大修館『漢語林』『新漢語林』
実況「今日は大修館の『漢語林』シリーズです」
解説「これで上級漢和辞典、さらに四大漢和辞典が出揃いました」
実況「『新漢語林』は『漢語林』の後継辞書なんですか?」
解説「そうですね、その認識であってると思います。一番最初の『漢語林』初版は1987年の出版です」
実況「80年代後半と言うことは、『新字源』や『漢字源』の初版たちと同時期の出版ですね」
解説「それから7年後の1994年に改訂された『漢語林』新版が出ます」
実況「順調な改訂ですね」
解説「はい、また7年後の2001年に改訂されます」
実況「第三版ですね?」
解説「違います。『漢語林』新版第二版です」
実況「新版第二版……?」
解説「新版の第二版、ということですね」
実況「ややこしいな」
解説「おそらく大修館の中の人も、このまま新版第三版、新版第四版……と続けていくと面倒くさいぞ、と思ったんでしょう」
実況「思ったんですか」
解説「たった3年後の2004年、『新漢語林』が出ます」
実況「頭に『新』をつけることで乗り切った!」
解説「そして2011年に出版された『新漢語林』第二版が最新版です」
実況「なるほどー。改訂版の版番号も考えずにつけると混乱するという例ですね」
解説「『漢語林』はうまく切り抜けましたが。問題は角川の『新字源』ですね。初版、改訂版、改訂新版と来てしまって、次はどうするつもりなんでしょうか」
実況「『新字源』も『新漢語林』みたいに頭に『新』をつければ……もうついてますね(笑)」
解説「しょうがないので『ニュー新字源』とかになるかもしれませんが。まあ恐らく改訂されるのが15年ぐらい先の話なので、のんびり対策を練るでしょう」
実況「『新漢語林』は第二版の出版からもう13年ですよね。改訂されないんでしょうか」
解説「そうですねえ。『新漢語林』第二版はかなり完成度の高い漢和辞典ですので。改訂する必要性は低いかもしれません」
実況「完成度の高い漢和辞典、ですか。確かにアワードでも大賞に最も近い漢和辞典ともっぱらの噂ですね」
解説「はい。このアワードを開催していなければ『新漢語林』第二版は買わなかったでしょうから、もはやそのためだけに開催したと言ってもいいと思います」
実況「さすがに言い過ぎでしょう」
解説「決して言い過ぎではありません。そもそも『漢語林』初版を持っていたのは、ただ四角号碼索引がついていたから、それだけです」
実況「え、どういうことですか、それ」
解説「ハンディ漢和についている四角号碼索引に興味があっただけで、『漢語林』には微塵の興味もありませんでした」
実況「え」
解説「『新漢語林』というのが出ていることは知っていましたが、まったく買うつもりはありませんでした。まあ『漢語林』が一冊あるし、いっかな、って」
実況「え。だってたかぱしさん。最初の頃に『新漢語林ほしい』って確かに言ってましたよ」
解説「言ってましたが。でもよく思い出してください。こうも言ってました。『パッケージの見た目が好みちゃうねん』と」
実況「……言って、ましたね。はい。『漢和辞典を出版する愉快な仲間たちがこちらです』のときです」
解説「ほんと、あれがすべてなんですよ。一時期の大修館の漢和辞典は箱デザインがあんまり好きじゃなかったから、ぜんぜん買う気が起きなかったっていう」
実況「ちなみに、どんなデザインなんですか?」
解説「なんか風景写真です。たぶん中国の風景っぽい写真。数種類あるんですけど、特になにが悪いというわけではなく、なんとなく好みじゃなかった」
実況「デザインした人に謝れって感じですが。ま、まあ、個人の好き嫌いはどうにもならないですしね」
解説「『新漢語林』になって、至極一般的な漢和辞典っぽいデザインになったんですけど、それはそれでぜんぜん格好良さとかはなかったんで。どうでもいいかなって」
実況「この漢和辞典好きが跨いで通る漢和辞典……逆にすごいな」
解説「とはいえ、今回のアワードで買って、じっくり使って、反省しました。もっと早く買えばよかった漢語林!」
実況「それほど素晴らしい漢和辞典、ということですね」
解説「はい。もう完全に見た目に騙されてました」
実況「いや、漢和辞典の見た目に騙される人間というのも珍しい気が」
解説「『新漢語林』は初心者でも引きやすい、読みやすい、分かりやすい。超絶使いやすい漢和辞典です」
実況「具体的にはどういうところが使いやすいんでしょうか」
解説「辞書の引きやすさのところでも紹介したとおり、『新漢語林』は部首索引から引きやすいガイドのついた漢和辞典です。さらに音訓索引も見やすい文字サイズと配置。紙面デザインも無駄なくすっきり読みやすい。シンプルかつ的確な字義解説で分かりやすい。漢字掲載数も多い。例文には親切な訳までついてる。安い。初心者にも専門家にも、すべての人に薦められる漢和辞典です」
実況「うん、ベタ褒めです」
解説「敢えて言うと、直接部首引きしたい場合、部首画数インデックスはついていないので使いづらいのかなと思うかもしれませんが。そんなことありません。柱の見やすいところに部首と部首内画数、掲載漢字一覧がしっかりありますから、直接部首引きも可能です」
実況「敢えて言ったのに褒めてる」
解説「いっそインデックスがついていないので、自分でカスタマイズが可能。よく引く部首をマークしておけばいいでしょう」
実況「どこか欠点はないんですか。完全無欠?」
解説「…………まあ、そうですね。見た目はワクワクしないです」
実況「結局そこか」
解説「えーと、若干文字が小さい」
実況「『新字源』ほどではないですけどね」
解説「あとは『漢語林』初版の四角号碼索引を復活させてくれれば……!」
実況「需要低いですからねえ」
解説「もうひとつありました!」
実況「お、なんですか?」
解説「大修館の漢和辞典には索引カードがついています」
実況「索引カード?」
解説「はい。辞書に収まるサイズのカードが1枚ついてるんです。それに索引がついていて、これが以外と使い勝手がいい」
実況「使い勝手ですか」
解説「手元に部首索引を置きながら辞書を引いたり、ちょっとしおり代わりに挟んだり、とても使い勝手がいいんです」
実況「そうなんですか」
解説「『新漢語林』第二版は索引カードはついているんですが、部首索引じゃなくて部首名索引になっていまして。部首索引の方が使いやすいから部首索引に戻してほしい……」
実況「ものすごい細かい個人的要望だった」
解説「大修館様、特別版でいいので四角号碼索引と部首索引カードをなにとぞなにとぞ!」
実況「……辞書レビュー、ただのたかぱし要望板になってるな……」
☆株式会社大修館書店『新漢語林』
漢字充実度★★★★☆
解説充実度★★★☆☆
読みやすさ★★★★★
初心者おすすめ度★★★★★
玄人おすすめ度★★★★☆
引きやすさ★★★★★
お値段★★★★☆
トータル30点
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