24日目 足の踏み場にフレームを




 異世界生活24日目

 創生歴660133年5月5日[火]午前7時頃

 【オスタトリア大陸】【ウルル・ダンジョン】付近。


 青い空、白い雲、心地好いそよ風、延々と続くかのような広大な【柴芝】の大地。

 神仕様のインベントリ内に設置されたいつも変わらぬ完全独立空間の【ハナランド】には楽しげな声が響いていた。


『キャー~~ いやぁ~ーん ウルちんはやーーーい♪』


『ピキュピキュ~ ハナちんもめさめさ疾くなってるのでピキュ~』


『ウルちんずるぅ~い~ でもウルちんいっぱいでたのしぃ~♡』


『ピキュ♪』

『ピキュピキュ~!』

『ピキュピキュピキュ~♡』


 ハナの成長に伴い、この日からウルは4体体制となりハナと遊んでいる。

 ステ値的にはウル単体でもハナを凌駕するのだが、遊びも修行も大勢の方がお互いに楽しく成長できるだろうというヒメのアドバイスをきっかけに複数体制となった。


「んうぅ~~~ん…… あふぁ~~~っふ。……あ~よく寝たわ~~」


 寝起きの呻きだけは毎回声に出してしまうヒロ。


『お、ヒロおはよ~。よく眠れたみたいねぇ~』


『うぃ~。至福の目覚めだよー。それにしてもこの【ハナランド】は最高の拠点だなぁ。完全隔離の亜空間で安定した環境。不安要素が無さすぎて逆に危機管理能力が鈍りそ……あれ?』


『そーなのよ~。私の提案でウルちゃんの人数を増やしてみたの。ハナちゃんも断然楽しそうだし、ウルちゃんも数が多いとイレギュラー因子が増えて修行効率がいいらしいのよ~』


『そっかー。みんな楽しそうで良かったねー。ヒメナイス~~♡』


『えへへへ~~♡』


 するとヒロの目覚めにいち早く気付いたウル軍団のひとりが駆け寄ってくる。


『ピキュピッキュ~~♪ ヒロさんおはようなのでピキュ~』


『あーー、ウルちんズル~~~い! ハナもーー!』


 あっという間にヒロのベッドは小動物たちの休憩所となった。


『パパおはよ♡なの~。ハナね、すんごく強くなったのぉ~♪』


 ハナは待ってましたとばかりにヒロの胡座の窪みを陣取り、クシクシと体を擦り付けて甘えてくる。

 そんなハナをやさしく撫で愛でるヒロ。

 ハナは目を細めて尻尾ぶんぶん丸のご満悦モードへと達した。


『ヒロさん! ウルも強くなったのでピキュ!』

『ウルもピキュ~♪』

『ウルもピッキュ!』

『ピキュピッキュ~♪』


 ハナに特等席を譲ったウルたちもヒロの手の届く範囲でふるんふるんしている。


『ウルさんはもう単体モードでいーんじゃないの?』


『ピキュ!』


 瞬時に【神速合体】で単体化したウルは、ふるるる~んと揺れる。

 ヒロは空いた手でウルのツヤプルボディを揉み撫でる。


『ウヘピキュ~~。気持ちいぃ~~のでピキュ~~♡』


 そこには、直前まで人間の肉眼では捉えられない疾さで交錯していた超越者たちが、クゥンクゥン、ピキュ~ピキュ~と悦楽に悶える姿があった。


『あら? そーいや2人が暴れまくったはずの【柴芝】の地面って、ぜんぜん荒れてないなー』


 【ハナランド】の【柴芝】製の大地は、艷やかに太陽の光を浴びていて、何の損傷の跡も確認できなかった。


『あ~ヒロ、それはねー、この亜空間の設定で調整できるのよー。強度やらクッション性やら修復のタイミングやらをね♪』


『あ~そーなのかー。確かにここはデータで設定された擬似空間なんだから、ランダムな変化を走らせ続けるよりも即座に同じパターンの修復を繰り返したほうがコストが安く済みそうだよな~』


『そうなの。強度もクッション性もある程度のゆらぎにとどめて、変化があった箇所は即復元。そーすれば追加MPの消費もないまま設定変更できるんだよ~』


『ま~俺も今じゃ、秒間700MP近い連続消費に耐えられるスペックになったから、そんなに節約に気を使わなくてもいーかもしれないけど……まぁ少なくて済むんならそれに越したことはないよねぇ。ヒメありがと♡』


『んっっ! ………………どーいたしまして~ヒロ♡』


『あ! そーいえばハナ、』


『ん~~~パパなぁ~にぃ~~』


『昨日のレベルアップでハナに新しい固有スキルが発現してたでしょ? たしか【義憤】とかいうやつ……』


『そーなの! ハナもまだよくわかんないからパパ見てみて~』


『そーか~ よし、確認してみよう♪』


 ヒロはスクリーンにハナのステータスを表示すると、【義憤】を視線クリックしてみた。



■義憤[ぎふん]

保有者が怒りや使命感から発動するバフスキル。発動すると感情の度合いにより保有者の全ステータスが上昇する。上昇率や持続時間はレベルに依存する。最大で10倍のステータス値が2時間ほど継続する[通例]



『じゅ……10倍の全ステ値バフって……もう【ハナ最強】確定じゃねーか(笑)』


『ハナちゃん、このスキルって試してみたの?』


『……ん~とね、ハナやってみよーって思ったんだけど、できなかったの~』


『……ヒロ、これはきっと感情のスイッチが結構シビアなやつよ。ハナちゃんが心の底から強さを求めた時にカチッと入る、主人公特有の御都合主義的なヤツなんだわ』


『ヒメ言い方~。……でも確かにそーなんだろうなー。ハナが“うぉぉおおおおお!!!”とか言いながら、みるみる光り輝いてムキムキになる姿とか……あんまし想像したくないけど、それでもいざという時に神の如し力が手に入るんなら親である俺としても安心だよ。しかしさすが【神獣】。スケールがデカいぜ~』


『ねぇパパ~、ハナこの【義憤】、うまくつかえないのぉ~~』


 ヒロの胡座の中で悲しそうに落ち込むハナ。

 思わず“クゥ~ン”と声が漏れる。

 立派な尻尾もいつになく元気がない。


『気にしないでいぃ~んだよ~ハナ、その能力はハナがピンチになった時にしか発動しないみたいだから、普段は忘れてていいのさ~。ほれっ、ほれっ、ほれっ、元気出せ~~~、ほれほれほれほれ~~~』


『きゃ~~~~くすぐったいのぉ~♡ もっとやってなのぉ~~♡』


 ヒロのくすぐりと愛撫の波状攻撃で元気を取り戻したハナは、尻尾ぶんぶん丸の全身ぶるぶる丸のヒロのにおいクンクン丸となり、


『パパだいすきぃ~♡』


 すっかり機嫌を直したのだった。


『てゆーかヒロ、あなたにも新スキルが発現してたでしょ~。【スキルバフ】とかいう、見ただけでごっさ使えそうなやつ』


『はいはい。これな』



□スキルバフ

■使用者のMPを全て消費することにより、指定したスキルを強化できるスキル。

■強化の度合いや継続時間は使用者のMP量やステータス構成に依存する。

■スキルによっては効果の得られないものもある。

■使用者の持つスキルにしか使用できない。



『これもヤバそうねぇ~』


『さしあたって当面のところどーしても必要か? と問われれば、今のところは現行スキルに満足してるから【やったぜ感】こそ薄いけど、いざという時のことを考えれば、間違いなく有用優良スキルだろーな。例えば【スコープ】なんかにかければ今以上に遠くを見られるんだろうし』


『まぁ、バフ率にもよるんだろうけど、ヒロのMPはそーとーなモンだから、凄いことになるかもね~』


『そのうち実験してみよっと♪』


『楽しみ~』

『楽しみなのでピキュ~』





『さぁ~~てと、そんじゃー昨日の成果も絡めて、新しいごはんをハナに食べてみてもらおうかなぁ~』


『パパ大好き~♡』


 ヒロはおもむろにいつもの【ハナの皿】に肉を盛ると、そっと差し出してみる。


『ハナ、この肉はハナが初めて食べる肉だと思うんだけど、もし、いいにおいがして美味しかったらどうぞ~。もし嫌な感じがしたら食べなくていいからねー♪』


 皿に盛られた肉の山に近付き、興味津々にクンクンするハナ。

 すると“おっ!”という顔つきとなり、ひとつの塊をペロリと舐める。

 刹那、今までのクワッを遥かに凌駕する【クワワワッッッ!!】とした表情を発現させ、何の感想も口にすることも……いや、口にする余裕もなく、無我夢中で咀嚼し始めた。


 辺りにはハナから発する見事な咀嚼音と、興奮気味の息遣いだけが響いている。

 そして……


『パパ!!! こんなおいしいお肉ははじめてなのー!!! ハナこのお肉がいちばん大大大大すきなのっ!!!』


 尻尾がぶんぶん丸しすぎてヒロの目でも残像しか追えないほどに、ハナは喜んでいた。


『そーかそーか~。それは良かったよ~。ハナ、実はこのお肉は【竜】のお肉なんだ』


『竜?』


『そっか、ハナは普段から俺の中でねんねしてる時間が長いから見たことないかも知れないけど、これはとっても大きくて強い魔物でね、今までは少ししか持ってなかったからあげられなかったんだけど、昨日の狩りで4千匹以上手に入ったからさ、これからはハナにずっと食べさせてあげられるんだけど、ハナはそれでいい?』


『うんっ! ハナ、竜のお肉がいいの! おいしいお肉の違うのが混ぜ混ぜしてて、おいしくておいしくておいしくておいしいのぉ!』


『おぉ~、よく気付いたねー。今食べたお肉は、赤と青と緑と茶、4種類の竜のお肉が混ぜ混ぜしてあったんだよ~。これからはこの【竜肉4種盛り】をハナが飽きるまであげるからねぇ♪』


『パパだいすき! 【竜肉4種盛り】もだいすきなの~!』


 ハナはいつになく興奮気味に訴えかけたのだった。


『それにしてもヒロ、このダンジョンは本当に高レベルの魔物が数え切れないほどいるわねー。しかも最深部に近付くほど竜、竜、竜、のオンパレードだし』


『そうそう。枝分かれした【魔素脈】によって生態系の違いも見て取れてたんだけど、結局メインのルートの殆どは【竜のコロニー】になってたもんなー。特に1番太くて深かった経路の最深部なんか、高さ800m以上、平面的広さはちょっと測りきれないほどの超巨大空間だったし。あんなに大きな空間が地下深くにがっぽり空いてると思うと陥没しないか心配になるよー』


『てゆーか、狩りすぎよぉ~。いくら数え切れないほど湧いてたからってさー』


『いやいや、ちゃんと考えて狩ったっつーの。少なくとも1種につき10倍以上は確実に見逃しておいたからな! まだまだ追い狩り出来る残存数だぞ~♪』


『……ヒロにとってはこの魑魅魍魎が百鬼夜行してるよーな地獄のダンジョンも、只の【養殖場】みたいなもんなのねー。呆れて物が言えないわ。フレーム瞬殺魔法も例外なくビシビシ効いてるみたいだし(苦笑)』


『そーだよなー。ステ値上昇によって同時タゲ数も格段に上がったしなぁ。あとさ、そのうちいつか来るだろうと思ってたんだけどさ、案外【フレーム瞬殺魔法が通用しない相手】って現れないもんだよなー。あ、これはリクエストフラグ的なもんじゃなくて、本当にそれでいいと思ってる感想だから気を使って俺を瞬殺するようなやつ送り込まなくていーからね、特にアルロライエちゃん!』




ピロン


 ヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れた。


《もちのロンです  (;`Д´)> 》




『良かった~。運営側に強制される強引な仕様変更みたいなのって、度を越すと一気にやる気無くなるもんなぁ。まぁこの世界の仕組みがどーなってるかは知らないけどさ、出来れば自然の流れのままに生きていきたいよ~』


『それだけ異常進化しておいてよく言うわよ~。アルロライエちゃんも毎日生きた心地がしないでしょうねー。……あ、そーいえばヒロ、ドロップアイテムは?』


『昨日のでしょ? あったよ~』




□ドロップアイテム

■アルロライエの手作り卵焼き        ×100

■アルロライエの手作り味噌汁        ×1トン

■アルロライエの手作りカレーライス     ×600

■アルロライエの手作りハヤシライス     ×200

■アルロライエの手作りビーフシチュー    ×2トン

■アルロライエの手作りホワイトシチュー   ×2トン

■アルロライエの手作りラーメン[鶏白湯]  ×300

■アルロライエの手作りラーメン[濃厚豚骨] ×300

■アルロライエの手作り日替わりパスタ    ×600

■アルロライエの手作りラザニア       ×300

■アルロライエの手作りヤンソンさんの誘惑  ×300

■アルロライエの手作り塩焼きそば      ×500

■アルロライエの手作りオムライス      ×700

■アルロライエの手作りうな重        ×500

■アルロライエの手作り卵カツ丼       ×500

■アルロライエの手作りソースカツ丼     ×800

■アルロライエの手作り牛丼         ×500

■アルロライエの手作り炒飯         ×500

■アルロライエの手作り焼き餃子       ×500

■アルロライエの手作り甘酢肉団子      ×300

■アルロライエの手作り麻婆豆腐       ×300

■アルロライエの手作りレバニラ炒め     ×300

■アルロライエの手作り豚生姜焼き      ×300

■アルロライエの手作り豚角煮        ×300

■アルロライエの手作りピザ         ×300

■アルロライエの手作りホットドッグ     ×300

■アルロライエの手作りハンバーガー     ×300

■アルロライエの手作り肉まん        ×300

■アルロライエの手作りタコス        ×300

■アルロライエの手作りフライドポテト    ×300

■アルロライエの手作りハッシュポテト    ×300

■アルロライエの手作りクラムチャウダー   ×2トン

■アルロライエの手作りコーンポタージュ   ×2トン

■アルロライエの手作りハンバーグ      ×500

■アルロライエの手作りとんかつ       ×500

■アルロライエの手作りメンチカツ      ×500

■アルロライエの手作りからあげ       ×500

■アルロライエの手作り天ぷら[蓮根]    ×200

■アルロライエの手作り天ぷら[南瓜]    ×200

■アルロライエの手作り天ぷら[人参]    ×200

■アルロライエの手作り豆腐         ×300

■アルロライエの手作り茶碗蒸し       ×300

■アルロライエの手作り飲茶セット      ×800

■アルロライエの手作りおろし餅       ×3000

■アルロライエの手作り日替わりサラダ    ×800

■アルロライエの手作り白和え        ×1トン

■アルロライエの手作りおから        ×1トン

■アルロライエの手作り刺身盛り       ×300

■アルロライエの手作りサンマの塩焼き    ×300

■アルロライエの手作りサバの味噌煮     ×300

■アルロライエの手作りブリ大根       ×300

■アルロライエの握りたて特上寿司セット   ×5000

■アルロライエの手打ち蕎麦[ざる]     ×600

■アルロライエの手打ち蕎麦[おろし]    ×1000

■アルロライエの手延素麺[三輪風]     ×2トン

■アルロライエの手仕込み数の子のわさび漬け ×5トン

■アルロライエの手仕込みぬか漬け      ×1トン

■アルロライエの手仕込み梅干し       ×1トン

■アルロライエの手仕込み納豆        ×1トン

■アルロライエの手仕込みキムチ       ×1トン

■アルロライエの手仕込みはまなみそ     ×1トン

■アルロライエの手仕込み塩雲丹       ×1トン

■アルロライエの窯焚き炊きたてごはん    ×1000升

■アルロライエの手仕込み万能砂糖      ×5トン

■アルロライエの手仕込み万能塩       ×5トン

■アルロライエの手仕込み醸造酢       ×3トン

■アルロライエの手仕込み醸造醤油      ×5トン

■アルロライエの手仕込み醸造味噌      ×5トン

■アルロライエの手仕込みポン酢       ×2トン

■アルロライエの手仕込みケチャップ     ×5トン

■アルロライエの手仕込みマヨネーズ     ×5トン

■アルロライエの手仕込みウスターソース   ×5トン

■アルロライエの手仕込み焼肉のタレ     ×3トン

■アルロライエの手おろし大根        ×1トン

■アルロライエの手おろし天然わさび     ×1トン




『これどー思うよ? ヒメ』


『今回は【食】に訴えてきたか~。やるわね、アルロライエちゃん。しかも、ヒロが旅先でパン屋巡りをするのが趣味なのも考慮した上でパン関連メニューを含ませてないところなんか、気が効きすぎてて怖いくらいだわ。それにしてもツッコミどころ満載のラインナップだけど、なにこの【数の子のわさび漬け5トン】て。常軌を逸してるわ』


『……確実に俺の深層心理を読み切られてるなー。まぁ、とりあえず、当面は食料に困ることは無くなったわ。……いいのかなぁ、異世界生活ってこんなんで……』


『貰えるものは貰っておけばいーじゃない♪ 気が向かなけりゃ食べなくていいんだし、インベントリだから永遠に新鮮だしね~』


『まぁそーだな~。あんまり深く考えないようにするわ。しかしアルロライエちゃん、ぬか漬けや梅干しを漬け込めて、蕎麦を打てて、寿司まで握れるのかぁ。さすが神だわ~』


 ヒロはハナ&ウル軍団との追いかけっこじゃれ遊びを1時間ほど堪能し、ハナを蕩けねんねさせると、とりあえず朝食に【アルロライエの握りたて特上寿司セット】を食べてみた。


『……………………! うわっ。なんだこの寿司。こんなの食べたことない! シャリがフワァっとほぐれる。ネタの仕込みもひとつひとつ丁寧で旨味成分の塊だ。ネタごとにちゃんと熟成させてるっぽいぞ! つーか何なんだこの丁寧で繊細なプロ仕事は!? 見た目だけでも芸術品の域だぞっ! 銀座の高級店で出てくる接待寿司ってこんななのか? いやこれはそれ以上なのか!? 俺の【寿司経験値】が低すぎて【寿司ヒエラルキー】のどの辺りなのかが全然わからん! だがしかしヤバい! 美味い! うまぁ~~~い! アルロライエちゃんの握った寿司、最高!! アルロライエちゃんが担当で良かったよぉぉおおおーーーーー!!』




ピ……………………


 ヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスは現れなかった。




『ん? ……なんか最近、神的なシステムの調子悪そうだねー。いまいち正常に動作してない気がするなぁ』


『……ヒロ、前にも説明したと思うけどさ、ヒロのステ値って、もはや桁外れに高いんだから、あんまり素の感情を強い指向性で放たない方がいいと思うわよ…… アルロライエちゃんにも許容量の限界ってもんがあるんだから……』


『あーそっか、レベル上がってるんだからって話な。でもヒメさ、アルロライエちゃんの握った寿司がそりゃーもー美味いんだよ! あまりの美味さにびっくりして感情をセーブするの忘れちゃうくらいにさ。これは過失ってことで許してもらえるよね?』


『許すも許さないも、アルロライエちゃんはもはやヒロの虜だろうからさ、絶対怒ったりはしないだろうけども……困ってはいるかもねぇ~』


『そーなのかー。だったら今後はできるだけお行儀よく紳士的に思うことにするよ。アドバイス、さんきゅ~♪』


『……いーのいーの、こんなアドバイスならいくらでもするからいつでも相談してね~♪』


『おーーーう♪』


(ヒロってば…… 自分で“白々しいまでの鈍感主人公キャラにだけはなりたくない”って言ってたような気がするんだけど…… バカなのかな……)


 【アルロライエの握りたて特上寿司セット】が美味すぎておかわりしてしまったヒロは、インベントリ内の残量表示が【4995】となっているのを寂しそうに見つめながら“あと4995セットしか無い……”と無意識に呟き、流れゆく雲を寂しげに眺めていたが、切り替えが済むと風呂で歌い、身支度を整え、朝のルーチンを終えた。





『今日は何だっけ? 【ヒロのスピードやパワーに床や地面が耐えられない問題】を解決するとか言ってたよね』


『そーなんだけど、実は、その前にまだやることがあったんだよ』


『なんだか昨晩から大忙しねー。で、なにするの?』


『ちょっとした実験』


『ふ~~ん』


『まぁちょっと見ててね~』


 ヒロはインベントリから小ぶりな【魔素クリスタル】の欠片を取り出すと、それをフレームで囲い、


(トレース)


 と念じてみた。

 すると




ピーーーン


 単調な音と共にヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れる。


《生命体またはそれに準ずるものは今のレベルではトレースできません》




『おぉーー、思わぬ結果が出てきたぞ』


『ヒロ、これって……』


『いやさ、ハナもウルさんも【魔素クリスタル】が大好物だからさ、よく考えると何も地下資源としての【魔素クリスタル】を乱獲しなくても、【トレース】して【錬金】してあげれば無限に生産できるなーって思ったんだよ。でもこんなメッセージが出てきたってことは、【魔素クリスタル】ってーのは……』


『ただの物質ではないってこと?』


『そーなるよなー。あ、ちょっと待ってね』


 ヒロはインベントリから適当な【魔晶】をひとつ取り出し、それをフレームで囲い、


(トレース)


 と念じてみた。すると




ピーーーン


 単調な音と共にヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れた。


《生命体またはそれに準ずるものは今のレベルではトレースできません》




『おぉーー、同じ結果だー』


『てことは……』


『てことは、【魔晶】も【魔素クリスタル】も【生命体またはそれに準ずるもの】であるってことなになるのかー』


『ちょっと驚きね~』


『てっきり只の物質だと思ってたけど…… でもまぁこれでスッキリしたよ。ここのダンジョンにも沢山の【魔素クリスタル】が眠っててさ、【錬金】で増やせるんなら採らないでおこうかなーって思ってたんだけど、コピー出来ないと分かった以上は採るわ。採って採って採りまくるわ♪』


『出た♪ 世界の【魔素クリ王】! ひとりカルテル! よっ、独禁法凶悪連続違反!』


『ひどい言われようだな~。まーそのとおりなんだろーけど(笑)』


 ヒロとヒメの掛け合いは、その後暫く続くのだった。





『さて、そろそろ始めますかっ』


『おぉー。ついに【ヒロのスピードやパワーに床や地面が耐えられない問題】に向き合うのね~』


『そう、別名【俺のステ値を100%引き出す練習】だね』


『ようは、行動時の物理的なロスを防ぐための修行ってこと?』


『まぁそーゆーこと。逃げるにせよ迫るにせよ殴るにせよ、いちいち滑ったりめり込んだり壊したりしてたら苛々するっしょ? よくマンガやアニメだと“バッ!”って文字とか、それっぽいエフェクトだけで済まされてるんだけどさ、実際にステ値が上がりまくってくると、もう俺との接地面が耐えられなくなって破損と変形の連続になっちゃうからねー。今日中にその問題を解決しようと思っとりやす!』


『わーわーパチパチ わーわーパチパチ』

『ピキュピキュピキュ~♪』


『みんなありがとう。やる気に拍車がかかったよ~♪』


『ピキュ! ウルから提案があるのでピキュ!』


『お、はい、そこのウルさん』


『はいなのでピキュ! ヒロさんが踏ん張ったりする時に、ウルが【神速浮遊】での浮力をヒロさん方向にぶつけて逃げる力を相殺するのはどうなのでピキュか?』


『いい考えだねぇ~。ただウルさん、それだと俺の力をウルさんが受け止められている段階で、ウルさんの出力が結局接地面に影響を与えちゃうんじゃないのかなぁ。ん? 反重力的な便利能力ならイケるのか?』


『……よく分かんないでピキュ~』


『つーか、なんか気分的にウルさんを足場にするのは気が乗らないな~』


『ウルはヒロさんになら踏まれても叩かれても揉みしだかれても気持ちいいのでピキュ~♪』


『こらこらウルちゃん、澄んだ瞳でそんなこと言わないの(笑)』


『……まぁそんなわけで、ウルさんが足場になるなんてプレイは今のところ却下です。自分で出来ることは極力自分でやりたい。では、そんじゃーどーすんのかってことなんだけど……』


『ヒロ、フレーム使うんでしょ?』


『ヒメ正解! つーか誰でも行き着く答えだよねー。そう、フレームを使うのだ。正確には【メガミウムで埋め尽くされたフレーム】を絶えず自分の行動時の力点に固定し、その【固定されたフレーム】の位置的絶対性を利用して【ロス・ゼロ】の運動性能を目指す、みたいな感じかなぁ』


『確かに理論上は行けそうよね。フレーム自体はそもそも神の恩恵だから意図しない限りズレたり動いたりはしないし、そこに世界最強物質のメガミウムが詰まってれば……ビュンビュン動けそーよね~』


『そう、あとは【俺がもの凄い速度の中でフレームを運動時の力点に設置し続けられるか問題】と、【俺の全力にメガミウムが耐えられるのか問題】さえ解決すれば、今後の俺、只のスナイパーではなくなっちゃうかも知れないんだよねー』


『今でも【只のスナイパー】では無いっつーの』


『では早速練習開始しまーす。ここからは黙々とした訓練が続くと思われますので、各自自由に好きなことをして時間を潰しましょ~』


『りょーか~い』

『ピキュピキュ~』





 ヒロは敢えて【ハナランド】から外に出ると、ウルル・ダンジョン近くの地面に立った。


(実際の地面の方が、より現実的な成果を得られるだろうからな……)


 そして試しに一度、全力で真上に向かってジャンプしてみる。


ドゴォォォォォオオオオオン!!!!


 巨大なクレーターが足元に発生したかと思うと、ヒロの体は爆音と共に上空へと発射され、50mほど舞い上がり、空中で静止し、重力に任せて落下していく。

 そして……


ズダンッ!


 着地した場所は発射地点より少しズレていたが、着陸時に全身を使って衝撃を吸収したため、射出時のようなクレーターは出来なかった。


(……やっぱ今の俺が本気出すと、こうなっちゃうんだよなぁ。今のジャンプ、かなりのパワーが地面にめり込んでロスしちゃってたし。これは真面目に練習して技術を身に着けないと【宝[ステータス]の持ち腐れ】になっちゃうぜ。よし、がんばろっと♪)



(フレーム)ピ(物質変化★メガミウム)※この間0.1秒



 ヒロは【空手家が割る板】のようなサイズのフレーム生成し、その中を【メガミウム】に変質させ、空中に固定した。

 そして狙いを定め、全力で蹴ってみる。


ガッ!


(……あれ? とんでもない力が加わったはずなんだけど、大した音もしないし衝撃も無いな。これってフレーム由来の固定物質だから反響とか振動もしないってことなのか? あとさすが【メガミウム】だわ。ヒビどころかキズひとつ付いてない! これで【メガミウム】の耐久テストは合格だ♪ 全力で力をぶつけられる♪)


(あと、何気に心配してたんだけど、全力蹴りの反動による足の痛みも無かったな。これってSTRとVITが同じ数値だからダメージゼロなんだろうか……。ま、とにかく良かった。俺の体の耐久性能はそーとー凄いぞ。いい傾向だ)


(ん? そう言えば…… 俺の履いてるスニーカーとか…… 全然痛んでないわ。本来只の靴ならあの1撃で破裂して塵になっててもおかしくないだろうに。……これはひょっとして…… アルロライエちゃんにドロップしてもらったアイテムだからなのか?)




ピロン


 ヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れた。そこには


《神アイテム♡  d(*╹▽╹*) 》


 と書かれていた。




(おぉぉ、やっぱあの【肌触りの良い衣類コレクション】ってスゲーアイテムだったんだ~。さすがアルロライエちゃん! これで思う存分暴れられるぞ~)


 ひと通りの予備実験と確認を終えたヒロは、ようやく本来の修行に取り掛かった。


 まずは軽めの垂直ジャンプから始めてみる。

 踏ん張る瞬間に軸足の接地面に足の裏と同サイズのメガミウムフレームを生成させ、それを踏み込むように飛ぶ。

 着地の瞬間も接地面にメガミウムフレームを生成させる。

 これを皮切りにシンプルな動作を繰り返すこと2時間。

 ヒロは足に軸が置かれる動作なら、ほぼ意識せずに、己の行動の全力点に角度を付けたメガミムフレームを設置しては解除する作業を一瞬で出来るようになっていた。


 次にヒロは、足だけでなく、掌や肘、膝、腰、頭、等など、様々な部位による力点の対応にも挑戦する。

 この技術は、足による複雑な移動を反復した後だったため、簡単に習得できた。


 さらに続けて、今度はジャンプしている最中に空中にメガミウムフレームを生成させ、それを次々と蹴って空中移動する技術を磨いた。

 続いて重力に任せた落下速度を遥かに凌ぐ上空からの下向きの加速。


 そうして夢中で修行すること7時間。

 ヒロは、地上であろうが空中であろうが、好きな座標に足場を生成しながら、自由自在に360度、全力の速度で動き回れるようになっていた。

 重力や慣性の法則を完全に無視したような動きが出来るまでに到達したヒロは、得も言われぬ充実感と達成感に包まれる。


 そして


シュボッ……


 魔タバコ[魔ショットホープ]に火をつけ、最高の一服を楽しむのだった。


『はぁ~~、夢中で集中して時が経つのを忘れたあとの一服、うんめぇ~~~』





 充実の1本を吸い終えたヒロは、気持ちを切り替え、そのままウルル・ダンジョンの地下に眠る魔素クリスタルの採取に取り掛かった。

 マンバタン島とエロストン山で経験済みな上にレベルの上昇も手伝って、作業は恐ろしく速く進み、あっという間にウルル・ダンジョンの魔素クリスタルは採り尽くされる。


(うぅ~ん。暇だなぁ。…………よし、会得した【フレーム移動】の試運転も兼ねて、ちょっと実験してみよっと♪)


 ヒロは心の中で軽く呟くと、自らに【迷彩】を施し、タンッと【フレーム】を蹴り、もはや常人には視認できない疾さで、その場から消えるのだった。



 4時間後。



『ヒメぇ~、ひと通り終わったよ~』


『お、ヒロおつかれさま~。結構長いこと黙々とやってたみたいじゃないか~。おかげで私は1日中ゲーム三昧だったよ~』


『好きだねぇヒメも~。ところでさ、今の状況見てどう思う?』


『んん? ……あら、ヒロったら移動してたのね~。しかもセンタルスの【うさぎの寝床】の食堂じゃない♪ ラビさんやゼキーヌさんは元気だった?』


『うん、俺が顔見せたらすげー喜んでくれてさ、ついさっきまで話し込んでたんだよ♪』


『ゼキーヌさんの料理は?』


『もう食べ終わって、今は食後のお茶の時間だよ~』


 食堂にはヒロ以外にも何組かの客が楽しそうに食事をしていた。


『そっかそっかー。結構賑わってるね~。ゼキーヌさんもラビさんも忙しそうで良かったねぇ』


『そーだね~。俺の相手ばかりして悪いからさ、仕事に戻ってもらったよ~』


 ヒロはお茶を飲み干し席を立つと、ラビとゼキーヌに軽く会釈してから部屋へと移動する。


『部屋とったんだ~』


『まぁね。もちろん必要ではないんだけどさ、ここにお金を落としたくてつい、ね』


『いいんじゃない? あ、ところで今日の修行はどーなったの? 技術、習得できた?』


『よくぞ聞いてくれたねヒメ~。まぁ見ててよ♪』


 ヒロは【うさぎの寝床】の決して広いとは言えない客室の中で、空間いっぱいを使って、目にも留まらぬ速度で上下左右に移動し始めた。


『すんごぉ~~~い! ヒロの残像が部屋中でブレブレに動き回ってる~。しかもほとんど音がしないのはなんでぇ~?』


『あ、音がしないのは今日の修行とは別の話でさ、アルロライエちゃんがドロップしてくれた衣類セットのおかげだよ。服だけじゃなく靴にも【自動消音】って機能が付いててさ、衣類や靴から発する音に反転した位相をぶつけて音がしないようになってるんだってさ』


『……ふ、ふぅ~ん。あ、それよりヒロ凄いじゃない! 今の動きって、ヒロ自身がコントロールしてたんでしょ?』


『そうだよ~。完全に思ったとおりに動いてた。つーか、もうどんな動きでもAGI目いっぱいで動けるようになった。もう近接戦闘で【剣豪】とか【剣聖】とかのスキル持ってる奴にも勝てる気がするわ。また最強に1歩近付いちゃったかも……』


『これってちょっとした……ていうかめっさめさ劇的な進化なんじゃないの~? だってヒロの目いっぱいのAGIって言ったらさ、現時点で音速超えてるでしょ? その速度でもって、さっきみたいな短いストロークを意識的に動き回れるってアナタ、ついに目標のひとつの【零零玖の加速仕掛けを会得する】を達成したんじゃないの~?』


『ふっ…… もっと褒めてもいいんだぜ♪』


 すると突然、【表面巡回モード】でヒロの周囲を巡っていたウルが矢継ぎ早に話し始めた。


『ピキュピキュピキュのピキュッ! もう黙っているのも限界なのでピキュ! ヒメさん、実はヒロさんは修行していた【オスタトリア大陸】の【ウルル・ダンジョン】からこの【センタルス】まで、【ウルワープ】も【流星4号】も使わずに、生身の肉体だけで辿り着いたのでピキュよ~! 空中で足の裏にフレームを作って全力で横ジャンプし続けて、時には急激な本気の方向転換実験なんかを乱暴にはさみながらも、なななんと、3時間程度で海や山を超えてしまったのでピキュ~。速度に換算すると、なななななんと、時速5千キロ以上も出しやがる、鬼のようなソニックブーム野郎、つまり鬼ックブーム野郎なのでピキュピキュが、そこに関しても、なななななななんと、アルロライエさんに貰った服のおかげだとかで、サイレント飛行野郎だったのでピキュピキュピキュ~。ウルは突然に始まったあまりの出来事に、不覚にも何度か振り落とされそうになったのでピキュが、ヒロさんとの【師弟の絆】を折れそうな心にぶっ刺して、必死にしがみついて大変だったのでピキュ~。大変すぎて大変すぎて、もう、大変だったのでピキュピキュピキュ~~~~~~』


『あららウルちゃん、泣かないの~。ヒメはわかってるよ~。ウルちゃんはヒロと離れたくなかったんだよね~』


『ピキュピキュピキュピキュピキュ~ ピキュ~~~~~~~~~~~』



 数分後



『ねぇ~、もう泣かないでよウルさ~ん。本当に悪かったって~』


『ピッキュ…… ピッキュ……』


『ねぇウルちゃん、ヒロもこうやって謝ってることだし、許してあげて?』


『……ウルは別に……ヒロさんに怒ってるわけではないのでピキュ。ただただ、ヒロさんの鬼スペックに腰を抜かして……しがみついていることしか出来なかった自分が許せないのでピキュ。あんな体たらくでは“ヒロさんを守る”なんて、とても言えないし、何より出来てなかったのでピキュ。このままでは無理ピキュ。だから……だからウルは……』


『ウルさん、まさか……』


『そんな……ウルちゃん……』


『もっともっと【魔素クリスタル】と【メガミウム】を食べて強い子に育つのでピキュ!!』


『…………』


 ヒロはホッと胸をなでおろし、インベントリから本日とれとれであるウルル・ダンジョン産の魔素クリスタルと錬金ほやほやのメガミウムをごっそりと取り出し、目の前にそっと置いた。


『さあウルさん、今日のご褒美だよ。たぁ~~んとお食べ♡』


『ピキュピキュピキュ~♪』


 体を震わせながら美味そうに【ウルル魔素クリスタル】と【出来立てメガミウム】を消化するウルを見つめながら、ヒロは幸せそうに微笑む。


『ヒロさん! この【魔素クリスタル】は今までのと味が違ってまた格別なのでピキュ! いや、でも、今までの魔素クリも美味しかったでピキュよ? ただこの魔素クリのやつは、めがんとす美味いのでピキュ! すこだま美味いのでピキュ! らずもね美味いのでピキュよ~ それからやっぱり【メガミウム】は搾りたてもぎたて錬金したてがもんげーばちくそぶちでら極上なのでピキュピキュ~♪』


『わかったわかった、ウルさん、いくらでもあげるからゆっくり食べなよ。あと食べすぎには気をつけてねー。調子悪くなるほどは食べちゃだめだよ~』


『了解なのでピキュ~♪』


『良かったね~ウルちゃん、元気になって……。あとヒロってば、人知れずウルル・ダンジョンの魔素クリスタルもゲットしてたのね~』


『まー正直に言うと、あそこも枯渇させちゃったんだけどねー』


『わっ…… いったいどれだけの量を採取した……のかな?』


『インベントリ表記によると、……80万トンと少し……かな』


『怖っ……怖怖怖っ。前科も含めると早くも累計100万トンて……。1トン10億イエンで叩き売りしたとしても……千兆イエン。他にもS3クラス以上の【超高品質魔晶】を3万個近く隠し持ってるはずだから……』


『だから……なんだよ?』


『だから………………ヒロ、やったね♪』


『“やったね♪”じゃねーよ。あとなんだよ“前科”とか“隠し持ってる”とか人聞きの悪い事並べ立てて~。そもそもヒメは神なんだからさー、たかが【物】や【金】のことであたふたすんなよ~』


『まぁ、あたふたしてなかったと言えば嘘になるんだけれども、言い方を変えればヒロのここまでの成長は、【超有能美人女神軍師をもあたふたさせる凄さ】って事になるわね! ヒロ、自分の成長に自信持っていーわよ♪』


『なんかしっくり来ないんだけど……ありがと、ヒメ。これからもよろしくな♪』


『もちのロンよ、ヒロ♡』


 こうして、ヒロ達の異世界生活24日目は終わった。


 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る