リナside
我の名はリナ・ルシル。
騎士団長の娘だ。
小さい頃から父に剣術を鍛えられてきた我だが、今回の大会であっさりと負けてしまった。
その相手はリリー・リステンド様。いや、師匠だ。
魔法で全てを焼き尽くして食らう令嬢。などと噂されているが、もう我はそうは思わない。
一度剣を交えた相手のことはなんとなくわかるのだ。
彼女は優しいお方に違いない。
そんな師匠は二回戦、三回戦と軽々と勝ち進み、難なく決勝を迎えた。
対戦相手は平民出身の特待生。
ピンクのポニーテールに可愛らしい顔つきの彼女だが、これまでの対戦を見ていたら、その実力が本物であることは疑いようもない。
しかし、師匠の相手ではないだろう。
パリン。
我の予想通り、師匠が軽々と特待生のバリアを割った。
それに焦りを感じたのか、特待生が連続で仕掛ける。しかし、師匠はしっかりとそれを受け流す。
完全に師匠の優勢だったのだが、特待生が回転切りをし、それを避けた師匠の顔に、特待生のポニーテールが当たった。
その瞬間、今まで冷静だった師匠が赤面し、あわあわと慌てふためいた。
パリン。
その隙を突いて、特待生がバリアを割った。
一体何が起きたのか我には分からなかった。
あの師匠の慌てよう。もしかして魔法を使われたのか? しかし、それなら審判がすぐに止めるはずだ。
だが、魔法でも使われていないと説明がつかない......
一体どうなっているんだ?
パリン。
今度は師匠が反撃をして特待生にやり返した。
その表情は冷静に戻っている。
良かった。きっと、さっきのは何かの間違いだったのだ。
すると、また師匠のバリアが割れた。
い、一体何が!?
今まで距離を取って戦っていた師匠が特待生に詰められて鍔競り合いになり、お互い超至近距離で睨み合った瞬間、また師匠が怯んだように見えた。
そこを特待生が攻撃したのだ。
くっ!! なにか卑怯な手を使っているのか!?
パリン。
しかし流石師匠、すぐさま冷静になり、素早く反撃をして特待生のバリアを破壊しきった。
これで師匠の勝ちだ!!
その試合を見ていた観客たちは大盛り上がりだった。
特に金と赤の巨大な旗を持った少女が、大きな爆音とともに綺麗な花を咲かせる魔法を空に向かって放ち、強制退場させられていた。
その魔法を見た他の観客は大盛り上がりだったが、観客席から魔法を飛ばすことは禁止なので、強制的に連れ出されてしまったのだろう。
なんにしても、これで女子部門の優勝は師匠だ!
我は嬉しくなって師匠の顔に目をやる、すると、師匠はなんだか物凄く難しい顔をされていた。
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