第12話

私が前世の記憶を思い出してから四年が経って、私は八歳になった。


ミリーも六歳になって、魔法が使えるようになっていた。


そんなある日。


レイと自室で勉強をしていたら、部屋のドアがノックされた。


「お嬢様!! 第三王子レオ・フリート様がご来訪されました!!」


「え、そんな予定なかったわよ!?」


私が急いで応接室に行くと、すでに両親とレオ王子がソファーに座っていた。


私は両親二人の間に挟まってソファーに座った。

対面にはレオ王子がいる。


な、なんで攻略対象のレオ王子が急に屋敷に来るのよ!!


正直攻略対象に関する記憶は曖昧だ、なぜなら画面に映ってもぼんやりとしか見ていなかったせいだ。


もちろんヒロインちゃんの時はしっかりガン見した。


でも、レオ・フリートという名前は憶えている。


たしか私と同じ学年のオレ様系王子だった気がする。


目の前にいる金髪に青い瞳のレオ王子が私をジッと見てくる。


そして、少しの間を置いてレオ王子が話しかけてきた。


「お前相当優秀らしいな、父上から聞いたぞ」

「へ? あ、あははは...そのようなことはないと思います」

「謙遜などいい。お前は優秀だと聞いた、だからオレに見合うと思った、オレと婚約しろ」

「え?」


その瞬間、応接室の天井がバッコーン!!と突き破られ、上の階から土煙と共に人影が降りてきた。


そして、その人影が徐々に姿を現した。


土煙の中から現れたのはミリーだった。


「ミ、ミリーどうしたの!?」

「お、お前、天井を破壊してきたのか!? この天井大丈夫なのか!?」


「安心してください、この程度ミリーの魔法で修復できます。それよりも、お姉様と婚約とはどういうことでしょうか? 第三王子、レオ・フリート殿下」


そう言い放つミリーからは、膨大なドス黒い魔力が漂っている。


「リリー・リステンドは俺に見合う女だ、だから婚約者にする、それだけだ」

「ミリーはその婚約に反対です」

「なに? 王子であるオレに逆らう気か?」


二人の睨み合う視線が火花を散らした。


ミ、ミリーめっちゃこわいよ!? レオ王子にはこの超ヤバい魔力が見えてないの!? 普通に国が滅ぶレベルだよこれ!?


あ、あまりのレベルの違いに見えてないのかな?


そんな中、お父様が口を開いた。


「申し訳ありませんレオ殿下。リリーにはまだ婚約をさせる気はありません」


そこにお母様も入ってきた。


「そうよ。リリーちゃんはミリーちゃんと結婚するべきなのよ」


お母様!? ちょっと何を言ってるのですか!?


「つまりリリー嬢を渡す気はないと?」

「はい」

「しかし諦めきれん!!」


うーん、どうにか諦めてくれないかなー? 私も婚約とか絶対嫌だし...


あ、そうだ!!


「レオ殿下!! 私と決闘して、負けたら婚約は諦めてくれませんか?」


「決闘だと? オレが勝てば婚約するのか?」


「そういうことです」


「いいだろう!!」


こうして私とレオ王子の決闘が決まった。



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