第46話

「私とパーティーを組んでくださいッ!!」


私はソフィアに対して、腰を九十度に曲げる。


「た、食べないですか!?」


「食べないです!!」


「わ、私なんかと組んでくれるんですか?」


ソフィアの驚きを隠せない声が、私の頭の上から聞こえてきた。


「むしろ組みたいです!!」


「で、でも。私ドジでのろまですよ?」


「そこがかわ...じゃなくて、そこも魅力だと思います。だから、私はソフィアさんと組みたいです!!」


私は顔を上げてソフィアを見る。すると、先ほどの怯えた表情は和らいでおり、涙も乾いていた。


しかし、次の瞬間、彼女の表情がまた暗くなる。


「で、でも。私は平民ですよ...?」


そう口にしたソフィアの眼差しが、重たそうに地面へと落ちる。


そして、恐る恐る視線を上げた彼女は、私の反応を伺っているようだった。


...きっとソフィアは、この貴族ばかりが通う学園に入学して、自分の身分について思い悩んでいるんだわ。


この反応...入学早々、身分による差別を何度も経験してしまったかもしれないわね..


私は、不安そうに私を見つめるソフィアの手を取り、優しく微笑んだ。


「ソフィアさん。身分なんて友情や冒険には関係ありません! ただ私たちと一緒に、楽しい時間を過ごしましょう!!」


「リリー様......分かりました。私をリリー様のパーティーに入れて下さい!!」


そう言って、ソフィアが私の手を強く握り返した。


ん?


そこで、私は我に返る。


あれ? 私ソフィアの手、握ってない?


え、まって! まって! まって!!


ちょっと勢いで握っちゃったけど、ここここ、これソフィアの手!?


その瞬間、私の鼓動がどうしようもなく加速する。


「そ、それとリリー様。私に敬語は必要ありません!」


ソフィアがそう言うが、私は緊張から言葉がごちゃごちゃになってしまった。


「わ、わかったわです」


な、なんか敬語とタメ口が混ざっちゃったー!?


これからダンジョンに潜るのに、私ったらこんなに緊張してて大丈夫かしら...

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