第36話
「じゃあ二人とも教室で会おうね!」
「ええ、そうですわね」
「わかりました!!」
鑑定の儀が終わった私は、一度学園の寮を見に行くことにした。
ここフリートフォレス学園では、貴族が住める豪華な寮があるのだ。
そこで今、レイが私の荷物を整理してくれているはずだ。
ふふ、寮の生活って結構憧れてたから、住んでみたかったんだよねぇ〜。
ミリーとお母様には大反対されたけど、なんとか説得して、休みの日に絶対屋敷に帰るって条件で承諾してもらえて良かったわ。
そんな事を考えていると、私の部屋の前に到着した。
ここほんとに寮!? す、凄い煌びやかなドアね。
ゴクリ。
私はゆっくりとドアを開ける。
すると――。
「わぁ、きれい!!」
私の目に飛び込んできたのは、美しく装飾が施され、窓から差し込む日差しでキラキラと輝く上品な部屋だった。
更に、椅子やテーブルなどの家具や調度品は、私好みの派手過ぎないものにレイが替えてくれていた。
「さ、流石貴族の学園ね」
すると、私の視界に一つのドアが入る。
「あそこは...寝室かな?」
私は部屋の奥にあるそのドアに近づく。
さぁ、こんな豪華な寮の寝室、一体どれだけ凄いか見せて貰うわよ!!
私は勢いよくドアを開ける。
すると――。
「おかえりなさいませお嬢様」
「...ただいまレイ。なにやってんの?」
「お嬢様の荷物の整理でございます」
「うん。じゃあさ、なんで私のパンツ頭に被ってるの?」
「パン...ツ?? ああ、この布切れの事でございますか」
「いやなんでパンツがわからないのよ!!」
「ふむ、中々いい触り心地ですが、被るものでは無いようですね」
レイは頭のパンツを手に取って、ビヨンビヨンと伸び縮みさせる。
「とぼけるんじゃないわよ!!」
「ではお嬢様。私は馬車に残っている荷物を取って参ります」
「いや逃がすかあああああ!!」
私はレイの肩をガシッと掴む。
その瞬間、彼女のポケットから何かがヒラヒラと落ちた。
ゆっくり地面に着いたそれは、柄の違う私のパンツだった。
「いやなに持ち歩こうとしてるのよ!! レイ、今日という今日は逃がさないわよ!!」
すると、レイは寝室の机を手の平で示した。
「な、なによ」
「お嬢様、あちらに置いてあるクッキーは、この学園に入学された方に差し上げられる、高級クッキーでございます。どうぞお召し上がりください」
「え!? そんなの貰ったの!? やったー!!」
私はクッキーに飛びつく。
「って騙されるかぁぁぁ!!」
私がクッキーを咥えて振り向くと、もうそこにレイの姿はなかった。
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