第26話

「お姉様あああ!!」


そこには、満面の笑みで走ってくるミリーがいた。


しかし、私にケーキを一口くれようとしていたジェシカをみて、その表情は真顔になった。


取り敢えず、私はジェシカのケーキを食べてみたかったので、ジェシカの差し出したケーキにかぶりつく。


んん! 美味しい!!


その瞬間、ミリーの真顔が更に真顔になった。


いや真顔から更に真顔になったんだけど!?

そんなことできるの!? なんかもう大仏みたいな顔してるよ!?


「お姉様ってことは、あなたがミリー様ですか?」


「はい、そうです」


「あら、じゃあお姉様に誘われてきたんですわね」


「いえ、突破してきました」


「と、突破!?」


「ジェシカ様。単刀直入に聞きます。お姉様とはどういう関係ですか?」


すると、ジェシカは目を泳がせ、私の方をチラチラと見る。


あれ? なかなか答えないなぁ。


そこで、ミリーが質問を変える。


「では、どういう関係になりたいですか?」


すると、ジェシカは頬を赤く染めて、あわあわとしだした。


それを見たミリーは、物凄い目つきでジェシカを睨む。


そして、ジェシカはどこか恥ずかしそうに、ボソッと小さく答えた。


「お、お友達ですわ...」


すると、ジェシカは両手で顔を隠して身悶えする。


「きゃあああっ恥ずかしいですの!!」


それを聞いて、ミリーが更に質問する。


「友達?それ以上の関係ではなく?」


ジェシカは、手の平の指を少し開いて、片目だけを覗かせる。


「そ、それ以上の関係? それってもしかして...」


「はい。そのもしかしてです」


「ししし、親友ですの!? そんなのワタクシ達には早すぎますわぁ!!」


その瞬間、指の隙間はキュッと閉じる。


そして、予想していた答えとは違ったのか、ミリーは一瞬ポカーンとした表情をした。


「で、では、親友同士って一体何をやると思いますか?」


「そ、それは、自分の悩みをうちあけたり、一緒に遊んだり、お買い物に行ったりですわ」


それを聞いたミリーは、目を細め、片手で自分の顔を庇う。それはまるで、とても眩しい光を見ているようだった。


「な、なんですか!? こ、この純粋な方は!?ま、眩しいです!! か、身体が溶けます!!」


ミリー、あなたは一体なにをやっているの? 太陽でも目の前にしているの?


そして、ミリーは大きな丸を作り、私にこう言った。


「お姉様、ジェシカ様は大丈夫そうです」


いやなにが!? まず何が心配でここに来たのミリー!?

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