学研『漢字源』
実況「続いては株式会社学研ホールディングスの『漢字源』ですね」
解説「学研は学習研究社だったりGakkenだったり学研プラスだったり、グループ統廃合が複雑すぎてよく分かんないです」
実況「今は出版業は株式会社Gakkenがやってるんですかね。ま、ざっくり“学研”ということでご了承いただきましょう」
解説「教育系出版社である学研の漢和辞典は、日本漢和辞典史において非常に重要です」
実況「アワードでも四天王だの四大漢和辞典だの、あれこれ呼ばれてますね」
解説「なにより自ら『上級漢和辞典』を名乗ってますからね。ハンディ漢和辞典の最高峰だということは自他共に認めるところかと思います」
実況「自他共に認めるというのはすごいですね!」
解説「角川と大修館以外はみんな認めていると思います」
実況「自他共じゃない、それ」
解説「少なくとも『漢字源』の『情報量は類書中最多!』というコピーは角川と大修館も認めるかと」
実況「『漢字源』は親字数の多さといい、解説の豊富さといい、他のハンディの追随を許さないですからね」
解説「でも、『漢字源』の情報量が一番でも漢和辞典として最高なのはうちの辞書、って思ってるのが角川と大修館」
実況「あんまり適当なこと言ってると怒られますよ」
解説「もはやハンディサイズで重さ1kgを越えてしまった『漢字源』はその情報量の多さが一番の特徴ではあるんですが、実はもうひとつ重要な特徴があります」
実況「お、なんですか?」
解説「藤堂明保先生の中国語音韻論と単語家族研究を継承する漢字論の最新研究が辞書という体系的な形で手軽に読める、これです」
実況「おー……? それは、すごいんですか?」
解説「まあ、とんでもないことですが。気にしすぎてもあれなので、へーすげーと思っておけばオッケーです」
実況「なんかよく分かんないけどすごいんですね」
解説「是非はともかく、そんなすげーものが誰でも手に取れるところに人畜無害な顔で転がっているわけですから、なかなか日本は怖いところです」
実況「そこまでですか」
解説「日本漢和辞典界においても、なんとしても死守しなければならない漢和辞典のひとつです」
実況「わあああ、大きく出ましたね」
解説「ちなみに、4月末まで学研がキャンペーンをしていまして、書店で『漢字源』を購入したレシートで3口応募でき、JTB旅行券やニンテンドースイッチが当たるチャンスらしいです」
実況「露骨に買わせようとすな。キャンペーン詳細は学研サイトをご覧ください」
解説「そんな『漢字源』ですが、致命的な弱点があります」
実況「えっ、どんな!? といいたいところですが、ここまでアワードに付き合ってくださった方々はうっすら気づいていると思います」
解説「そう、『漢字源』はしょんぼりするぐらい引きづらい、読みづらい……」
実況「おおう」
解説「掲載漢字が多い、情報量が多いというのはやはりどうしても引くのが大変になり、読みやすい紙面にするのも難しくなると思います」
実況「ということは、仕方ないことなんですね」
解説「いえ。それにしたって、引きづらすぎる! 読みづらすぎる!」
実況「おっと、若干怒ってる」
解説「引きやすくするためにあれもこれも工夫を取り入れて、逆に引きづらくなってる。読みやすくするつもりであれやこれや項目分けたりマークにしたり色を入れたりして、逆に読みづらくなってる。絶対なってる」
実況「努力はしてるんですね。うまくいってないだけで」
解説「慣れとか、相性の良し悪しもあると思うので、ぜんぜん駄目とは言いませんが。漢字を引こうとして、この辺のページにあるはずと探しても漢字を見つけられず、おかしいなあと思いつつ音訓索引から苦労して漢字ページを見つけて開いたら、やっぱりさっきのページで、だからどこにいるんだよ! ……ということが頻繁に、なんなら2回に1回は起きるってのは、……使いづらいです。デザイン間違ってます」
実況「えー。個人の感想です」
解説「そんな使いづらさを上回る魅力あふれる『漢字源』……いいのか、それで」
実況「ちなみに、たかぱしさん的にはどうしたら使いやすくなると思いますか?」
解説「そうですねえ。無駄に赤を使わない。柱の部首内画数をもう少し大きな数字にする。無駄に赤を使わない。いちいち欄外注みないと意味が分からないマークはやめる。赤を使わない。これだけでもかなり見やすくなるんじゃないでしょうか」
実況「『漢字源』の赤色が相当嫌いですね」
解説「目が滑ります」
実況「まあ、個人の感想です」
解説「読みづらいのは最新版の改訂第六版ですので、あえて古い版を選ぶのもひとつかと思います」
実況「とはいえ、エントリーしているのは初版と改訂第六版で、その間の版については未確認なんですよね」
解説「そうなんですよねえ。ちなみに、初版の箱には『最も信頼できる漢和字典の最高峰』って書いてあります。初発行時点で自信満々だったんですね」
実況「さすが『漢字源』」
解説「初版発行が1988年ですから、約36年の間、最高峰を堅持してるわけですね」
実況「いちおう改訂の歴史をまとめますと、初版が1988年、二色刷新版が1994年、改訂新版が2002年、改訂第四版が2007年、改訂第五版が2011年、そして改訂第六版が2018年です」
解説「5~7年スパンでの改訂ですね。ということは?」
実況「いいかげんにせい」
解説「引きやすい『漢字源』待ってますよー!」
☆『漢字源 』
漢字充実度★★★★★
解説充実度★★★★★
読みやすさ★☆☆☆☆
初心者おすすめ度★★☆☆☆
玄人おすすめ度★★★★★
引きやすさ★★☆☆☆
お値段★★★☆☆
トータル23点
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