【アワード幕間】オンライン漢和辞典の字義を比べてみた
実況「あれ、また幕間ですか? 最近多いですね」
解説「………………気のせいじゃないかな?」
実況「いや、多いですよ。まあいいですが。それで? まさかまた漢和辞典を増やしたとかじゃないでしょうね?」
解説「漢和辞典は増えてますが、その話じゃないですね」
実況「増えてるのかよ。ま、今日はその話は置いておいてあげます。で、なんの話ですか?」
解説「漢和辞典アワードのためにちょいちょいオンラインでも漢字を検索したりするわけですが」
実況「主に容易に変換で出ない漢字、ブラウザが表示できない漢字の調査ですね」
解説「いやあ、オンライン漢和辞典もずいぶん充実してきたなあと思いまして」
実況「我々がもったりもったり漢和辞典アワードをしているうちにオンライン漢和辞典サービスは日進月歩しているわけですね」
解説「もしや本当に紙の辞書がいらなくなる時代が……!? ということで、前回使った『常』の意味をオンライン漢和辞典でも調べてみました」
実況「お、それはちょっと面白そうですね」
解説「おさらいですが、『常』の字義は主にこんなものがあります」
『常』ハンディ漢和に載っていたりいなかったりする字義一覧
主義:つねに・ふつう……等々
原義:裳
古義:旗・長さの単位・かつて・梅の名前
国義:
実況「古典でしか出てこない意味をどこまで載せているか、を比べたんでしたね」
解説「さっそく見てみましょう。最初は検索上位に必ず出てくるオンライン漢和辞典のこちら」
☆漢和辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/
(株式会社ジテンオンさん運営)
解説「なんと28,032字を掲載しているそうです」
実況「うわあ、ハンディ界トップの『漢字源』をぶっちぎる多さですね!」
解説「期待が高まりますね。というわけで、漢和辞典オンラインに載っていた『常』の意味です」
主義:つね・いつも・ふつう
原義:
古義:旗・単位
国義:常夏(接頭語)
実況「おおー。古義も載ってますね」
解説「意味だけでなく、漢字情報が半端なく揃っている超優秀なサイトです。文字コード、検字番号も揃っていて、デジタル対応もアナログ対応もばっちり」
実況「熟語・四字熟語・ことわざまで揃ってるじゃないですか。もはやこのサイトだけでいいのでは!?」
解説「参考文献を見ると、我らがアワードでおなじみの漢和辞典がばっちり並んでいますし、信用度も高いですね。逆にここまで揃っていて、“かつて”という古義だけ載ってない理由が分かんないです」
実況「うーん、項伯おじさんが常習殺人鬼な世界線なんですかね」
解説「オンライン漢和辞典への期待が高まったところで次を見てみましょう。オンライン辞書界では有名人なこちら」
☆goo辞書 漢字辞典 https://dictionary.goo.ne.jp/kanji/
(株式会社NTTドコモさん運営)
実況「あー、goo辞書さん。小説書いてて、この言葉の使い方って?みたいなときにお世話になってます」
解説「goo辞書の漢字辞典はどうでしょうか……と検索しましたら、辞書サービスではなく辞書検索サービスでした☆」
実況「他のデータを引っ張ってくる、他人の褌タイプですね」
解説「こういう検索サービスや紙漢和辞典のデータを転載するタイプのオンライン辞書は、今回の比較からは外しますね」
実況「じゃあ次をお願いします」
解説「続きまして、こちらも大手オンライン漢和辞典です」
☆漢字ペディア https://www.kanjipedia.jp/
(公益財団法人 日本漢字能力検定協会さん運営)
解説「ぶっちゃけ『漢検漢字辞典第二版』の漢字情報がもとになっているオンライン漢和辞典ですが、まったく同じではないらしいので比較してみましょう」
主義:つね・いつも・ふつう
原義:
古義:
国義:常夏(接頭語)・常陸(旧国名)
実況「お、古義は載せないタイプですね」
解説「意味の説明もシンプルでした。でも日本特有の意味はばっちり載ってます」
実況「サイト自体もおしゃれですよね」
解説「なかなか資力を感じます。ちなみに『常』の字のなりたち説明は、角川『新字源』からの引用でした」
実況「漢字を愛するもの同士、助け合ってるんですかね」
解説「続いてのオンライン漢和辞典はこちらです」
☆モジナビ 漢字辞典 https://mojinavi.com/kanji
(モジナビ編集部(個人)さん運営)
実況「おおー。手書き検索ができるオンライン漢和辞典ですか!」
解説「6,654字の漢字を調べられます。そして載っていた『常』の意味がこちら」
主義:つね・いつも・ふつう
原義:
古義:
国義:常夏(接頭語)・常陸(旧国名)
実況「漢字ぺディアと同じですね」
解説「古義を載せていないのは同じです。でも別にプチコラムっぽい語法解説を載せていたりして、トリビアを楽しめるオンライン漢和辞典でした」
実況「文字コードと検字番号も載ってますね。ところで、この検字番号ってなにに使うんですか? さっきも出てきましたが」
解説「デスクトップサイズの漢和辞典を引くのに使えます。例えば大修館の『大漢和辞典』で『常』を引きたいなーと思ったとき、もちろん大漢和辞典の索引で引けばいいのですが、こういうオンライン漢和辞典でまず『常』を引きます。そこで検字番号を見ると、大漢和辞典で『常』は8955番に載っているよ……ということが分かるので、さくっと引けるわけです」
実況「大きな紙の漢和辞典を引くのに使えるんですか!? それはすごい!!」
解説「オンライン漢和辞典なら手書き検索やコピペ検索ができますからね。紙の漢和辞典の引き方を広げてくれます」
実況「オンライン漢和辞典すげー!!!」
解説「学生時代にほしかった……。次のオンライン漢和辞典を見てみましょう」
☆漢字辞典 https://kanjitisiki.com/
(おそらく個人の方が運営?)
実況「2012年からということは、10年以上の運営実績があるわけですね。運営者はなにものでしょうか」
解説「ネットには恐ろしい賢人がごろごろしてますね……。というわけで漢字辞典さんが載せている『常』の意味がこちらです」
主義:つね・いつも・ふつう
原義:
古義:
国義:常夏(接頭語)
実況「また同じやつ!! 違いが分からない」
解説「シンプルにまとまっていて、いいサイトだと思います」
実況「意味の説明もシンプルですね」
解説「これ以上コメントするのも難しいので次いきます」
実況「身も蓋もない」
☆オンライン四角号碼漢字検索 https://kanji.sljfaq.org/fourj.html
(海外の個人の方運営?)
解説「こちら、四角号碼で検索できる、ワールドワイドな漢字字典です。なんと15言語に対応」
実況「漢和辞典ではないんですね」
解説「はい。ぶっちゃけ、漢字の意味は載っていません」
実況「載ってないんかい」
解説「でも熟語は調べられますし、検字番号ではないんですが、『大漢和辞典』の掲載ページが載ってます」
実況「こういうオンライン漢字字典って海外でも需要があるんですかね」
解説「きっとあるんでしょう。知らんけど。惜しむらくは、どうやら掲載漢字が少なそうなところ。変な漢字を四角号碼しようとしても、あんまり出てきません」
実況「今後の掲載漢字の充実に期待ですね」
解説「続きましてご紹介するのはこちら」
☆漢字書き順辞典 http://kakijun.com/
(運営さん不明)
実況「書き順辞典……ということは」
解説「お察しの通り、漢字の意味は載ってません」
実況「書き順をアニメーションで見られるサイトですもんね」
解説「ちょっと面白いのは、熟語やことわざと一緒に『常が入っている名字・人名』が載っているところです」
実況「へー。創作に使えそうですね」
解説「はい。続いて」
実況「まだあるんかー」
☆OK辞典 漢字/漢和/語源辞典 https://okjiten.jp/index.html
(個人の方運営)
解説「がっつり個人の方が運営している漢字辞典ですが、ものすごい力の入れようです」
実況「ほんと、とんでもない人が潜んでますね」
解説「おもに『新漢語林』などを参照しつつ、独自に考察した漢字情報により運営されているそうです」
実況「字義解説にも期待が持てますね」
解説「そんなOK辞典さんの『常』字義解説がこちら」
主義:つね・いつも・ふつう
原義:
古義:かつて・旗・単位
国義:常夏(接頭語)
実況「古義までがっつり出揃いましたね」
解説「はい。しかも漢字のなりたち解説もかなりのがっつり派です」
実況「素晴らしいオンライン漢和辞典ですね」
解説「漢和辞典は関係ないんですが、運営者さんが運営している別のサイト『婚活パーティー体験辞典』がクソ気になります」
実況「あとで勝手に読んでください」
解説「まだまだ続きます。次はこちら」
☆漢字辞典~常用漢字から難読漢字まで収録~ https://kanjijoho.com/
(個人運営?)
解説「なんと収録漢字数27,400字! ということで期待して『常』を検索したところ……」
実況「したところ?」
解説「意味載ってなかった……」
実況「意外と意味は載せない漢和辞典もあるんですね」
解説「熟語や四字熟語、ことわざが載ってます。が、それらも特に意味とか載ってないので。せっかく2万字以上収録してるので、パソコンの変換で出しづらい漢字を部首引きしてコピペするのに使うとかですかね」
実況「っていうか、よく見たら中国の簡体字とかも混ざってますね、このサイト」
解説「中国出張の領収証の記帳に使えるな……」
実況「ちょいちょい切実なネタが(笑)」
解説「さて。次も字義は載ってないんですが」
実況「載ってないんかい!」
☆字源 https://jigen.net/
(個人運営?)
解説「意味は載ってなかったんですが、音韻情報や書体字情報が超豊富でした」
実況「マニアックな要望に応えてくれるオンライン漢和辞典ですね」
解説「なりたち解説は『漢字源』、『常用字解』でお馴染みの白川先生説みたいですね。『説文解字』の読み下し文も掲載されてますよ」
実況「うーん、なかなか面白い」
解説「次で最後です」
☆グリフウィキ https://glyphwiki.org/wiki/u5e38
(個人の方が運営)
実況「お、漢和辞典アワードでもちょいちょいお世話になっている文字情報サイトですね」
解説「はい。お察しの通り、漢字字形共有サイトなので意味は載ってないですが、ぬるぬる不定形な字体や異体字を確認するのに大変便利で助かります」
実況「得意分野に特化してますね」
解説「とまあ、オンライン漢和辞典を簡単に比べてみました。使いたい目的によって多少向き不向きはありますが、とても便利に使えるものが多いですね」
実況「一昔前に比べて信用度も使いやすさもめちゃくちゃ上がってますよね」
解説「ほんとそうですね。といいつつも、最近も意味やなりたち解説がAI自動生成で半分以上妄言みたいなエセ漢和辞典サイトもいましたから、油断は禁物です」
実況「なにそれ、逆に見てみたい!」
解説「と思って探したら、今度は出てこなかったです」
実況「たかぱしさんの見た幻だったのでは?」
解説「幻であってほしい。しれっと真顔で根も葉もない漢字情報垂れ流してたし」
実況「ひゃー怖い」
解説「そんなこんなで大変便利なオンライン漢和辞典。ぜひご活用ください」
【お知らせ】
近況ノートでサポーター限定記事「【アワード場外戦】第7の五十音引き漢和辞典」を掲載しておりますが、こちらは某キャンペーン対策記事です。
キャンペーン終了後アワードへ移植しますので、どなたでもお読みいただけるようになる予定です。
ただ、移植時期がおそらく4月以降となり、そのころには無事に漢和辞典アワードは終了していることと思います。……してる、はず。はず……。
終わったらこんなとこ来んわ、先に読みたい、という漢和辞典への熱い思いをお持ちのかたがいらっしゃいましたら、そこはすぱっと諦めていただくとよろしいかと思います。
ちなみに記事の内容は、なななななんと! 角川が五十音順漢和辞典を出してたわ!!! えええ2001年に!?!? 的なやつです。
びっくりだねー。
以上、お知らせでした。
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