね!?
そこで私は走り出し、その魔獣を思いっきり蹴り飛ばす。
すると、魔獣は紫色の魔石だけを残し、跡形もなく木っ端微塵に消し飛んだ。
「ありがとうございますですわ! リリー様!!」
「やっぱりリリー様は強くてカッコイイです!!」
私が振り返ると、ジェシカとアシュリーの視線が凄くキラキラとしていた。
そして、ルークはメガネが斜めにずれ、愕然とダークボアがいた場所を眺めていた。
◎
それから暫く経ち、みんなで景色を楽しんでいると、ルークがある言い伝えを話しはじめた。
「実は、花びらが一枚少ない、五枚の
それを聞いた途端、みんなの顔が真剣になる。
すると、ミリーが魔法を発動させ、その
アシュリーも本で得た知識をフルで活かし、直ぐに沢山見つけ出した。
レイは探してもいないのに、何故かポケットから花を出す。
いや、なんで最初っから持ってるのよ!!
そして、ジェシカは一生懸命探して見つけ出した一輪を、大事に両手で持って、嬉しそうな表情をしていた。
私も魔法を使わずに探して、なんとか一輪見つけることが出来た。
やっと見つけたわ!!
私が喜んでいると、地面を探すルークの後ろ姿が見えた。
「あれ? あれ? ここに置いておいたはずなのに...」
「どうしたんですか? ルーク様」
「あ、い、いや、僕も
「そうですか。ミリーがその辺で見つけていたので、ルーク様もきっと見つかりますよ!!」
「は、はい...」
その日は結局、ルークは一輪も見つけることができなかった。
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