質量:軽ければ持ち歩きやすいですが、重ければいい武器になります

実況「今日も飽きずにこんにちは。漢和辞典アワード実況のかげると」


解説「解説はたかぱしです」


実況「ところでたかぱしさん。この漢和辞典アワードに奇っ怪な現象が起こっているようですね」


解説「え、あ、やっぱりちょっと下ネタ出し過ぎでしたか?」


実況「いえ、そうではなく。なぜかある特定の回だけが前後に比べて約8倍ものPVを稼いでいるんですよ」


解説「ああ。それはカクヨム非小説作品あるあるですね」


実況「え、あるあるなんですか」


解説「あるあるです。別にその回が特に人気なわけではなく、ただの事故ですね。気にしないのがいいですよ」


実況「そうなんですね」


解説「しかし、事故でもPVはPVです。ありがたや」


実況「ありがたや。さて、漢和辞典アワードでは漢和辞典の中身、それも質より量を測っているところですが、今日のテーマはなんでしょうか、たかぱしさん」


解説「今回は“質量”がテーマです」


実況「質量……ですか? 漢和辞典を質量から比べようって、なかなか聞かない話ですが」


解説「いえ、とても大切です! なぜならハンディ漢和辞典は学生さんのロッカーや鞄を圧迫するお荷物だからです」


実況「まあ、それはそうかもしれませんが」


解説「あと、うちの本棚と床も圧迫しています!」


実況「それは30冊も持ってるたかぱしさんが悪いですね」


解説「でも授業や研究のために漢和辞典を持ち歩かなくてはならない人にとって、辞書の重さは重要な問題です」


実況「ええ。高校時代はいつもロッカーに入れっぱなしでしたけど。年度末に持ち帰るのが重かったですね」


解説「できるだけ軽くて薄い辞書がいい。しかし、辞書が軽いというのは中身も薄いという諸刃の剣。本体の軽さと中身の厚さのバランスをいかにとるか……というのは立派なアワードのテーマでしょう」


実況「なるほど。ある意味もっともコスパのよい漢和辞典を探そうということですね。とはいえ疑問なんですが」


解説「はい、なんでしょう」


実況「漢和辞典って各辞書でそんなに重さが変わるものなんですか?」


解説「まあ、だいたい同じような大きさの本なわけですから、2キロも3キロも違う……なんてことはないです」


実況「ですよね」


解説「でもたとえ100グラムでも鞄は軽くしたい! それがもやし学生の願いです」


実況「そのもやし学生は重い漢和辞典を持ち歩いて鍛えた方がいいのでは?」


解説「しかも厚さだって場合によっては3センチぐらい違ってきますから。いざ銀行強盗に遭って銃弾よけに漢和辞典を使いたくなったとき、その3センチが命を分けるかもしれません」


実況「銃弾はちょっと厳しいですね」


解説「痴漢に向かってさながらブラックジャックのように鞄を叩きつけるとき、ああ重い漢和辞典が入ってて良かった、なんてことも」


実況「危険なので漢和辞典の入った鞄を振り回すのはやめましょう」


解説「ともかくB6サイズ漢和辞典の重さと厚さと体積を測って比べてみました」


実況「ちなみに今回もたかぱしさんの適当な実測のため、数値には誤差がございますことをご了承ください」


解説「というわけで、さっそく。一番軽くて薄くて持ち運び便利なのに掲載漢字数は少なくない最強コスパ辞書第一位!」


実況「あ、さっそく一位なんですね。はい、なんでしょうか」


解説「三省堂『新明解漢和辞典』第三版」


実況「おおー、堂々第一位はナメク字レースでも奮闘した『新明解』ですか。ぜひ詳しい解説をお願いします」


解説「なんと重さは最軽量な620グラム! これは軽い。辞書の厚さは驚異の3.8センチ! これまた薄い。しかし、掲載親字数は十分な11,000字。これぞ最強のコスパ辞書で間違いありません」


実況「ところで“第三版”なんですね。第四版もありますが」


解説「第四版は親字数がさらに1,000字も増えていて魅力的なんですが、重さも50グラムほど増えていまして。もちろんそれでもコスパは最強レベルにいいですが。第一位は最軽量620グラムというインパクトで選びました」


実況「なるほど。では持ち運びが楽な『新明解』第三版が学生さんへのおすすめ一位ですね?」


解説「 ( ˙-˙ ) 」


実況「え、あれ、黙っちゃった?」


解説「『新明解』は独自部首なので……あまり学生さんにはおすすめ……できません……」


実況「ああ! そうでしたね。ということは?」


解説「普段からただ漢和辞典を持ち歩くのが趣味の方におすすめです」


実況「……ただ漢和辞典を持ち歩きたい方におすすめだそうです」


解説「というわけで。重さと掲載親字数のコスパがいい漢和辞典第二位!」


実況「第二位!」


解説「大修館『新漢語林』第二版」


実況「きましたね、安定の『新漢語林』。掲載親字数でも第二位でした」


解説「親字数が14,629字もありながら重さはなんと879グラム。厚さは約5センチです」


実況「これは学生さんにもおすすめできますね」


解説「はい、ちょっと重いですが、コスパと引きやすさを重視するなら『新漢語林』できまりですね」


実況「なるほど。でもちょっと重いんですよね。コスパより軽さを重視したらどうなんでしょうか?」


解説「より軽い辞書を選びたい場合は三省堂『新明解現代漢和辞典』ですね」


実況「新明解シリーズの最新版ですか」


解説「そうです。親字数が10,700字と1万字以上の漢和辞典でありながら重さは796グラム。800を切っています。厚さも4.5センチと薄いですね」


実況「コスパもよくて軽い辞書ですね。逆に、重い漢和辞典はどれでしょうか」


解説「ハンディでまさかの1キロ超えをしている学研『漢字源』です。かなり重いです。厚さも6センチと本棚で存在感抜群です」


実況「あー。『漢字源』はダントツで掲載親字数が多い漢和辞典でしたもんね」


解説「さすがに1キロあると、手に持って漢字を引いていても重さが堪えますよ。筋トレしたい方におすすめです」


実況「是非もやし学生さんにおすすめしましょう」


解説「とまあ、今回は単純に親字数でコスパ係数を計算しただけなので。数字的にはコスパの悪い漢和辞典にも利点がある場合があります」


実況「へー。たとえばどんな利点ですか?」


解説「熟語が豊富とか、文字が大きくて読みやすい、解説やコラムが充実している可能性があります。あとは厚手の良い紙を使用している辞書とか」


実況「ということは、今回のおすすめはあくまで親字数から見たコスパの場合ですね」


解説「でも持ち歩かなければならない学生さんには重さが切実な問題だと思うので参考になれば幸いです」


実況「うーん、今回はとても真面目かつ簡潔にまとまりましたね。どんな奇跡でしょうか」


解説「これは近江牛効果が出ていますね。今後も定期的に近江牛を摂取する必要があるでしょう」


実況「……近江牛……? あ! まさか、お前。本体と一緒に食べに行ったのか!?」


解説「あ」


実況「『あ』じゃなーい!」



【データ】漢和辞典 軽い順(外箱・別冊付録抜き重量)

☆ 620g 三省堂『新明解 漢和辞典』(第三版)

☆ 653g 平凡社『常用字解』

☆ 671g 三省堂『新明解 漢和辞典』(第四版)

☆ 677g『角川 新字源』

☆ 697g『岩波 新漢語辞典』

☆ 699g『角川 新字源』(改訂版)

☆ 716g『三省堂 五十音引き漢和辞典』(第二版)

☆ 760g 大修館『漢語林』

☆ 761g 三省堂『例解 新漢和辞典』(第三版)

☆ 796g 三省堂『新明解 現代漢和辞典』

☆ 818g『大修館 現代漢和辞典』

☆ 851g 三省堂『全訳 漢辞海』(第二版)

☆ 854g 三省堂『全訳 漢辞海』(第三版)

☆ 859g 金園社『新漢和辞典』

☆ 879g 大修館『新漢語林』(第二版)

☆ 886g 学研『漢字源』

☆ 895g『角川 新字源』(改訂新版 特装版)

☆ 899g 小学館『現代漢語例解辞典』(第二版)

☆ 915g『五十音引き 講談社漢和辞典』

☆ 930g『旺文社 漢字典』(第二版)

☆ 977g 三省堂『例解小学漢字辞典』(第三版)

☆ 1,088g 学研『漢字源』(改定第六版)


【参考データ】漢和辞典 コスパ係数(親字数÷重量)高い順

☆ 三省堂『新明解 漢和辞典』(第三版)

☆ 三省堂『新明解 漢和辞典』(第四版)

☆ 大修館『新漢語林』(第二版)

☆ 学研『漢字源』(改定第六版)

☆『五十音引き 講談社漢和辞典』

☆『角川 新字源』(改訂新版 特装版)

☆『岩波 新漢語辞典』

☆『角川 新字源』

☆ 三省堂『全訳 漢辞海』(第二版)

☆ 三省堂『全訳 漢辞海』(第三版)

☆『角川 新字源』(改訂版)

☆ 学研『漢字源』

☆『三省堂 五十音引き漢和辞典』(第二版)

☆ 大修館『漢語林』

☆『旺文社 漢字典』(第二版)

☆ 小学館『現代漢語例解辞典』(第二版)

☆ 金園社『新漢和辞典』

☆ 三省堂『例解 新漢和辞典』(第三版)

☆ 三省堂『新明解 現代漢和辞典』

☆『大修館 現代漢和辞典』

☆ 平凡社『常用字解』

☆ 三省堂『例解小学漢字辞典』(第三版)

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