第59話

「お邪魔しますリリー様」


「突然どうしたんですかルイ様!?」


ルイとの実験を終えてむかえた休日。


突如としてルイが屋敷にやってきた。


お、おかしいわ...ルイとの実験は失敗して好感度が下がったはず...


なのにどうしてこの人は超絶ニッコニコなの!?


「突然お尋ねして申し訳ありません。実験に付き合っていただいたお礼をと思いまして」


そう言ってルイは真っ赤な薔薇の花束を差し出した。


「そ、そんなお礼だなんて――」


ドッカーン!!


その時、凄まじい爆発音とともに、玄関ルームの壁が破壊された。


そして、そこにはルイの何倍もの赤い大きな薔薇の花束を持ったミリーと、横で頭を抱えるメアリーとレオ王子がいた。


「え? なに!? え? 爆発!? レ、レオ殿下?」


ルイはその様子を見てぐるぐると目を回した。


いやミリーは一体何をやっているのよ!! 爆発はうちの屋敷じゃ日常茶飯事だけど、それを初めて見たルイがオーバーヒートしそうになってるじゃないっ!!


「お、落ち着いてくださいルイ様! あっ、アレは私の妹ミリーです! と、とっても可愛んですよ、ははは」


「あ、妹様でしたか! ってひぃっ!! 妹様すっごい睨んでくるんですけどリリー様!?」


すると、ミリーが親の仇でも見るかのような目つきでルイを睨みつけた。


「ミリーどうしたの!? ルイ様に失礼でしょ?」


「申し訳ありませんお姉様。最近目の調子が悪くて...睨んでるつもりはないのです」


「なるほど! そういうことだったのね!!」


「リ、リリー様!? 今のは明らかにボクを睨みつけてたような――」


「そんなことよりお姉様! これを受け取ってください! 」


そう言ってミリーは自分を覆い隠すほどの大きな花束を渡した。


「ありがとうミリー。でもどうしてこんな花束を?」


私はミリーの頭を撫でて尋ねる。


「な、なんとなく花束を渡したい気分だったのです!!」


そう言ってミリーは顔を真っ赤に染めた。


「あ、あのー。ボクの花束も受け取ってくれませんか?」


「あ、はい。ありがとうございます」


私はルイからの花束をレイに受け取らせた。


「リリー様が直接受け取らないのですね...」


「あ、申し訳ありません! ちょっと両手が塞がってしまっていて...」


私はミリーからもらった大きな花束を軽く動かす。


「おいルイ。お前も大変だな...」


レオ王子が肩をすくめルイに同情の言葉を投げかけた。


「ん?レオ殿下。どういうことですか?」


「お前の天然っぷりには本当に驚かされるよ」


「え???」


それからよくわからないまま、私はルイを屋敷へと招き入れたのだった。

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