第3話
前世の記憶を思い出した次の日の朝。
私は自室のベッドの上で頭を悩ませていた。
うーん、寝て起きたら夢だった――なんてことはないみたいね。
これはもういよいよ異世界転生しちゃったってこと!?
はぁ......これから一体どうしよう......
ま、ヒロインちゃんに会えるなら破滅してもいっか!!
――いやいやダメダメ!! 何考えてるの私!! 破滅回避もやらなきゃダメよ!!
そんな時、ふと部屋の姿見に目をやる。
艶のある綺麗な金髪に真っ赤な瞳。とても端整な顔立ちをしているが、釣りあがった目が少しきつい印象を受ける。
こうやって見るとリリーって顔だけはいいのよね。
四歳にてこの美幼女っぷり......これは将来物凄い美人になるわね!!
数多の美少女キャラを吟味してきたこの私が言うんだから間違いないわ。
でも、こんなに可愛いのに、ゲームのリリーは悪役なのよねー。
恋愛乙女ゲーム『ぷりぷりプリンセスプリ』では、魔法の才を国に認められた庶民のヒロインが、貴族のみが通う魔法学園に入学し、イケメン攻略対象たちと恋愛をしていくゲームだ。
ちなみにゲーム内のリリー・リステンドは公爵令嬢という立場を利用してヒロインちゃんをいじめてくる。
そして、最後にはその圧倒的なステータスでヒロインちゃんと攻略対象たちの前にラスボスとして立ちはだかるのだ。
いやー、リリーを倒すのには苦労したなぁー。ヒロインちゃんと攻略対象全員のレベルをカンストしてやっと勝てるかどうかだもん......マジで難易度おかしいって!!
リリーを倒すのにゴールデンウィーク丸々一週間潰れた時は、開発陣の正気を疑ったね。
なに恋愛乙女ゲームにガッチガチのラスボス用意してるの!!ってね
アレ? てかこんなにリリーが強いなら、今から特訓してゲームの時より強くなれば、自分の身を守れるんじゃない!?
そうだ! そうに違いない!! 私ってば天才かも!!
そうと決まれば特訓だ!!
その時、部屋のドアがノックされた。
「はーい」
ドアが開かれ、初老の執事が入ってきた。
「失礼しますお嬢様。お食事の用意ができました」
うっ、昨日は何も食べてないからお腹空いてるんだった。
まぁ、取り敢えず腹ごしらえね!!
特訓は朝ごはんを食べたその後にしましょう。
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