第7話

私が前世の記憶を思い出してから二年の月日が経った。


私ももう六歳になり、年の近い専属の侍女が付くことになった。


そして今日はその侍女との初対面の日。


ミリーがどうしても一緒に会いたいというので、エントランスでその侍女を二人で待っていた。


暫くして、一人の少女がやってきた。


「お初にお目にかかります。今日からリリーお嬢様の侍女となるレイ・フィートでごいます。どうぞレイとお呼びください」


少女は恭しく頭を下げる。


青い瞳に長い銀髪を後ろで一つにまとめている。


礼儀作法は完璧で、メイド服も完璧に着こなしている。


そして私はこの少女を知っていた。


レイ・フィート。リリーの侍女で、ラスボスリリーの直前に戦う敵キャラだ。


いやーそれにしてもリアルで見るとすっごい美人!! 年は九歳らしいけど、なんか雰囲気が大人の美人って感じだわ!!


や、やばい!! 見惚れている場合じゃないわ、私も挨拶しなきゃ!!


「初めましてレイ、私はリリー、こっちは妹のミリーよ」

「ミリー・リステンドですわ」

「お会いできて光栄です。リリー様、ミリー様」


うーん、ゲーム通りずっと無表情なのね。

まさか子供の時からそうだったとは...でも美人さんだからすごい様になってるわ。


「にしても驚いたわ、レイはとっても美人さんね!!」


私がそう言った瞬間、隣にいるミリーが動物が敵に出すような唸り声をあげ出した。


え、ちょ、なに!? ミリーどうしたの!? 

なんでそんなにレイを睨みつけてるの!?

なんでそんなガルルルって犬が敵を威嚇する時みたいな音だしてるの!!


なんかそのうち、バウバウッ!! って吠えだしそうだよ!?


「バウバウッ!!」 


本当に吠えちゃったよ!! 


しかもなんでレイはこんな時でも無表情なの!!

なんとも思わないの!? あなた吠えられてますよ!?


はぁ...にしても、ミリーはなにをそんなに怒ってるのかしら?


――あ、もしかして!!


ははーん、さてはミリーも早く自分の侍女が欲しくて妬いてるんだな~?

まったく、賢くてもまだまだ子供なのね!! ほんと可愛いわ。


「大丈夫よ、ミリーも大きくなったらすぐ侍女がつくわ」


すると、ミリーは一瞬きょとんとした顔をみせた。


そして、先ほどの怒りが嘘のように肩の力を抜いて言う。


「はぁ~お姉様はまったく...まぁそこが可愛いんですけど」


え、なんか呆れられたんですけど!?


なんでえええええ!?


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