第49話

私は屋敷にある訓練場で、今度学園で行われる剣術大会に向けて練習をしていた。


「ハアッ!!」


「踏み込みが甘いです。お嬢様」


私の振り下ろした剣を、レイが軽く受け流す。


そして、彼女は優雅に回転し、剣を振り上げ、それが私の剣を弾き、宙を舞った。


「わぁッ!?」


レイの圧倒的剣術による反撃に対応出来なかった私は、後ろに倒れそうになる。


すると、レイが優しく私の両肩を掴んだ。


「ありがとうレイ。ん? レイ...?」


そして、レイが私の顔をじーっと見つめてきた。


え!? なになに? なんでそんなに見つめてくるのよ!


「ど、どうしたの? レイ」


「いえ。ただ、お嬢様は魔法で身体を強化していないと、華奢で可愛らしい女の子なのですね」


「そ、そりゃそうでしょ。てかレイが強すぎるのよ。ってそんな事より、私の剣術はどう? 成長してる?」


「そうですね。一生懸命剣を振っている姿がとても可愛いです」


「そんな事聞いてないわよ...」


「本音はさておき」


「冗談をさておきなさいよ!!」


「お嬢様の成長速度は信じられないほど早いですね」


「そうなのね」


やっぱりリリーの才能は凄まじいわね...


「ってレイ...いつまでこの体勢なの?」


会話中、レイが倒れそうな私を支えているままだった。


「いつまでもこのままで宜しいでしょうか?」


「いや、いつまでもは――」


すると、私たちの近くで物凄い爆発音が響いた。


「おい、剣術での勝負に爆発魔法を使う奴があるか!!」


「うるさいです!! 今のは爆発剣術です!!」


「そんなものあるかッ!!」


「ミリーは今、爆発させたい気分なのです!!」


連続で轟く爆音の方を見ると、そこには、剣術の練習をしている(?)ミリーとレオ王子がいた。


「おい、リリー。お前早く助けろ!!」


「お姉様に近寄るなです!!」


「はやくしないとお前の妹が人殺しになるぞ!!」


「ちょっとミリー、落ち着いて!」


私は急いでミリーを抱きとめて落ち着かせ、なんとかその場を収めた。


それにしても、どうしてミリーは急に爆発魔法なんて放ったのかしら...?

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