漢和辞典アワード2023はじります!

では昨今の漢和辞典界を概観してみましょう

実況「さて、今年もはじまりました。漢和辞典アワード2023! 本日みなさまのお供をしますのは実況のかげると」


解説「解説はたかぱしでお送りいたします」


実況「それにしても、たかぱしさん。前のページ見ました? バカみたいに漢和辞典がありますよ」


解説「そうですねえ。バカですねえ」


実況「もう増やさない!宣言から2年、ですか。……私の目には増えているように見えるんですが?」


解説「そうですねえ。宣言当時は19冊だったと記憶しております。しかし、今回は24冊……まあ5冊ぐらいは誤差でしょう。5冊だけに」


実況「はい、意味が分かりません。ではさっそくエントリー選手を概観してみたいと思います。解説のたかぱしさん、これは……どこから見ればいいんでしょう?」


解説「そうですねえ。漢和辞典のみどころは各種ありますから、初心者さんは迷うところですねえ」


実況「まさにそれです。こんなにあって、なにか違うんですかね?」


解説「そりゃあもちろん、だいおお違いですよ!!」


実況「どうどう。とりあえず、今季エントリーは 22冊、15タイトル、10出版社とゲストが2冊、とのことですが。まじでなんでこんなにあるんだ……?」


解説「そうですねえ。出版社にとっての“辞書”は威信ですからねえ」


実況「威信て。でかく出ましたね?」


解説「出版社にとって自社辞書は(マジで儲からないけど)看板ですよ。辞書を出せる出版社であるというプライドです。そこでまあ、まず出すのは国語辞典。そのうえで、さらに漢和辞典を出せるとなれば、そりゃもうすっげーことですから。出しちゃいますよね」


実況「出しちゃいますか。HONDAがF1にこだわるようなもんですかね。それで、各出版社が漢和辞典をそれぞれ出すから多い、と?」


解説「大手さんは、だいたい出してますねえ。あとは知に自信のある専門出版社さんは出しますし。さらに辞書に自信があれば、アプローチの違う漢和辞典を複数出してくる」


実況「そんな(いかれた)出版社が!?」


解説「三省堂とかですねえ」


実況「ディスってるみたいになってますが、これ大丈夫ですかね」


解説「賞賛です。」


実況「賞賛です!」


解説「あとは、漢字も時代の変化で変わってますから。改訂を繰り返して」


実況「繰り返して?」


解説「別版として売る」


実況「売る!?」


解説「ぶっちゃけ改訂したからって売れないですが、改訂しないよりは売れます!」


実況「岩波書店の『広辞苑』が改訂するとおじーちゃんが毎回買ってくる的なやつですね」


解説「漢和辞典界では『漢字源』の得意技です」


実況「それはディスりですか?」


解説「賞賛です。」


実況「賞賛です!」


解説「あとは特装版。普段と違うパッケージでアピールして売ろうという、涙ぐましい努力ですね」


実況「なるほど。たとえば?」


解説「へびつかいさんのイラストがかわいい『漢字源』特別装丁版。中村佑介さん書き下ろしジャケットがおしゃれな『新字源』特装版。末次由紀先生描き下ろしイラストの美しい『標準漢和辞典』特装版。パンダデザインが目を引く三省堂『例解小学漢字辞典』」


実況「うわあ。めっちゃあるー」


解説「あとエグいのは三省堂『新明解国語辞典』の赤版・白版・青版・革装丁版のバリエーション展開」


実況「揃えたらなにか起きるのか!? で、パッケージを変えたら売れるんですか?」


解説「売れません。でも変えないよりは売れます」


実況「ほぼ売れてない! 漢和辞典、売れてないですね!」


解説「ぶっちゃけ、漢和辞典界は今とても厳しいです」


実況「辞書界全体の問題とも聞いてますが?」


解説「そうですねえ~。言葉の意味とか、ググれば済みますからねえ」


実況「もはや紙の辞書に存在意義はない?」


解説「そうですねえ。いえ、国語辞典は存在意義がかなり危ういところですが」


実況「それ、ディスりですか」


解説「ディスりです。」


実況「ディスりなんかい!」


解説「漢和辞典はまだまだ紙の辞書の存在意義が大きいんですよ!」


実況「とか言って、それ、たかぱしさんの漢和辞典ひいきなんじゃないですか?」


解説「だったらいいんですがねえ。ぶっちゃけ、ネット上のオンライン漢和辞典の精度……めちゃめちゃ低いんです……」


実況「……え」


解説「違う漢字情報がごっちゃになって掲載されていたりとか、普通にあるし」


実況「あら」


解説「用例とかほぼないし」


実況「まあ」


解説「変換で出しにくい漢字を探してコピペできるのは便利なんですがね」


実況「はあ」


解説「紙の辞書じゃできない、手書き入力検索もできるし」


実況「ほうほう」


解説「でも正直、漢籍読むのにクソの役にも立たない……」


実況「明確なディスり。オンライン辞書で漢籍読もうとすな」


解説「漢字の使い分けも、結構適当な記事が出てくるし。もはや断言したもの勝ちの世界」


実況「ですかー。ま、オンライン漢和辞典もこれから充実してくると思いますけどね」


解説「それまでは紙の辞書にがんばってほしい。が、紙の辞書は風前の灯火(売上利益的に)」


実況「……ちょっと言い過ぎでは……?」


解説「漢和辞典の出版なんて、90年代後半がピークですよ」


実況「いやいやいや」


解説「ともかく。漢和辞典アワードで紙の漢和辞典を盛り上げて、オンライン辞書がスーパーになるまでなんとか漢和辞典文化をつなぐ、それが我々の使命です」


実況「うわあ。でかく出やがった。というわけで、漢和辞典アワード2023始まります!」

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