第57話
前回までのあらすじ!!
私こと早乙女ユリが頭を打って気が付いたら、前世で嵌ってい恋愛乙女ゲーム『ぷりぷりプリンセスプリ』のラスボス、リリ―・リステンドに転生していたわ。
それから魔力暴走にかかった妹のミリーを治療し、魔法が使えなかったアシュリーの魔力詰まりも治したわ。
ライバルで登場する完璧令嬢であるジェシカの事を、攻略対象のセリフを私が間違って言ってしまい女の子らしくしてしまったりしたわ。
あと、私の侍女兼変態のレイに、顔がドタイプだと告白されたりもしたわね...
とにかく!! 邪神教襲撃のイベントも無事クリアしたし、ヒロインであるソフィアのゲームオーバーも逃れることができたわ。
そして今! 私は『ぷりぷりプリンセスぷり』に登場する魔法省長官の息子であり、攻略対象の一人であるルイにここ数日粘着されているのであった!!
◎
私が学園の廊下を歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
「リリー様!ボクの魔法実験に付き合っていただけませんか?」
振り返ると、無邪気な笑顔を向けるルイがいた。
ここ数日、彼は色々な理由をつけて私に魔法を使わせようとしてくるのだ
いや、うーん。まぁ、これが真っ当な女の子なら、このグレーの髪に上向きにカールした長いまつ毛のイケメンに声を掛けられたら、超舞い上がって喜ぶだろうけどさ...うん、私可愛い女の子にしか興味ないのよねぇ。
「ごめんなさいルイ様。今ちょっと忙しくて〜」
「そ、そうでしたか...それは残念です...せっかくどんな料理でも美味しくなる魔法が実現できると思った――」
「今ちょうど暇になりましたわッ!!」
何その最高の魔法!! 美味しいケーキが更に美味しくなって、美味しいクッキーが更に美味しくなるってこと!?
私は可愛い女の子と、美味しいご飯にしか興味がないのよ!!
レイがジト目で私を見つめてくるけど気にしないわ!!
「い、今暇になったのですか!?」
「そうです! さあ、早速実験しに行きましょう!!」
◎
ここは学園内にある実験室。
初めて入ったけど、なんだか前世の理科室を思い出させるわね。
私がきょろきょろと辺りを見渡していると、ルイは嬉しそうに魔法の実験器具を用意し始めた。
あれ? 今思い出したけど、ルイと二人での実験って、ルイの好感度が結構上がった時に起きるイベントじゃなかったっけ?
うーん......。
え、いつの間にか私の好感度が上がってる!?
いやいやまさか! ってそうか。ルイは極度の魔法オタクで、魔法のスキルを磨けば磨くほど好感度があがるキャラだったわね。
だからチートな魔法が使える私の好感度が高いのね...
このイベントはヒロインであるソフィアに起こるイベントだったはず。つまり、ルイにとって私はヒロインポジションになってるってこと!?
そ、それは非常にめんどくさいわ!
何が面倒くさいって、ルイは好感度を上げすぎるとバッドエンドになるかなり珍しいキャラだったはずだわ。
その結末はルイがヒロインちゃんを一生監禁してしまうというもの。
いわゆるヤンデレ? と言うやつになるのかな。
私はそういうジャンルをあまり見たことがないから詳しくないけど。
ん? いま屋敷の方でミリーの魔力が膨れ上がったわね。ふふ、くしゃみすると魔力が抑えられないのは小さい頃から変わらないわね。
というか今までの情報を整理すると、この目の前で嬉しそうに実験器具を用意してる彼って、もしかして私にとってめちゃくちゃ危ない人ってこと!?
し、しまった! 関わるんじゃなかったわ!!
ここはしれーっと断りを入れて、そのまま帰ったほうがいいわね。
「あ、あの〜、ルイ様。な、なんだか私急に体調が悪くなってきた気が――」
「ジャーン! リリー様、今日はこの高級チョコを更に美味しくしちゃいましょう! ってあれ? 今何かおっしゃいましたか?」
「いえ何も言ってないです!! それよりも、それって超貴重なモンスターのミルクを使った高級チョコじゃないですかッ!!」
「はい! たまたま手に入ったんですよ!」
今回だけ! 今回だけルイの実験に付き合うことにするわ!!
こうして私とルイの実験イベントが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。