『岩波 新漢語辞典』
実況「出版社が変わりまして、次は岩波書店の『新漢語辞典』です」
解説「はい、こちらは1987年に出版された岩波の『漢語辞典』の後継辞書ですね」
実況「角川の『新字源』や大修館の『新漢語林』と同じ、とりあえず頭に『新』つけとけタイプですね?」
解説「出版業界には割と多いタイプでしょう。どれもこれも『新』がついてからウン十年。『新』の字義が問われます」
実況「大きなお世話です。ところで、『新漢語辞典』の最新版は第三版とのことですが」
解説「『新漢語辞典』の初版が1994年、第二版が2000年に出ています。そして第三版は2014年に出版されました。それが最新版ですね」
実況「おお、順調な改訂。岩波書店さんは他に漢和辞典は出してないんですか?」
解説「なさそうですね」
実況「なんだー、1冊だけかー。と思ったあなたはアワードに毒されている可能性がありますので、ご注意ください」
解説「残念ながらアワードにエントリーしているのは『新漢語辞典』の初版でして、少々古い版ですね。二度の改訂で一体どんな進化と遂げたのか、最も気になっている1冊です」
実況「たかぱしさんがアワード開幕直後から『最新版が欲しい欲しい』と言い続け、いつ買ってくるかとハラハラドキドキしていました」
解説「とうとう買えずにここまで来てしまった……」
実況「それでいいんですよ。アワードの途中で対象辞書増やしちゃ駄目でしょうが」
解説「しかも、たかぱし行きつけの本屋の店頭在庫には最新版の『新漢語辞典』がなくてですね。実物を見る機会もないんですよ」
実況「なら取り寄せで購入するしかないですね。とでも言うと思ったか?」
解説「仕方ないので公式サイトでサンプル紙面を見たりなんだりしていますが。親字数や熟語数が1500ほど増えていますが、解説内容やデザイン面では大きな変化はないかなぁ、という気がします」
実況「改訂でずいぶんと掲載漢字が増えてるんですね」
解説「そんな『新漢語辞典』の中身ですが、とにかく実用面重視!を感じます」
実況「実用的、ということでしょうか」
解説「そうです。掲載漢字の選択、部首、字義解説のすべてで漢字を日本語で使われる言葉として解説するというスタンスをとっていて、現代日本人が使いやすい構成、必要とする内容に的を絞っているんだと思います」
実況「そういえば、【
解説「古典には触れないよって人には地味に嬉しい構成だと思います」
実況「じゃあ、逆に古典を読むのに使いたいよって人にはおすすめできないんでしょうか」
解説「まあ、古典読むのにあえて選んで使う辞書じゃあないですね。すすめません」
実況「使い分けが重要ですね」
解説「ところで『新漢語辞典』は今どき珍しい一色刷りの紙面なんですよ」
実況「一色刷り? ということは、黒一色だけということですね」
解説「二色刷りや多色刷りの辞書が多い中で非常に硬派なんです」
実況「硬派というとカッコいいですが。それってただのコスト削減なんじゃないですか?」
解説「かもしれません。が、『新漢語辞典』の前身である『漢語辞典』は二色刷で赤い色が入ってたんです。しかし、『新漢語辞典』になってから三度の改訂を経ても一貫して一色刷のまま。ということは?」
実況「むしろ岩波書店さんのこだわり……?」
解説「まあ、無駄に赤い色が入っても見づらくなるというか、漢和辞典の紙面における色の使いどころって難しいと思うので。二色刷りにこだわるより、黒一色で読みやすい紙面作りにこだわってるのは好印象です」
実況「なるほど。では『新漢語辞典』への要望はなしですね」
解説「……あります」
実況「あるのかよ」
解説「親字についてる教育漢字や常用漢字、それ以外などの種類を表すマークが若干微妙なので、あれちょっと変えてほしいです。というか、常用漢字・人名漢字以外に×つけるのやめましょうよ……なんかダメな漢字に見える……」
実況「細かっ。まあでも確かに、漢字に×がつけられてるように見えますね、これ」
解説「確かにある意味、常用漢字・人名漢字外の漢字を公の文章で使うときには注意が必要ですが……×ではないです……表外字にも印刷標準字体とか新聞常用漢字表とかありますし」
実況「現代日本での実用性を考えると、この辺にもう一工夫あると嬉しいですね」
解説「まあ、日常やビジネスでの使用におすすめの漢和辞典です。最新の第三版をお持ちの方はぜひご連絡ください」
実況「ご連絡もらってどうするつもりだ?」
株式会社岩波書店『岩波 新漢語辞典』
漢字充実度★★★☆☆
解説充実度★★★☆☆
読みやすさ★★★★☆
初心者おすすめ度★★★★☆
玄人おすすめ度★★☆☆☆
引きやすさ★★★☆☆
お値段★★★★★(初版のお値段での評価です……第三版は★★★(普通))
トータル24点
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