アシュリーが見た夢
「マインド・リザレクション」
リリー様が私の両手を握って魔法を発動します
すると、優しい光が私を包み込んでいきました。
その心地よさに私は目を閉じます。
「あれ? ここは?」
鳥のさえずりが聞こえ、私がゆっくりと目を開くと、目の前には綺麗な赤一色に染まった、カーネーションのお花畑が広がっていました。
そして、私が暫くその光景に惚けていると、目の前に強い光が現れました。
「な、なに?」
やがてその光は消え、そこに一人の女性が現れました。
「お母...様...?」
現れたのは、淡い光に包まれた私のお母様でした。
お母様は私を見て優しく微笑みました。
お母様を見た私は、ずっと話そうと思っていたことが溢れ出しました。
「お母様!! あのね!! 本に出てくる白馬の王子様がね!!――」
私は夢中になって本の内容を説明しました。
「あら、とっても素敵な王子様ね」
お母様はそれをとても嬉しそうに聞いてくれました。
暫くして、私がずっと伝えたかったお話が終わると、お母様は優しく私の頬に手を触れました。
「きっとあなたはもう大丈夫よ」
お母様のその言葉を聞いた私は、自然と一筋の涙を落としました。
そして、その温かな手は、私を包む優しい光とともに儚く消えてゆくのでした。
ん? あれ? なんだかすごく温かい夢を見ていたような気が...
リリー様の魔法から目覚めた私の心はとても澄んでいました。
「どう? 魔力は感じる?」
「し、信じられないです!! 感じます!! 自分の魔力が感じられます!!」
そして私は、魔法が使えるようになりました。
◎
私は自室の机にずっと肌身離さず持っていた本を置いて、お母様のお墓参りに来ていました。
今までは本を持っていないととても不安な気持ちになっていましたが、今はそんなこともなく外を歩くことができました。
私はお母様に最近あった嬉しい出来事をお話します。
「お母様、私はもう寂しくないです。あれからお父様は仕事が落ち着いて時間ができたので、一緒に本を読んでくれています。屋敷の皆さんも凄く優しいです。そして、リリー様という素晴らしいお方とお友達になりました。だから、安心して見守っていて下さい」
すると、ふいに吹いた温かな風が、私の頬を優しく撫でました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。