第47話

「ととと、というわけで。うちのパーティーに入ってくれることになったソフィアよ」


私は隣に立つソフィアを見て、緊張しながら彼女をジェシカとアシュリーに紹介した。


「よ、よろしくお願いします!!」


「こちらこそですわ」


「よろしくです! ソフィアさん」


ソフィアが不安そうな顔でお辞儀をすると、ジェシカとアシュリーは優しい笑顔でソフィアを迎え、歓迎の言葉をかけた。


「ソフィアは魔法が得意で、攻撃から支援まで幅広く対応できるわ。それに、今のソフィアは範囲回復魔法も使えるのよ」


「それは心強いですわ」


「凄いですね!!」


「え、リリー様。ど、どうしてご存知なのですか?」


ヤバイ!! つい推しの凄さを語りたくて、私が知らないはずのことまで喋ってしまったわ!!


な、なんとかして誤魔化さないとッ!!


「あ、ああ〜。確か今年は特待生の子が来るって聞いてたから、気になってどんな子なのかを教えて貰っていたのよ〜」


ちょ、ちょっと言い訳が苦しいかしら?


ソフィアが下を向き、その顔に影が落ちる。


う、嘘ってバレちゃったかしら...?


すると、ソフィアが満面の笑みで顔を上げた


「そうだったのですね!!」


う、上手く誤魔化せたみたいね。


「リリー様がそこまで調べてるだなんて驚きですわ」


「そんなに興味があったのですね」


アシュリーとジェシカは、少しだけ釈然としない様子だった。


その時、キロ先生の声が大きく響いた。


「よし! 皆の者、ダンジョンの扉の前に集合なのじゃ! !」


あ、もうパーティーを組む時間は終わりなのね。


先生の言葉を聞いて、私たちは扉の前へと向かった。


集合した私たちの前にはキロ先生が立っている。


そして、みんなの視線は先生を見るために、やや下を向いていた。


「よし、早速この扉を開けて、ダンジョンの中へと入ってもらうのじゃ!」


そう言ってキロ先生は、背にしていた扉へと振り返り、魔力を流すと扉が開く水晶へと手を伸ばす。


しかし――


「んんー!! 届かないのじゃあああ!!」


背伸びをしても、ジャンプをしても、キロ先生の手が水晶に触れることは無かった。


すると、クラス全体が一斉に同じ感想を零す。


「「「「「「かわいい〜」」」」」」


それを聞いてキロ先生が勢い良く振り返る。


「何をやっとるお主ら!! とっとと助けんかい!!」


そして、ジェシカが前に出て扉を開け、無事ダンジョン探索が始まった。


ちなみに、ジェシカはキロ先生の頭をよしよしと撫でてしまい、普通に怒られた。

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