大修館『現代漢和辞典』

実況「続いても大修館の漢和辞典ですね」


解説「はい、大修館の初級漢和『現代漢和辞典』です」


実況「大修館さんも複数の漢和辞典を出しているんですね」


解説「もちろん、漢和辞典界の裏ボスですから。変な感じにいろいろ出してます」


実況「変な感じってなんですか」


解説「なんていうか。『新漢語林』は上級漢和、『現代漢和』は初級漢和と分かりやすいんですが。それ以外の『新漢和』とか『漢語新』とか、読んでみても立ち位置が分からんです」


実況「読んでみてもって。え、まさか持ってる?」


解説「持ってますね」


実況「いつの間に……?」


解説「『新漢語林』が素晴らしすぎて、なんやかんや大修館を集めちゃいました。てへ」


実況「いつの間に!」


解説「えーと。剣菱を飲んでた頃ですね」


実況「なんてこった……!」


解説「まあ、裏ボス様のやることなので、我々凡人には理解できないなにか意図があるんでしょう」


実況「そっちじゃない」


解説「いろいろ出してると言っても、大修館も旺文社も三省堂ほどではないですし。暖かく見守りましょう」


実況「そっちじゃないわ。これ以上増えても見守らないからな」


解説「そんな大修館の初級漢和辞典『現代漢和辞典』ですが」


実況「都合の悪い話は一切聞かないな、お前」


解説「1997年に出版されてから特に改訂などはなく現役です」


実況「30年ぶりに本文改訂した角川『新字源』並みの不動っぷりということですね」


解説「変わらないパッケージが、中国風景写真ではないんですが、やや漢語林を彷彿とさせる湖デザインで、個人的にざわざわします」


実況「大修館見た目問題がここにも……」


解説「とはいえ、初級漢和辞典としてだけでなく、広くおすすめできる漢和辞典ですね」


実況「どういうところがおすすめなんでしょうか」


解説「引きやすい、使いやすいのは『新漢語林』と一緒ですね。親字数が約7,500字と少ないんですが、だからこそ『新漢語林』より文字が大きく読みやすいという利点もあります」


実況「実生活で読み書きする漢字なんて7,500字で十分カバーされてますからね」


解説「『新漢語林』との違いは他にもあります。漢字のなりたち解説に『語家族』という音や意味上からの同属を示してくれているのも面白いですし。なにより他のハンディ漢和にはない熟語索引がすごい」


実況「アワードでも索引のときに取り上げましたね」


解説「インデックスは索引を使って引くのに便利な100頁ごとに段分けしたインデックスです。これもとても実用的ですね」


実況「ページ数が分かりやすいんですね」


解説「『新漢語林』では部首名索引になっていたカードも、『現代漢和』は部首索引カードです」


実況「四角号碼索引が熟語索引になってますが、ほぼほぼ前回たかぱしさんが要望していた通りの漢和辞典じゃないですか」


解説「あとは見た目がなあ……」


実況「またそこに戻った(笑)」


解説「出版年が古いので、Unicodeもついてません。JISコードだけです」


実況「大修館さんは『現代漢和』の改訂版は出さないんでしょうか」


解説「どうでしょうねえ。なんやかんや、近年の大修館はあまり漢和辞典を動かしていないので。改訂や新しい漢和辞典は可能性低いかもしれないですね」


実況「裏ボスでも厳しいんでしょうかね」


解説「大漢和はもちろん、ハンディ漢和も含めていろいろ出した辞書を絶版にしないで出し続けてくれているだけで御の字です」


実況「その漢和辞典を『立ち位置分からん』って言ったのはたかぱしさんですよ」


解説「下手なしゃれっ気はなくていいです。いつまでも堅実に裏ボスとして君臨し続けてください」


実況「もはや要望ですらないですね」


解説「でも『大漢和辞典』デジタル版にも四角号碼索引……っていうか四角号碼検索システム入れましょう! 部品検索より絶対使いやすいですよ!」


実況「うん、要望だった」



☆株式会社大修館書店『大修館 現代漢和辞典』

漢字充実度★★☆☆☆

解説充実度★★★★☆

読みやすさ★★★★★

初心者おすすめ度★★★★★

玄人おすすめ度★★★★☆

引きやすさ★★★★★

お値段★★★★☆

トータル29点

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